純粋未修・理系研究者が 司法試験に合格するまでを振り返る
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
私は純粋未修者であり、かつ前職がメーカーの研究職です。そんな、一見すると法律に縁がなさそうな人間が、何故司法試験を受験し、合格できたのか、振り返ってみたいと思います。
(1)法曹に関心が湧いた思い出
元々、法律は嫌いではありませんでした。私と同年代の方は同じ経験があるかも知れませんが、私の出身中学校の授業では、憲法の前文を暗唱させるテストがあり、私はノリノリで暗証していました。そんな私ですが、「理系科目の方が文系科目よりも明らかに面白いし、将来性がある」という思いが捨てられず、理系に進むことにしました。母校である県立浦和高校では理系クラスに進み、北海道大学工学部、同大大学院に進学して高分子化学を研究しました。そして、某メーカーの研究所に研究開発職で就職し、ノーベル賞を受賞するとの意気込みを持って研究に邁進していました。
しかし、研究を進めるにつれて、研究者たちが素晴らしい研究成果を上げる一方で、その研究成果が十分に保護されておらず、その価値が十分に発揮されていないと感じるようになりました。「これでは優秀な研究者が生まれなくなるし、日本の世界における技術的地位が危ぶまれる」との考えから、発明を保護し、権利侵害から守る専門家である弁理士になろうと考えました。その後、無事に弁理士資格を取得でき、法律事務所に入所しました。法律事務所で弁理士として働く中で、他人に権利を侵害されている方や、侵害しているとして警告を受けている方のお話を伺い、「発明を保護し、権利侵害から守るためには弁護士として法廷に立つべきだ」と考えるに至りました。そこで、東京大学の法科大学院に進学することとしました。
(2)合格への軌跡
弁理士資格を有しているとはいえ、司法試験科目としての法律(法学)を全く学んでいなかった私は、未修コースに進学しました。未修コースの入学試験科目には法律科目が無いため、司法試験科目としての法律については、この時点でも学習を開始できていませんでした。もっとも、それ故に法科大学院の授業は簡単な内容から始まるものと思っていましたが、授業は1年次から難解で、かつ、周囲の学生は優秀な人達ばかりでした。考えてみれば当然で、法学部を卒業して、既習コースに入学した学生と2年次から合流するのですから、高速かつ高密度で法律を学ぶ必要がありました。1年次の私は授業に食らいつくだけで精一杯で、司法試験対策としての別個の学習はできませんでした。しかし、一方で、授業の予習復習だけは真面目に取り組もうと考え、がむしゃらに予習復習を行いました。
2年次では既習コースの学生が合流し、より深い法律理解や法的思考、判例解釈が求められ、学ぶべき内容が質・量ともに増加しました。私が聞いたことも無いと感じる問題も、周囲の学生達は当然に解答していく中で、心が折れそうになりましたが、それでもひたすら授業に食らいつきました。
そして3年次では、それまでの2年間の学習効果が出てきたのか、または授業のコマ数がそれまでよりも減ったためか、学習に余裕が出始め、やっと司法試験対策としての別個の学習を開始しました。「在学中受験」に挑戦する予定であったため、その年の本試験日までに残された時間は少なく、出来ること(やるべきこと)と出来ないこと(やるべきでないこと)を切り分ける必要がありました。そこで、私は、「条文」、「判例」、「論文の書き方」に注力することにしました。
具体的には、
①「判例六法を使って条文素読を行うとともに重要判例の極簡単な内容を確認し、判例百選掲載の判例で知らないものがあれば判例百選を参照して事案の概要及び判旨を確認する」、
②「短答マターのインプットとして数年分の短答式試験の過去問を複数回(周)演習することで、確実に足切りを回避できるようにする」、
③「論文の書き方を身に付けるため、毎週複数通の答案を作成し、先輩弁護士の添削指導を受ける」
ことを最低ラインと定めました。
しかしながら、スケジュール通りには進まず、その年の司法試験本試験当日までに最低ラインをクリアしたとの確信は得られませんでした。その年の司法試験受験後は、本試験論文式試験答案の再現答案の作成が済み次第これらの学習を再開・継続しました。その年の司法試験は不合格であり、不合格が通知された11月上旬から再度スケジュールを組み直しました。結果こそ不合格でしたが、実力が付いた実感はあったため、学習の方向性は変更せず、完成度を上げる学習計画・目標を立てました。上述の①~③を丁寧に行い、法科大学院卒業後の3月~5月には模試等も活用しながら学習を進め、直前期(5月~7月)は更に趣旨・規範集などを活用してインプットの精度を上げました。そして、司法試験本試験当日に向けて、体調管理にも注意し、本番で最高のパフォーマンスを出す(出せるように準備する)ことも意識しました。
以上の努力が実を結び、無事に令和7年の司法試験に最終合格できました。
(3)独学、法学部、法科大学院、予備校、それぞれどんな活用をしたか
私は法学部を出ておらず、学習の中心は法科大学院の授業でした。授業を受けていた当時は、「授業が難しすぎるし、予習復習が大変すぎて司法試験の対策ができない。このままではいつ合格できるか分からない。」と非常に不安に思っていましたが、今になって思うに、非常に深いレベルで法的思考や判例解釈を教わったおかげで、どのような問題にも対応できる応用力が付いたように感じます。他の学問も同様ですが、法律は体系的理解が必要であり、途中で投げ出さずに継続することが大切だと思います。本当につらい時期でしたが、必死に授業に食らいついた甲斐がありました。
また、予備校については、上述の通り、各予備校主催の模試や、辰已法律研究所の出している趣旨規範ハンドブックやハイローヤーを本試験前に活用しました。短時間でのインプットが可能な点や、本試験と同様のスケジュールや雰囲気を経験できる点でとても有用だったと感じています。
2 受験対策
(1)辰已法律研究所を知ったきっかけ
先輩弁護士からの口コミや、書店で上述の参考書などを見かけて知りました。
(2)私がやって成功した方法
上述の①~③は「私がやって成功した方法」といえると思います。最低限の知識をインプットし、何度もアウトプット(答案作成)しては誰かに見てもらう、という勉強方法は確実に合格に向かって前進できると思います。その際、答案を見せる相手は、司法試験に合格している人だとより良いと思います。予備校等を利用するか、合格者である友人等に依頼してみて下さい。
また、各予備校主催の模試や、辰已法律研究所の出している趣旨規範ハンドブックやハイローヤーを本試験前に活用したことも、「私がやって成功した方法」といえると思います。
(3)私が使用した本
辰已法律研究所の出している書籍では、趣旨規範ハンドブック、ハイローヤー、論文過去問答案パーフェクトぶんせき本、肢別本を使用しました。
趣旨規範ハンドブックは、直前期にインプットの精度を上げるのに役立ちました。また、当日の試験会場でも最終チェックに使用しました。
ハイローヤー(春号)も、当日の試験会場での最終チェックに使用しました。また、出題予想が当たっていた点でも役に立ちました
論文過去問答案パーフェクトぶんせき本は、日々の論文式試験の過去問演習において、合格答案の書き方(評価される書き方)を学ぶ上で役に立ちました。
肢別本は、短答式試験における頻出論点を重点的に学習するうえで役に立ちました。
3 自己の体験を踏まえ、これから受験する方へのアドバイス
(1)LS在学生へのアドバイス
未修の学生については、とにかく授業に食らいつくことが必要だと思います。途中で投げ出すことなく、やり切って下さい。体系的理解ができてくると、法律学習がどんどん楽しくなってくるはずです。
(2)来年初めて受験する方へのアドバイス
来年(令和8年)の試験からCBTが始まり、非常に不安だと思います。しかし、不安なのは全員一緒なので、開き直って下さい。試験日までの自分の努力を信じて、全力を尽くすことに集中して下さい。
(3)来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス
CBTが始まり、来年初めて受験する方以上に不安だと思います。しかし、努力は裏切りません。これまでの努力は、CBTに変わっても力になってくれます。これまでの自分の努力を信じて、全力を尽くすことに集中して下さい。
(4)社会人受験生へのアドバイス
出来ること(やるべきこと)と出来ないこと(やるべきでないこと)を切り分けて下さい。出来ること(やるべきこと)に集中することで、学習の効率は格段に上がります。時間があると思うことによる油断が無い分、むしろ有利であると考えて下さい。
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