予備試験ガイド
予備試験の概要
予備試験はどのような試験?
予備試験(司法試験予備試験)とは、「法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する」(司法試験法)試験です。
合格すると、司法試験の受験資格が与えられます。
受験資格は?
受験資格及び受験期間の制限はありません。どなたでも受験できます。
試験科目は?
- 短答式試験
法律基本科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法及び刑事訴訟法)
一般教養科目(人文科学、社会科学、自然科学及び英語) - 論文式試験
法律基本科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法及び刑事訴訟法)
法律実務基礎科目(民事・刑事)
選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)及び国際関係法(私法系)のうち受験者のあらかじめ選択する一科目) - 口述試験
法律実務基礎科目(民事・刑事)
試験形式は?
- 短答式試験
マークシートによる解答 - 論文式試験
論述式による解答 - 口述試験
試験官の問いに対する口頭での解答
試験時間は?
- 短答式試験
●法律基本科目
・憲法と行政法:あわせて1時間。各科目10問~15問程度
・民法、商法 と民事訴訟法:あわせて1時間30分。各科目10問~15問程度
・刑法と刑事訴訟法:あわせて 1時間。各科目10問~15問程度
●一般教養科目
1時間30分。20問(全40問程度のうち20問を選択して解答する) - 論文式試験
●法律基本科目
・憲法と行政法:あわせて2時間20分。各1問
・民法、商法 と民事訴訟法:あわせて3時間30分。各1問
・刑法と刑事訴訟法:あわせて 2時間20分。各1問
●法律実務基礎科目(民事・刑事)
3時間。2問(民事・刑事各1問)
●選択科目
1時間10分。1問 - 口述試験
法律科目実務基礎科目(民事・刑事)目安として各10分~20分程度
予備試験のスケジュール
予備試験のメリット・デメリット
メリットその1
司法試験合格率が高い
受験者の属性に注目して司法試験合格率を見てみると、予備試験合格者全体の合格率が非常に高いことがわかります。大学在学中予備試験合格者の数字はさらに驚異的な数字に。予備試験に合格できるレベルまで達すれば司法試験の合格はすぐそこです。
※2022年司法試験
予備試験合格の受験資格で405人が受験し、395人(97.5%)が最終合格
法科大学院課程修了の受験資格で2677人が受験し、1008人(37.8%)が最終合格
メリットその2
コストパフォーマンスが高い
(1)時間的コスト
司法試験の受験資格を得るためのもう一つの方法として、法科大学院の修了があります。
法科大学院入試では、受験資格として、原則4年制大学を卒業していること(あるいは卒業見込みであること)が求められます 。入学後は法学既修者コース2年間、法学未修者コース3年間の在学期間があり、修了するまで司法試験を受験することができません。
予備試験は、受験資格の制限がありません。年齢・学歴に関係なく、どなたでも受験することができます。合格すれば約半年後に司法試験を受験することができるため、首尾よくいけば少なくとも2年早く実務に就くことができます。
(2)経済的コスト
法科大学院に進学すると、総額200~500万円程度の費用がかかります。
予備試験の受験料は17,500円。利用する受験指導校、講座、書籍、合格までの受験期間により費用が大きく異なりますが、早く合格すればするだけ費用が抑えられます。
メリットその3
予備試験対策はムダにならない
予備試験は合格率3~ 4%程度の難関試験です。司法試験の受験資格を取得する確実性は法科大学院ルートより低いといえます。しかし、仮に予備試験に合格できなかった場合も、予備試験を目指した学習は決してムダになりません。
その場合は、法科大学院の法学既修者コースへ進学しましょう。予備試験の試験科目は、法科大学院の法学既修者コースの試験科目をすべて包含しています。予備試験は、法科大学院修了レベルを認定する試験ですので、予備試験合格を目指した学習をしていれば、おのずと法科大学院既修者コースの対策になります。予備試験と法科大学院を併願することで、司法試験の受験資格を「確実に」首尾よく行けば「早く」得ることができるのです。
また、進路変更をする場合も、試験科目に重なりの多い公務員試験、その他法律系資格試験において予備試験対策の学習経験が活かされます。予備試験は難関試験ですが、受験する上でのデメリットは少なく、むしろメリットの多い試験といえるでしょう。
デメリットその1
予備試験の合格率は低い
予備試験の合格率は毎年3~ 4%程度の難関試験です。司法試験の受験資格を取得する確実性は、法科大学院を修了すれば必ず受験資格を得られる法科大学院ルートより低いといえます。
デメリットその2
合格まで時間がかかる可能性も
予備試験に合格すれば翌年からの受験資格が得られるため、合格しさえすればすぐに司法試験の受験資格を得られます。しかし、予備試験は合格率が毎年3~ 4%程度の難関試験ですので、合格するまでに、法科大学院ルートでの学習期間(2年又は3年)以上に時間がかかる可能性もあります。
デメリットその3
合格までの期間によっては費用負担が大きくなる
予備試験にかかる費用は、受験料17,500円の他には、主に受験指導校の講座、書籍代となります。早期に合格すれば、それだけ費用は掛からずに済みます。しかし、合格までの期間が長引いてしまうと、毎年受験料や講座、書籍代を支出することになり、費用負担が大きくなります。
予備試験に合格するためには
法学の知識は膨大です。短い期間で合格するためには、予備試験(司法試験予備試験)および司法試験突破に必要な知識、そうではない知識を取捨選択し、メリハリをつけて効率良く学習することが必要になります。その取捨選択を独学で行うのは難しいでしょう。何をどの程度学習すればよいか分からないまま漫然と学習を続け、時間ばかりが経過してしまったということになりかねません。その点、予備校の「入門講座」「基礎講座」は、「入門」「基礎」といいながら司法試験予備試験および司法試験に合格をするために必要な知識の大部分を網羅しています。
原孝至・基礎講座のご案内
原孝至・基礎講座は、単なる知識の積み上げとは異なる、知識の使い方を学ぶ実践的な講座です。
毎回の講義で、予備試験・司法試験で出題された「事例問題」を扱い、何が問題となり、何が解決となるのか、そのために必要な知識は何であるか、どう表現すれば論理的に相手を説得できるのかを確認します。司法試験対策答練及び模試に定評のある辰已が、持てるノウハウすべてを注ぎ込んでお届けします。