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選択科目の選び方と労働法の良い部分

T.Kさん
受験歴: 2回
明治大学法科大学院修了
【受講歴】全国公開模試
2024年度

1 労働法を選んだ理由

(1)メリット

 私は労働法を選択科目として選びました。その理由は、弁護士になった後の実務に直結する内容を学ぶほうが有益だと考えたこと、そして受験者数が多いことから教材が充実していると判断したことにあります。しかし、現在振り返ってみると、他の科目についての情報をもっと慎重に収集し、多角的に考慮した上で選択するべきだったと感じています。

 労働法は非常に広範な内容を持つ科目であり、多数の判例を理解し、それに基づく法的規範を正確に覚える必要があります。さらに、過去問で出題される内容も広範囲にわたるため、最新の議論や動向を追い続けなければなりません。その一方で、他の科目では過去問に繰り返し登場する論点があり、それらを集中的に対策することで効率的に得点が可能である場合も多いと聞いています。

 少なくとも選択科目全般について、受験生の友人たちから話を聞いた限りでは、労働法は教材が非常に充実している点では突出しているものの、受験勉強の効率という観点から見ると決して最適な科目ではなかったように思います。しかし、実務では必ず使う科目ですし、学生という身分からすれば、自分だけでなく友人のことも労働関係のトラブルから助けることができる、学びがいのある科目だと思っています。

(2)特徴

 労働法は他の科目と比較しても、最新の判例が頻繁に更新される特徴があります。このため、最新の情報に常に追いついていくことが重要です。新しい判例が出た場合でも、数年後には司法試験で主要な論点として出題されることが少なくありません。そのため、最新判例のチェックを怠ることは避けるべきであり、情報をアップデートし続けることが、労働法で高得点を取るためには欠かせません。

 労働法の基本書やテキストは、上記のようなアップデートに伴い、頻繁に改訂が行われます。この改訂によって、新たな判例や議論が取り入れられる一方で、受験生にとっては追加の負担が生じます。一度購入した教材や受講した講座があっても、最新版に情報が劣ることは避けられません。学生としては、新しい教材を次々と購入することが経済的に難しい場合もあり、この点が学習の大きな課題となります。
こうした背景を考えると、労働法のように最新判例のフォローが頻繁に必要な科目は、学習コストの面で注意が必要です。教材の更新頻度が低く、長期間使用できる科目を選ぶことは、コストパフォーマンスの観点から有利であると言えます。自分が使える予算をどの科目や教材に振り分けるかは、司法試験合格のための戦略の一部であり、効果的な学習計画を立てる上で重要な判断材料となります。

 例えば、基本書の改訂が少なく、教材の買い替え頻度が低い科目を選択することで、より安定した学習環境を整えたり、その分を他の科目の教材や講座に充てることができたりします。

 結局のところ、選択科目の決定や教材の選び方は、学習の効率性だけでなく、経済的な負担を含めた総合的な戦略に基づいて考えるべきだと感じています。こうした視点を持つことは司法試験合格に重要なことだと考えています。

2 論文試験対策に最も役立った書籍や講座

(1)1冊だけで労働法

 私は、辰已法律研究所の「一冊だけで労働法」という教材を活用していました。この教材には労働法の趣旨規範ハンドブックが付属しており、労働法の重要な趣旨や規範が簡潔かつ的確に整理されています。この特徴が非常に使いやすく、私はこれを土台として、自分なりのまとめノートを作成しました。

 労働法を学ぶ際には、判例の理解や法的規範の習得が重要ですが、情報量が多すぎると効率的な学習が難しくなることがあります。他の予備校が販売している論証集も検討しましたが、全体的に文量が多すぎる印象を受けました。これらの論証集は、判例や論点を細かく網羅している点で優れていますが、試験本番で実際に活用できる情報という観点からは、内容が多すぎると感じました。

 一方、「趣旨規範ハンドブック」は、必要な情報が簡潔にまとめられており、試験対策として負担になりすぎない適度なボリュームが魅力的です。この教材を活用することで、試験に必要な知識を効率的に整理しながらインプットできました。また、自作のまとめノートを作成する際にも、このハンドブックが基盤となることで、より自分に合った形で内容をカスタマイズすることができました。

 結果として、「一冊だけで労働法」を利用した学習法は、効率的かつ実践的な試験対策に非常に役立ったと感じています。自分なりのノートを作ることで、労働法の要点をより深く理解し、自信を持って本番に臨むことができました。この教材は、労働法を効率的に学びたい受験生にとって、とても有用な選択肢だと思います。

(2)労働法の基本書

 また、辰已法律研究所の教材だけでなく、水町勇一郎先生の労働法の基本書も活用していました。この基本書は、試験に必要な論点をコンパクトに網羅しており、受験生にとって非常に実用的な内容となっています。ほとんどの論点について簡潔な事例が挙げられており、具体的な事実を想像しながら学ぶことができたため、労働法の抽象的な概念を具体的な事例に結びつけながら理解することができました。

 私は、過去問で出題された論点を基本書の該当箇所にマーカーでラインを引き、どの部分が試験で頻繁に問われるのか、また逆にあまり出題されない部分はどこなのかを視覚的に把握しました。この作業を通じて、試験対策の優先順位を明確にし、限られた時間を有効に活用できるようにしました。マーカー済みの基本書を繰り返し読み込み本番を迎えました。

3 選択科目を、いつどのぐらいの時間をかけたか

(1)勉強開始時期

 私はロースクールの既習1年目から労働法の選択科目の授業を履修しており、そのタイミングに合わせて本格的に勉強を開始しました。授業の予習や復習では、辰已法律研究所の「一冊だけで労働法」に付属している「趣旨規範ハンドブック」を活用しました。このハンドブックは、試験本番で必要な情報や重要な判例を効率よくチェックするのに非常に役立ちました。授業の内容を理解するだけでなく、期末試験の対策にも大変有用でした。
選択科目はどうしても主要科目に比べて後回しになりやすく、学習がおざなりになりがちです。

 しかし、私はロースクールの授業と司法試験対策を並行して行うことで、選択科目を計画的に学ぶ習慣を維持しました。特に、労働法の出題趣旨や採点実感を読むと、司法試験の出題者が求める答案の構成が非常に詳細に示されていることがわかります。この情報をしっかり分析し、答案を書く際にそのまま再構成できるようにすることで、合格答案の書き方を身につけることができました。


(2)具体的な学習法

 私は過去問を徹底的に解き、出題趣旨や採点実感を繰り返し読み込むことで、試験における重要な論点や判例の理解を深めました。この過程で、司法試験に求められる論理的な答案構成力を磨くことができました。具体的には、過去問を通じて得た知識を「趣旨規範ハンドブック」と照らし合わせながら、必要な情報を効率的にインプットし、それをアウトプットに活用する方法を確立しました。

 労働法の答案作成を通じて得た経験は、他の科目の答案作成にも応用可能で、司法試験全体の戦略を立てる上で非常に有益でした。選択科目は、他の主要科目ほど時間を割きにくいとはいえ、過去問や出題趣旨を活用して効率よく学習すれば十分に対応可能です。私はこのアプローチを通じて、労働法を効果的に学び、試験本番で成果を上げることができました。

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