予備試験短答式試験の一般教養科目は勉強すべき?
公開:2024.05.23
予備試験短答式試験では、法律基本科目7科目に加え,一般教養科目が出題されます。
・試験時間 / 1時間30分
・解答問題数 / 20問
・出題分野 / 人文科学・社会科学・自然科学・英語
一般教養科目の試験というと,センター試験や公務員試験を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ですがこの予備試験短答式試験の一般教養科目は,これより遥かに難しい問題も出題されます。
出題範囲が広く掴みどころのないこの一般教養科目は,果たしてどのように対策したらよいのでしょうか。
今回は予備試験短答式試験の一般教養科目に焦点を絞り、勉強すべきか否かも含め,受験対策について解説します。
予備試験短答式試験で問われる一般教養科目の出題形式
予備試験短答式試験では,法律基本科目7科目に加え一般教養科目が出題されます。
■予備試験短答式試験 一般教養科目出題分野
・人文科学
・社会科学
・自然科学
・英語
上記4分野から満遍なく40題ほどが出題され,その中から20問を任意に選択し解答する形式です。
配点は1問につき3点,合計60点なので,法律基本科目2科目分の配点があることになり,科目としての点数割合は大きいです。
■予備試験短答式試験 出題数と点数一覧
科目 | 出題数 | 配点 | 合計点 |
憲法 | 12問 | 各30点 | 270点 |
行政法 | 12問 | ||
民法 | 15問 | ||
商法 | 15問 | ||
民事訴訟法 | 15問 | ||
刑法 | 13問 | ||
刑事訴訟法 | 13問 | ||
一般教養科目 | 20問/約40題 | 60点 |
また一般教養科目のマークシートには,「解答欄」と「選択欄」があり,両方の欄にマークをする必要があります。
「選択欄」へのマーク漏れがあると採点されないので,解答する際は「選択欄」と「解答欄」2つの欄にマークするよう注意してください。
■法務省サイトより一般教養科目答案用紙見本
※こちらをクリックすると、法務省サイトの一般教養科目答案用紙 見本PDFが開きます。
予備試験で一般教養科目が出題されるワケ
予備試験では司法試験とは異なり,一般教養科目という法律には直接関係のない分野の出題がなされます。
それは何故なのでしょうか?
予備試験は受験資格が不要,つまり誰でも受験できる試験であるから,と考えられます。
まず司法試験の受験資格を得るためには,次の2つのルートがあります。
・予備試験に合格
・法科大学院を修了
そもそも法科大学院ルートは,大学卒業,大学早期卒業または飛び入学などにより,法科大学院に入学し修了する必要があります。
一方予備試験は誰でも受験できるため,法科大学院修了と同程度の一般教養の知識の証明を求めたためと考えられます。
ちなみに,令和4年予備試験から論文式試験での一般教養科目の出題が廃止されました。
予備試験において一般教養科目を出題することについては以前より論争があり,論文式試験での一般教養科目の廃止もこのような議論の中で出てきた結果といえます。
予備試験の一般教養科目の難易度はどのくらい?
一般教養科目の難易度としては,センター試験レベルの知識で対応できる問題もある一方で,非常に難しい問題も多く出題されます。
少なくとも“一般教養”と聞いて普通の人が思い浮かべるレベルを超える難易度であることは間違いありません。
また,一般教養科目は,人文科学・社会科学・自然科学及び英語の4分野から出題されるため,その範囲も広範です。
数学や社会の知識で解くことのできる問題もあるという意味で,大学受験を終えたばかりの受験生に有利と言われたりしますが,この一般教養科目については多くの予備試験受験生が特段の対策をせず臨んでいる実態があります。
そして予備試験短答式試験の法律基本科目の点数のみで,合格ラインに乗ることは可能ともいわれています。
そのため予備試験の短答式試験一般教養科目については,自身の知識量や法律基本科目の習熟度を総合考慮し,一般教養科目の対策をどの程度するか戦略を立てるべきでしょう。
ちなみに例年の予備試験短答式試験の一般教養科目の平均点は,24点前後です。
■予備試験短答式試験一般教養科目平均点
試験年度 | 平均点 | 満点 |
令和5年 | 28.4点 | 60点 |
令和4年 | 21.2点 | |
令和3年 | 24.9点 | |
令和2年 | 24.3点 | |
令和元年 | 24.7点 |
また,一般教養科目は5択での出題なので単純な確率論でも12点ほどは得点できる可能性があります。
自分なら一般教養科目で何点くらい得点できそうか,これを踏まえて法律基本科目では何点必要か,それぞれ考えて対策を練る必要があります。
予備試験一般教養科目の対策はどうしたらいいの?
予備試験短答式試験の一般教養科目の対策をすべきか否かについては賛否両論あります。
結論から言うと,特別な対策は特には不要といえます。
出題範囲が広く絞り切れないため、費用対効果が低すぎるためです。
空を掴むような一般教養科目の勉強に時間を費やすならば,法律基本科目に時間を使い点数を底上げする方が現実的です。
とはいえ一般教養科目の試験時間,1時間30分を何もしないわけにはいきません。
自身の持っている知識で解ける問題を取りこぼさないよう,目を光らせる必要はあります。
予備試験短答式試験の一般教養科目では,4分野(人文科学/社会科学/自然科学/英語)が出題され,うち20問を任意に選択し解答します。
40問ほどの中から解答できそうな問題を20問選び出すだけでも,労力と判断力を要します。
そのため一般教養科目の最低限の対策としては,過去問を見て自分が,
・どの分野なら解答できそうか
・各分野どのような傾向の出題が多いのか
これらを把握しておくことで,実際の試験で選択する問題に素早く目星を付けられるようになり,点数を上乗せできる可能性が上がります。
このように予備試験の過去問を見ておくことは,予備試験短答式試験の一般教養科目対策としておすすめです。
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予備試験一般教養が0点でも合格できる?
予備試験短答式試験では司法試験短答式とは異なり,科目ごとの足切り点が存在しません。
仮に一般教養が0点だったとしても,合計得点が合格ラインより上であれば合格することができます。
つまり,予備試験短答式試験の法律基本科目の配点のうち8割である168点ほどを得点すれば,一般教養科目が0点でも合格することが可能です。
予備試験論文式試験を含めた最終合格を見据えると,やはり一般教養科目の対策に時間を割くよりも,1点でも多く法律基本科目で点数が取れるよう,法律の学習に時間を割くべきといえます。
予備試験一般教養科目は費用対効果が低い
予備試験短答式試験の一般教養科目は,4分野からの出題となります。
・人文科学
・社会科学
・自然科学
・英語
これら出題範囲を網羅的に学習してから試験に臨むことは,まず不可能です。
そうすると,英語や歴史等,特定の分野に絞って対策をしようと考える人もいることでしょう。
大学受験等でその分野に元々精通している受験生に対抗するには,相当な時間を割く必要があります。
対策をしたところで出題範囲が広すぎる余り,確実に得点源になるという科目ではないので,費用対効果は低いです。
一方で,予備試験短答式試験の法律基本科目については過去問学習を通じて知識の精度を上げていくことで,確実に点数を上げることができます。
予備試験短答式試験の一般教養科目の対策に時間を割くよりも,法律基本科目の勉強に充てた方が,コストパフォーマンスは格段に良いのは間違いありません。
予備試験一般教養科目は現場でじっくり考えれば解ける問題も多い!
予備試験短答式試験の 一般教養科目の試験時間は,1時間30分と法律基本科目に比べ長く設定されています。
その分だけ解けそうな問題を選んだり,設問をゆっくり読んだりする余裕があるといえます。
一般教養科目は相当難易度の高い問題も多いですが,
・日本語の意味として成り立つかどうかによって正誤が判断できる問題
・確率の問題のように現場で全て書き出して力技で解答に辿り着ける問題
・中学で習うような数学の知識を使えば解ける問題 など
実は探せば解けそうな問題もたくさんあります。
そうすると,一般教養科目の対策としては,自分に解ける問題を見つけられるようになっておくだけで足り,それ以外の知識のインプットのような対策は必要ないといえます。
解けそうな問題を見極めるためにやっておきたいこと
予備試験短答式試験の一般教養科目でたとえ0点であっても、法律基本科目の出来如何によっては,短答式試験の合格が可能です。
ですが一般教養科目に割り当てられた試験時間,1時間30分を無為に過ごすわけにもいきません。
自分で解けそうな問題があれば,短答式試験の点数に加点できるので,試験問題は積極的に見ていくべきです。
そこで重要になってくるのが,試験中いかに解けそうな問題を見極められるかです。
40問ほどの出題から20問を選択する試験形式で,これが重要になってきます。
では、どのような対策を取っておけば良いのでしょうか?
▶︎ 過去問を眺めよう
予備試験短答式試験の一般教養科目の過去問を見たことがないという人は,一度過去問を眺めてみてください。
過去問を眺めてみるときには,以下の点に留意してみてください。
・どの分野からどれくらい出題されているか
・自身に解けそうな出題形式であるか
・各分野の把握
これらを過去問から把握しておくだけでも,予備試験一般教養科目の試験中に自分が解けそうな問題を解く助けとなり得ます。
じっくり過去問を眺めてみると,一般教養科目の問題の中に前提知識を必要としない問題が数題あることに気づくきます。
・論理問題
・現代文の問題 など
これらは,前提知識なく解くことができるので,現場で時間をたっぷり使ってでも得点すべき問題です。
また大学受験を終えたばかりの受験生や,特定の分野に詳しい人などは,自身の得意分野を現場で選んで解答できるようにしておきたいところです。
仮に知識が不十分だとしても,
・日本語の意味として成り立つか
・選択肢があまりに極端なことをいっていないか
などの一般常識も総動員し選択肢を絞り込み,1問でも多く稼ぐ意識で問題文を読みましょう。
また英語は大学受験で多くの人が勉強する分野ですが,一般教養科目で出題される英語は実はかなりレベルが高いです。
そのため英語に相当自信のある方でない限り,英語問題を選択することはお勧めしにくいところではあります。
▶︎ 模試を受けよう
予備試験短答式試験の一般教養科目は,自分に解けそうな問題を1問でも多く選択して解答できるかどうかが肝になります。
そこで予備試験短答式試験の直前期に行われる模試や答練を実際に受けて,現場で自身に解けそうな問題を取捨選択することができるかを確認しておくことをおすすめします。
★短答式試験対策は、これにまかせ!
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予備試験短答式試験の点数は法律基本科目で合格点を狙え!
予備試験の短答式試験では,各科目ごとの足切りはありません。
つまり予備試験短答式試験では,一般教養科目で0点であっても他の科目で合格点に達すれば短答式試験を合格できるということです。
そのため範囲が膨大でどこを勉強したらいいか絞りにくい一般教養科目を捨て,法律基本科目に勉強時間を費やす方が短答式試験の合格には効率的といえます。
とはいえ,予備試験短答式試験の一般教養科目の試験形式もわからず本試験に臨むのは,少なからず不安が残るでしょう。
勉強期間中には過去問を見てイメージを掴み,模試などで一度実際に問題を選んで解くという形式に触れてみることをおすすめします。
一般教養科目の勉強のウェイトを軽くする分,法律基本科目を1点でも多く獲得できるように短答試験対策をおこなっていきましょう。
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