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司法試験・予備試験に独学で合格するのはどれくらい難しい?

司法試験は難関資格で,一筋縄では合格できないと考えている方は多いでしょう。

そしていざ司法試験を目指したいと思い,自身の生活を振り返ってみると

・仕事をしていて時間がない
・法科大学院に通う時間がない
・とにかくお金をあまりかけられない

という壁に阻まれる方もいるのではないでしょうか?

そこで選択肢の1つとして,独学で勉強できないか?と頭をよぎる方もいることでしょう。

今回は、司法試験合格を目指すにあたり、独学で合格するにはどのくらい難しいのかを解説していきます。

最難関試験である司法試験とは

司法試験とは,法曹三者と言われる,

・裁判官
・検察官
・弁護士

になろうとする者に必要な学識,及びその応用能力を有するかどうかを判定する試験(司法試験法1条1項,3項)です。

試験は毎年1回,7月から行われます。

(※例年5月に行われていましたが,令和5年からは7月に実施されることになりました。)

■令和6年司法試験情報

【出願期間】 令和6年3月19日(火) ~ 令和6年4月2日(火)

【受験票発送】 令和6年6月14日(金) を予定

【試験の期日】 令和6年7月10日(水)、 11日(木)、 13日(土)、 14日(日)

【短答式試験成績発表】 令和6年8月1日(木) 16:00予定 法務省ホームページ (https://www.moj.go.jp/)

【短答式試験成績通知書発送】 令和6年8月中旬

【合格発表】 令和6年11月6日(水) 16:00予定 発表方法等詳細については、後日法務省ホームページ(https://www.moj.go.jp/)にて掲載

【合格通知書兼成績通知書発送】 令和6年11月中旬

【合格証書授与】 令和6年11月末 ※法務省サイトより抜粋

司法試験合格率について

過去直近10年間の司法試験合格率を掲載しました。

全体で20%台~40%台で合格率が推移しており,近年は年々合格率が上昇傾向にあります。

この推移の背景として,平成27年6月30日開催の最後の法曹養成制度改革顧問会議での内容が考えられます。

その内容を要約すると,社会の法的需要に応えるため,司法試験の受験規模が縮小するにしても1,500人程度の合格者を輩出されるよう取り組むということです。

そのため年々司法試験の受験者数が減少傾向にあるため、合格率が上昇しているとみることができます。

また、厳しい競争を勝ち抜いた予備試験合格組の参入の増加も見逃すことはできません。

 受験者数合格者数合格率
令和5年3,928人1,781人45.34%
令和4年3,082人1,403人45.52%
令和3年3,424人1,421人41.50%
令和2年3,703人1,450人39.16%
令和元年4,466人1,502人33.63%
平成30年5,238人1,525人29.11%
平成29年5,967人1,543人25.86%
平成28年6,899人1,583人22.95%
平成27年8,016人1,850人23.08%

※法務省データより抜粋

司法試験の受験資格について

司法試験の受験資格を得るためには,次の2つのルートがあります。

・法科大学院ルート
・予備試験ルート

独学で司法試験を目指すという視点に立てば、まずは予備試験に合格することが必須条件になります。

〇法科大学院ルート

法科大学院ルートでは,法科大学院を修了すれば,司法試験の受験資格を得ることができるというもので,2つのコースがあります。

・既修者コース……2年で修了
・未修者コース……3年で修了

〇予備試験ルート

予備試験ルートでは,受験資格や受験回数の制限なく,誰でも何度でもチャレンジすることのできる試験です。

予備試験に合格すれば法科大学院を修了しなくとも,司法試験を受験することが可能になります。

予備試験の試験科目は,以下の3つの試験があり,それぞれを順に合格していく必要があります。

1)短答式試験
2)論文式試験
3)口述式試験

以下に,司法試験と予備試験の試験科目の範囲を記します。

1)短答式試験

・司法試験……3科目(民法,憲法,刑法)

・予備試験……法律基本科目7科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法,刑事訴訟法)と,一般教養科目を加えた8科目

司法試験3科目民法,憲法,刑法 
予備試験8科目
(法律基本科目7科目+一般教養科目)
憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法, 刑法,刑事訴訟法一般教養科目

2)論文式試験

・司法試験……法律基本科目7科目に,選択科目を加えた8科目

・予備試験……法律基本科目7科目に,法律実務基礎科目(民事実務,刑事実務)及び,選択科目の3科目を加えた10科目

司法試験8科目
(法律基本科目7科目+選択科目)
憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,
刑法,刑事訴訟法
選択科目 (倒産法,租税法,経済法,知的財産法 労働法,
環境法,国際関係法(公法系) 国際関係法(私法系))
予備試験10科目
(法律基本科目7科目+法律実務基礎科目 +選択科目)
憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,
刑法,刑事訴訟法
法律実務基礎科目 (民事実務,刑事実務)
選択科目 (倒産法,租税法,経済法,知的財産法 労働法,
環境法,国際関係法(公法系) 国際関係法(私法系))

3)口述式試験 (予備試験のみ)

民事実務・刑事実務について質疑応答がなされる口述試験は,司法試験にはありません

そのため,予備試験の論文式試験に合格した場合には口述模試を受けるなど,口述式試験に特化した対策が必要となってきます。

なお,令和5年の予備試験は13,372人が受験し,479人が最終合格しているので,その合格率は3.6%でした。

近年の予備試験合格率はいずれも4.0%前後ですので,その難易度がいかに高いか推測できます。

法律学習の難しさ

司法試験・予備試験の難しさは,合格率として現れる数字の低さの前に,「法律学習」そのものの難しさを無視することができません。

たとえば,司法試験・予備試験共に頻出の会社法429条1項を,例にとってみます。

※会社法429条1項

「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは,当該役員等は,これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」

判例・通説は上記条文中の「その職務を行うについて」“任務懈怠”と読み替えます。

また「損害」については直接損害・間接損害共に含む,と解釈します。

しかし,上記の条文を読んでみても,“任務懈怠”という言葉や“直接”損害・“間接”損害という言葉は出てきません。

また,基本書等を読むことで判例通説では「その職務を行うについて」を“任務懈怠”と読み替えるのだな,ということが理解できたとしても,“懈怠”は聞き慣れない言葉でいまいちピンときません。

 

このように,法律の言葉はとても抽象的に書かれています。

 

法律初学者はその言葉・用法を理解することのほか,法律の解釈も苦労する方が多くいます。

先ほどの会社法429条1項であれば,なぜ任務懈怠と読み替えるのかについて,「同項は法定の特別責任を定めたものである」という説明が必要になるのです。

司法試験の勉強では、このようなロジックを一つ一つ噛み砕いて理解し,試験の答案に書けるレベルにまで実力を持っていかなくてはなりません。

根気強く,正しい方向性で勉強を継続することが,司法試験合格の必須条件なのです。

メリハリのある勉強が必須!だからこそ独学が難しい理由

司法試験に合格するためには,正しい方向性で学習を継続することが必須です。

 

ではここにいう“正しい”方向性とは何なのでしょうか。

 

方向性が合っていたとしても,どこまで勉強すれば足りるのか判断できるようになるのは,かなり学習が進んだ後です。

逆に言えば,この判断ができるようになる頃には合格も間近といえます。  

 

独学で勉強しようとすると,まずは基本書を購入しようと考える方が多いでしょう。

WEB上には司法試験の勉強におすすめな書籍などの情報もたくさんあります。

 

では、どの基本書を選びますか?

 

基本書といっても学者の数だけあります。

どの基本書がいわゆる通説に近いものなのか,自分に合っているのかを判断することはかなり難しいです。

そのため場合によっては司法試験の勉強の方向性を見誤ってしまうこともあり得ます。

そして手にした基本書を,どこまで,どのように勉強していきますか?  

法律の勉強をしていると,出てきた判例について参照することが求められます。

判例の事案・判旨・解説まで全てを読もうとすると時間がいくらあっても足りません。

結論だけ抑えればいいもの,事案の内容や判例に対する批判等まで事細かに抑えるべきもの,とを区別しメリハリをつけた判例学習を行うことが重要です。

これは司法試験や予備試験の受験勉強だけでなく、法律学習全般にいえます。

 

これらを全て1人でできるという場合は,独学も不可能ではないかもしれません。

しかし限られた時間の中で,特に初学者が,自分で濃淡をつけた勉強をすることは困難を極めます。

これが司法試験や予備試験の受験生が予備校を利用する理由の1つです。

予備校を利用していれば膨大な勉強範囲から,方向性を示してもらうことができるので、効率的に勉強することができるからです。  

 

例えば予備校の基礎講座では,文字情報だけでは分かりにくい分野や判例ごとの重要性の程度を,口頭からも理解することができます。

これは基本書を読むだけでは得難い情報です

耳と目でより記憶に定着させ,理解を深める効果もあります。

また論文の答案を書く練習(答練)を繰り返し受ける中で,何度も出てくる論点については重要度が高いのだなということが,自身の経験をもって理解できるようになります。

このように,予備校の講座を利用すると,インプットの段階からアウトプットの段階に至るまで,重要度に応じたメリハリのある学習を続けることが可能です。

様々な指針がある分だけ,独学で学習するより格段に早く“合格”という目標に近づけるのは言うまでもありません。

合格体験記を読むだけでも,司法試験の受験勉強に対して,とても参考になります。

司法試験合格者の勉強方法や,使用した書籍など,
辰已法律研究所にお寄せいただいた,司法試験合格の先輩の体験記,ぜひ一読してみてください!

⇒ 司法試験合格体験記はこちら

司法試験はあくまでも実務家登用試験である

基本書や判例解説は,学者が研究の結果をまとめたもので,その内容は精緻かつ論理的です(その分,時には興味深い記述がされ,時間を忘れて読んでしまうこともあるかもしれません)。

司法試験はあくまでも実務家登用試験で,法曹としてのポテンシャルがあるかどうかをみるための試験にすぎません。

つまり学者になるための試験ではないということです。

そのため基本書に書かれた学者の記述や,判例評釈の解説の全てを理解する必要はありません。

では,どこを、どこまで、その基本書を勉強したらよいのでしょうか。

 

全てを完璧に理解したいというマインドは素晴らしいのですが、司法試験合格の観点からみると合格から遠ざかってしまう傾向にあります。

これが、司法試験の勉強の方向性の問題です。

このようなことから,試験までに残された時間と相談しつつ,重要性の高いテーマや判例を見極め,そこを重点的に学習していくことが重要になってきます。

そのため予備校が提供する過去問分析講座や,予想論点をふんだんに盛り込んだ直前模試の活用がとても有益となるので,予備校を利用する方が多いのが現状です。

司法試験合格には法律家の文章の書き方(お作法)が必要である

司法試験や予備試験に合格するためには、

・短答式試験
・論文式試験
・口述式試験(予備試験のみ)

のそれぞれを突破する必要があります。

 

その中でも特に論文式試験では、“司法試験は実務家登用試験である”ということから,これから実務家になるための能力があることを採点者に示す必要があります。

そして,その際に必要になってくるのが,法的思考力・文章作成能力です。

法的思考力については,基本書を読む,インプット講座を受ける,短文事例問題集を解くといった方法で身につけることができます。

ですがいくら知識や法的思考力が身についていても,採点者が最終的に見ることができるのは提出された答案だけです。

頭の中でどれだけ完璧な法律論が構築できても,それを時間内に答案に反映できなければ,点数になりません。

つまり合格できないのです。

そこで,法的思考を答案に反映するための文章作成能力の重要性が浮き上がってきます。 

 

では司法試験・予備試験に合格するための,文章作成能力はどのように身につけたらいいのでしょうか?

 

まず,司法試験・予備試験で書く答案は,法律家にとっての共通言語ともいえる法的三段論法という法則に則って論理を展開していく必要があります

法的三段論法とは,大前提(条文や法解釈)に小前提(事実認定)をあてはめて本件事案の結論を導くというものです。

そして,大前提を論じる際には,問題となる条文の文言を的確に指摘し,文言に紐づけて解釈していくことが求められ,解釈については理由を述べた上で規範を定立することが不可欠です。  

 

法律の初学者の方はここまで読んで,大前提?条文の文言に解釈を紐づけ??規範を定立???と,謎が謎を呼ぶ状態になってしまうのではないでしょうか?

じゃあ、何をどうやって書けばいいの?!……と。  

 

このような司法試験答案の特有の書き方ともいえる“答案の型”を身につけることが,合格答案への第一歩になります。  

“答案の型”は水をいれる器をイメージすると分かりやすいのですが,穴の空いた器にいくら水をいれても器に水が一杯にならないのと同様に,“答案の型”を身につけないままいくら知識(=水)を入れても,合格答案に近づくことは難しいというわけです。

“答案の型”は,参考答案のついた問題集や過去問解析講座を受講することでも身につけることができます。

ですが論文の答案を書く力を飛躍的に伸ばすには、何よりも論文の答案を書く練習や過去問を実際に時間を測って解き,他人に添削してもらうことが近道で確実です。

 

実は参考答案を読んでいると,自分でも簡単に書けるような気がしてきます。

でも実際に書こうとすると「1行目って何から書いたらいいんだっけ?」「この論点はどこの文言と引きつけて書けばいいんだっけ?」といった疑問が湧いてくるはずです。

そしていざ論文の答案を添削してもらうと,書くべきことが書けていない場合が,実は多いのです。

この論文答案の添削により,思いのほか法的三段論法が崩れてしまっていたり,あるいは事実に対する評価が抜けてしまっていたりといった,自身の答案の弱みに気づくことができます。

このような気づきを自分1人の学習で得ることはハードルが高いため,上手に予備校の講座や添削サービスを利用することが合格への近道となるでしょう。

論文答案の書き方がわからない、どのように論文学習を進めたらよいかわからない、このような悩みを抱える受験生へ!

2021年予備試験合格(短答6位・論文3位・口述4位)
2022年司法試験合格(総合10位)

⇒ 予備試験・司法試験上位合格、清武 宗一郎講師が論文答案の書き方を伝授!

受験勉強のスケジュール感を掴むことの難しさ

これまで述べたように司法試験・予備試験合格に向けた勉強は難しく,さまざまなハードルが存在します。

また,法改正も多く,毎日新しい判例が生まれる法律学習においてどこまでが合格に必要な勉強内容なのか,正しく判断し続けていくことは大変困難です。

そうすると,正しく勉強内容の見極めができなかった結果,

・何も実にならないまま試験日が来てしまった
・モチベーションが維持できず,途中で挫折してしまう
・一から勉強をやり直そうと奮起し,結果的に遠回りをしてしまう

などのような事態にもなりかねません。

 

そうならないためにも,予備校の講座を自分にあった方法で活用した方が,司法試験合格には近道です。

スケジュールに合わせてインプット講座を受講したり,答練の実施日に合わせて起案の日程を確保してみたり,強制的にスケジュールを組まざるをえなくなり,結果的に学習をスムーズに進めることができるようになります。

予備校の利用目的として、

・勉強の方向性を間違えないため
・法律の内容や解釈を学ぶため
・論文答案の作法(書き方)を身に付けるため

など様々です。

むしろ強制的なスケジュール管理を組みたいがために予備校を利用する方もいます。

勉強を進めていると,ときに予備校のスケジュールが厳しいなと思うことがあるかもしれません。

ですがここは司法試験合格のため,できるだけスケジュールに沿った学習を進めてみてください。

法律学習は後ろの方まで行って初めて最初の方に習ったことが理解できるという場面が多いので,少しの消化不良感は正しく勉強できている証です。

また,答練を一緒に受ける仲間やいつでも相談できる講師との出会いは,勉強のモチベーション維持にも,勉強の方向性の正しさを担保するにも非常に有益です。

講師から気合を入れてもらい,仲間からは刺激を受け,一緒に合格に向けて走っていきましょう!

司法試験・予備試験に独学で合格するのは難しいのか

正直に言うと,司法試験や予備試験を独学で合格するのは,難しいです。

難しいですが,独学での勉強が絶対に無理なわけではありません。

ただし強靭な忍耐力・精神力・意志が,予備校などを利用している方以上に必要です。

法律学習をするのに恵まれた環境にいる方でも,モチベーションを維持するのは大変な労力を要します。

独学では,受験勉強にまつわるすべてを,1人で賄わなければなりません。

精神論的な話になってしまいましたが、辰已法律研究所をご利用いただいた合格者の方々も「あきらめないこと」と言われる方がなんと多いことか。

お寄せいただいた合格体験記にも多くの方がモチベーションの大切さを述べています。

長丁場の勉強期間に膨大な試験範囲,難しい法律の勉強,論文の答案の書き方の習得など、やることが多岐に渡り,これらをモチベーションを維持しつつこなさなければなりません。

これが司法試験や予備試験を独学で合格するのは,難しいという理由です。  

 

辰已法律研究所は、創業50年以上続く,法律資格試験予備校です。

その間多くの司法試験受験生と共に歩んでまいりました。

多くの悩みをお聞きし,合格を共に喜び,また受験勉強に対する多くのノウハウも培ってきました。

司法試験を目指すにあたり、どのような勉強をしたらいいか分からない、今の自分にどんな勉強が必要かわからない、司法試験を目指す悩める方へ、辰已法律研究所はいつでも頑張る受験生を応援しつづけます。

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