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経済法選択の良い点悪い点

O.Kさん
受験歴: 1回
早稲田大学法学部
早稲田大学法科大学院【既修】2022年入学・2024年修了
【受講歴】全国公開模試
2024年度

1 経済法を選んだ理由

 私が経済法を選んだのは、
①経済法選択者の合格率が高かったこと
②勉強量が少ないと言われていたこと、
③刑法に似ていて答案が書きやすいと言われていたこと
などに魅力を感じたからです。他の選択科目を勉強したことはないので相対的な勉強量は分かりかねますが、コツをつかめば暗記量は非常に少ないと思いますし、経済法の勉強が大変でほかに手が回らないといったことは周りの選択者を見てもありませんでした。

 刑法に似ているというのは個人的にはそこまで感じませんでしたが、むしろ憲法に似ていると感じました。というのも経済法の答案の型は①独禁法違反か②違反するとして正当化事由があるか、といったものになっているので①人権制約はあるか②あるとしても正当化できないか、という型の憲法に近いように感じました。とはいえ、刑法の知識も憲法の知識も特に必要ないですし、どちらにせよ型がある点で経済法の答案はとても書きやすいので特に気にしなくていいと思います。

 選択してみて感じたのは確かに楽な科目ではありますが実務の観点から使う機会はなさそうだという事です。選択法の中で実務的にも汎用性がありそうなのは労働法や倒産法、租税法なので、後々勉強するのが面倒な人や将来こういった分野に携わりたい人はこれらを取ることもいい選択だと思います。ただ、本体験記を読めば分かりますがとにかく試験対策を楽にしたいという私のような方には経済法がとてもおすすめです。

2 インプットにどれぐらいの所要時間か

 大学院の講義と一緒に他塾のインプット講座を受けていたので正確な時間は分かりませんが、一か月もあれば一通りさらうことができると思います。

3 論文試験対策に最も役立った書籍や講座

 私は、
①辰已の「司法試験論文対策 1冊だけで経済法(改訂版)」
②ロースクールの先生が作った論証
③商事法務の「論点解析経済法」
を主に使用していました。

 まず①の本は全年分の過去問と出題趣旨・採点実感に加え、上位の再現答案まで載っているほか、趣旨規範ハンドブック(≒論証)もついているので、経済法対策として文字通りこの一冊で完結するような内容になっています。もっとも、私は過去に考査委員も務められたロースクールの先生の授業を受講しており、論証に関してはそちらを参照していた(上記②)ので実際の使用用途としては過去問演習に限られていました。それでも過去問演習としての使用感は非常に良かったです。

 というのも、全年分の過去問・出題趣旨・採点実感が載っているにもかかわらずサイズが驚くほどコンパクトです。なので試験当日は上述した②の論証とこの本のみを持参しました。また経済法に関しては出題趣旨等を見ても受験生に対する要求水準がそこまで高くないので、上位の再現答案が現実的に目指せるものです。したがって何位の再現答案なのか、そして再現答案に対する講評も書かれている本書はとても参考になりました。

 次に②に関してですが、これは教授が考査委員の観点から点数がもらえるであろう論証を提示してくれていたのでそれを適宜加筆修正して論証集にしました。もっとも、これを使っていたのは加点を得るためであって合格という観点からは①の本に掲載されている論証で充分だと思います。

 最後に③についてですが、過去問も一通り終えて若干時間があったので直前期に答案構成だけして解説を読むというような使い方をしました。論点解析の良いところは司法試験に出題されそうな応用問題ばかりが載っている点であり、実際に私の受験した年は論点解析と類似の問題かつ過去問で出たことのない問題が1題出題されました。経済法は過去問の焼き直しが多かったりするので正直論点解析から出るとは思っていませんでしたが、結果的に答案構成だけでもしておいてよかったなと感じました。プラスαの教材としてはとてもおすすめですし、ここまでやれば間違いなく上位答案になるのではないかと思います。

4 選択科目を、いつどのぐらいの時間をかけたか

 選択科目を勉強し始めたのはロースクールに入学する前の2月~3月くらいの時期だったと記憶しています。入学前にとても浅い学習をし、入学後に授業と並行して勉強するような形でした。入学後は他科目の授業についていくのに精いっぱいだったのでそこまで勉強時間はかけられませんでした。前期後期で範囲を半分ずつに分けて学習していくのですが、期末試験の前に急いで詰め込むような勉強しかできませんでした。

 もっとも3年生の春に経済法の過去問演習をする授業を取り、授業で扱わない過去問を自習することでようやく自信のある答案を書けるようにはなりました。ちなみに私は期末試験を含めて3時間の時間制限で演習を行ったことがほとんどなく5月の模試で大途中答案になるなどかなり焦った経験があるので、3時間で解く練習は早めにした方がいいと思います。

5 公法系、民事系、刑事系との比率はどれぐらいと割り切っていたか

 上述した通り他科目を優先し経済法はかなり後回しにしていました。期末試験の前以外は授業を受ける他に何もしていなかったほどです。

 もっとも、経済法は何パターンかある論証を暗記し、問題文を見てそれを適切に選択することができればあとは型に乗せて処理するだけなのでコツをつかめばそこまで勉強時間を要さずに得点することができます。そのコツをつかんだのは過去問演習が一通り終わった頃でしたが、一応間に合ってはいたので私のように他の科目を優先しても十分合格水準に達することはできると思います。

6 最後に

 以上からわかる通り経済法は非常にコスパがいい科目であり、実務で使えるかはわかりませんが勉強していてつまらない科目ではありませんでした。むしろ自分の成長が目に見えて分かるので勉強していて楽しい科目でした。

 ただ就活をしていると労働法の知識が欲しくなりますし、将来個人事業主になることを考えると税法の知識も必須だと思うので、他法を選択していればよかったと思うことがないわけではありません。このように何を重要視するかで選択する法律が変わってくると思うので、私の体験記がその選択の一助になっていれば幸いです。

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