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過去の努力を疑うことが合格に繋がった

Y.Mさん
受験歴: 1回
慶応義塾大学
2024年予備試験合格
【受講歴】全国公開模試
2025年度

司法試験とは「努力の量」ではなく
「法をどれだけ自在に操れるか」を測る試験だとの気づき

1 「あと少しの努力」

「必死で頑張る」「努力する」。言葉にするのは簡単です。
しかし、若く優秀な受験生たちが必死に勉強しているこの世界で、何度も不合格になった人間が、彼らと同じ努力を重ねても、結果が変わるとは限りません。何度も不合格になる以上、必ず何らかの原因が存在します。その原因を直視しないまま努力だけを積み重ねても、成果は積み上がらず、待っている結果はこれまでと同じものになるのではないでしょうか。特に、合格基準点付近で不合格になった翌年に、社会人が「確実に」合格したいのであれば、必要なのは「あと少しの努力」ではありません。大量に存在する合格基準点周辺の現役受験生をまとめて抜き去るだけの、明確な工夫と戦略が必要だと考えました。

2 予備試験編

(1)決定的な気づき

私は、予備試験になかなか合格できませんでした。「実力はあるはずだ」と自分に言い聞かせていましたが、知人が合格する一方で、自身が停滞している現実に直面したとき、初めて自分自身に対し、「本当に実力はあるのか」「そもそも実力とは何か」を真剣に問い直しました。
そこで気づいたのは、不合格者はあらゆる質問に対する反応が鈍いということでした。私自身も同様で、質問されても即座に答えられませんでした。一方、合格者は反応が非常に速い。この差は、「知っているかどうか」ではなく、「知識の精度」と「引き出す速さ」、すなわちアクセス速度にあるのではないでしょうか
予備試験について「ベテラン排除の試験」と言われることがあります。しかし、試験が特定の層を意図的に排除しているとは思えません。学習期間が二年の受験生は、二年分の新しい知識だけを持って試験場に立つ。使用頻度も高く、脳内の検索経路が太いため、迷いなく知識を取り出すことができる。一方で、学習期間が長くなるほど、同じ論点を何度もなぞるだけになり、刺激が弱まっていく。その結果、「理解したつもり」のまま、特定の問題集でしか反応しない形式依存の脆い知識が蓄積されていく。五年学習しているからといって、五年分の知識を自在に使えるわけではなく、古びた理解と惰性を抱えて試験場に立ってしまう。
いわゆる「ベテラン排除」の正体は、このような知識の更新と再構築が止まった状態にあるのではないかと思います。裏を返せば、曖昧さを放置せず、知識を磨き直し続けていれば、不利になる理由は何一つありません
司法試験は「努力の量」ではなく、「今の自分が、法をどれだけ自在に扱えるか」を測る試験だと考えた私は、「使い道のわからない武器を大量に集める」発想を捨て、「刀を鍛え、自由に使いこなす」発想へと転換しました。そのために、以下で述べるように、生活習慣やツールを全て見直しました。ここでは、精神論を捨て、自分を疑い(ヒューマンエラーを前提にする)、環境・ツール・計画といった仕組みで解決することや、楽しさを設計し、継続性を担保することを目指し、自分自身の根性や努力には一切期待しないようにしました。また、一般に推奨されることでも自分にあわないものは導入しませんでした。

(2)学習環境とルールの徹底

アウトプット中心の基本知識総復習

論点網羅型の問題集を用意し、何を習得できており、何が不足しているかを選別しました。そして、記憶周期を利用した自作のAI単語帳を用いて、アウトプット式反復学習を行いました。不正確な知識や、アクセスできない知識を排除することを目的とし、基本論点ほど手を抜かず、条文を起点に正確に理解し、論証できているかを丁寧に確認しました。この学習法は、全てのベースとして、司法試験合格まで、脳の負荷を意識して、あらゆる場所で徹底的に繰り返しました。精度の高い論証を自由に使えることが目標だったので、論証パターン悪玉論は気にせず、常に論証を改訂し続けました

スマホとタブレットの役割分担

スマートフォンをSNSやネット閲覧に使うと、脳が娯楽ツールと認識し、集中を妨げると感じました。そこで、LINEやネット閲覧はすべてタブレットで行い、スマートフォンは完全に勉強専用ツールとして位置づけました。その結果、スマートフォンを手に取った瞬間に、自然と学習モードに入るようになりました。

脳のゴールデンタイムの活用

起床後すぐに単語帳を確認し、記憶力が最も高い時間帯をインプット・アウトプットに充てました。一方で、就寝前の暗記は睡眠の質を下げると感じたため、取り入れませんでした。

努力と根性の排除

朝起きてすぐ、机に向かうというハードルはとてつもなく高いと感じました。しかし、スマホ単語帳を用いた学習は、やるべきタスクが明確で、目覚めてすぐ、布団の中で効果的に学習可能なので、努力や根性に頼らず、学習習慣ができました。やる気のない日は、布団の中で単語帳やるだけでオッケーとしていました。下手したら休日の半分くらいは布団の中でゴロゴロしていたかもしれません。

「場所」と「楽しさ」への投資

単調な学習は刺激が弱まり、記憶効率が落ちると考え、時間単位で学習場所を頻繁に変えました。ミニ旅行や公園、カフェなどを活用し、環境の変化を記憶のフックとして利用しました。費用はかかりましたが、それ以上の効果がありました。
また、「今日はあのカフェで美味しいもの食べながらやろう」など、楽しさを混ぜていました。学習を継続するためには「楽しさ」を意識的に設計することが重要です。初学者の頃は新鮮だった法律学習も、繰り返すうちに作業化してしまいます。楽しさを取り戻す工夫は、重要な技術の一つだと思います。

(3)結果

これらの取り組みが功を奏し、予備試験を突破することができました。なお、実際の起案はほとんどやりませんでした。これは、過去の答練を通じて既に自分のベースが出来上がっていたためです。特に、直前期に膨大な時間をかけて起案をすることはコスパが悪いと感じ、通常とは逆ですが、予備試験については、書くことよりも錆びついた基本知識の習得を何よりも優先しました

3 司法試験編

(1)過去問は後回しにした理由

予備試験合格後、一般に言われる「すぐに過去問を解く」というセオリーを、あえて採用せず、論証の再定着を優先しました。久しぶりに触れる単語帳は、他人が作った教材のように感じられ、脳へのフックが弱くなっていたため、新たに作り直しました。論証の再構築には、生成AIの有料版を使用しました。自分の思考をぶつけ、納得いくまで対話を重ねるためには、性能と試行回数の自由度が必要だと考えたからです。この手法は非常に有益で、場所を選ばず法的思考を鍛えることができました。最終的に、論証の反復回数は1万回を超えていたと思います。
本格的に過去問を解き始めたのは5月頃でした。一般には推奨されないかもしれませんが、自分にとっては最良の選択でした。
その理由は、第一に、不確実性への備えです。論証の精度とアクセス速度を高めた状態で過去問に取り組むことで、本試験との距離を正確に測ることができました。構成時間と筆記時間を計測し、残り時間が30分でも、答案を書ききるよう準備しました。また、試験中にわざとトイレにいく実験を繰り返し、トイレに行くことはマイナスではなく、むしろ思考が活性化され、思わぬ解決法が浮かぶことを確認しました。このように、本試験問題を活用し、どのような状況でも答案を作れるという感覚を事前に得ることができました。

第二に、知識の実戦での脆さを把握するためです。単語帳では完璧でも、形式が変わると出てこない知識があることに気づきました。中途半端な状態で過去問に入ると、知識不足かアクセス不具合か区別がつかないことがあります。基礎を固めた後に過去問に入ることで、「形式依存の知識」だけを明確に炙り出すことができました。
その結果、未知の問題に対しても、条文や基本原理から自然に解決の道筋を探れるようになりました。過去問は「知識を試すもの」から、「法という刀をどう使うかを考える対象」へと変わり、本試験に対する不安は楽しみに変わっていきました。

(2)本試験当日

本試験当日も、不確実性の排除を最優先し、交通トラブルのみをリスクとして考え、会場には二時間以上前に到着しました。当日の勉強は、出発前の単語帳確認のみとし、会場では知人と談笑して過ごしました。側から見れば油断しているように見えたかもしれませんが、やるべきことはすべてやり切っており、最大パフォーマンスのために、休むことが最善だと確信していました。なお、試験期間初日と2日目は、自宅マンションの火災報知器が誤作動で鳴るという人生初トラブルで、いずれも朝3時に叩き起こされ、二度寝もできない状態でした。あまりのタイミングの悪さに呆れつつも、不思議と動揺はなく、「転換期に訪れる試練としては面白いし、合格後のネタになる」と考えていました。
試験は、手に馴染んだ刀を8本携えて臨む感覚で、終始楽しく取り組めました。プレッシャーに弱い私が、昼休みにカツ丼の大盛りを食べられるほど、心身に余裕があったことが印象に残っています。

4 結び

かつて不合格通知を受け取るたび、「来年こそは必ず合格する」と決意していました。しかし、それは願望に過ぎなかったのだと思います。「頑張れば報われる」という、精神論で、現実を曲げようとしていただけかもしれません。今回合格して感じた「勝つべくして勝つ」という感覚は、それとは全く異なるものでした。ここに書いたことは、あくまで私が実践した一例に過ぎませんが、何度も不合格を経験しながら前に進もうとしている方に、少しでも参考になれば幸いです。私自身、この経験で学んだことは、今後の道に迷った時の指針として刻んでいこうと思っています。
最後に、お世話になった予備校の答練や模試について触れておきたいと思います。
私が合格できなかったのは、当時の私が、それらを効果的な形で活用できていなかったのだと考えています。そうだとしても、積み重ねた演習、良質な問題、繰り返し答案を書く中で身についた思考の型は、確実に私のベースとなっていました。学習方法を大きく転換した際にも、このベースがあったからこそ、「何を削り、何を鍛えるべきか」を見極めることができたのだと思います。もし初学の段階からこれらを適切に活用できていれば、結果はもっと早く出ていたかもしれません。そういう意味で、答練や模試は極めて有効な教材であり、使い方を誤ってなお、私の合格を下支えしてくれた重要な要素の一つでした。過去問をやりつくした後、自分なりのテーマを持って役立てていけると思います。

5 番外編 短答対策

短答対策では、過去問と肢別本の以外に特別なことはしていません。ただし、「二度とやらない問題」を増やすことを強く意識しました。具体的には、原則として肢単位で管理し、理由も含めて絶対に間違えない肢だけを「〇」とし、塗りつぶして視界から排除しました。少しでも曖昧が残る肢は全て「×」としました。中途半端な「△」は一切認めませんでした。これにより、直前期には弱点だけを高速で回す高密度な学習が可能になりました。

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