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自分も勉強できてないけど、きっとみんな勉強できてない

R.Kさん
受験歴: 1回
京都大学教育学部
2023年予備試験合格
【受講歴】原孝至基礎講座 選択科目集中講義 全国公開模試 他
2024年度

1 労働法を選択した経緯と理由

 過去に仕事で関連分野に多少なりとも触れたことのある労働法、知財法、経済法の3つを候補に検討しました。辰已法律研究所が公開されていた選択科目トークセッションの動画を見て、「労働法は民法、憲法に近い」「経済法は刑法、憲法に似ている」「知財は条文が減った民法」と聞き、当時、私は民事系科目がとても苦手だったため経済法に一度は傾きました。

 そのころ基礎講座を受講していたので、原先生に相談したところ「知財選択の受験生の中には弁理士もいる。論文は相対評価(標準偏差)なので、受験者の中にプロがいることで相対的に不利になる可能性がある」「労働法は人数が多いので、標準偏差で大きく跳ねたり凹んだりしない」「憲法の人権選択ほどには、大きく間違えるとヤバいポイントはない」とお聞きし、底堅そうだなと感じて労働法に気持ちが傾き、選択科目集中講義を原先生が担当されていたことがダメ押しになって労働法に決めました。

 受験者が多いので比較的教材や情報が多いのもプラス要素でした。

 ちなみに、私は初回の予備試験受験時に一般教養の論文が苦手すぎて、勉強するのも苦痛・・・というか何を勉強していいかわからず手つかずの状態だったので、「それに比べたら労働法は何を書けばいいか分かる気がする!(あくまでも比較です)」と、ウッキウキで労働法の勉強を始めました。

 選択科目が得意という意識は特になかったですが、予備試験での選択科目の評価はずっとAだったので、もしかするとウッキウキで勉強していたことがよかったのかもしれません。

2 予備試験対策としての可処分時間と学習期間

 私は仕事をしながらの受験でしたので、机に向かって勉強できるのは平日だと平均2時間程度、そこに家事をしながらの耳だけインプットや移動中のスキマ時間を積み上げて、合計4時間程度という状況でした。

 選択科目は2021年の冬頃から勉強を始めました。が、2022年の予備試験受験時には他の科目すら手が回っていなかったため、選択科目はほぼ手つかずで、選択科目集中講義の動画を1.5倍速で何とか最後まで聴き切っただけ、という無防備な状態で本試験を受けました。選択科目の勉強時間は週平均1時間も取れていなかったと思います。問題(有期労働者の雇止め法理)が比較的簡単で、労働契約法19条を見つけることができればそれなりに書けたので助かりました(インプットができていないので当然条文も覚えていなくて、現場で見つけて書きました)。そんな状態でもA評価だったので、きっとほとんどの受験生が選択科目の勉強に時間を割けていないのだと思います。

 2023年も状況はあまり変わらず、「この論点を出題されたら即終了(=インプットができていない)」というものがいくつもありました。そして、前年の問題が簡単だったので正直甘く見ていたところ、問題の難度が爆上がりしており、試験中に「終わった・・・」と感じながら何とか思いつくことを書いたという感じでした。そんな状態でもA評価だったので、やはりほとんどの受験生が選択科目の勉強に時間を割けていないのだと思います。

3 他の科目との比率、アウトプットする余裕のありなし

 予備試験受験中の勉強時間の比率は以下のような感じでした。民事実務、刑事実務はインプットがほとんどないので必然的に勉強時間が少ないのですが、選択科目はインプットも含めて最も少ない勉強時間だったので、アウトプットにはほぼ時間を使えず、過去問を2・3年分解いただけでした。

憲法:5
行政法:2
民法:6
商法:5
民訴法:3
刑法:5
刑訴法:3
民事実務:1
刑事実務:1
選択科目:1

4 予備試験から司法試験に向けて

 他の科目は予備試験と司法試験で問題文のボリュームも答案の長さも大きく変わるのに対し、選択科目は1問だった出題が2問に増える(のと、1問あたりの時間が少し短くなる)だけなので、その点は苦労が少なかったです。また、2問になることで、個別的労働関係と集団的労働関係から1問ずつ出されることが明白だったので、どちらもやるしかないと覚悟も決まり、勉強もしやすかったです。予備試験の時は「どっちが出るのかなー。昨年は個別的労働関係分野だったから、今度は集団的労働関係なのかなー」などと考えていました。

 とはいえ、前述のように予備試験の時点でまともに選択科目の勉強ができていなかったので、予備試験の論文終了後に演習書(事例演習労働法)を購入し、アウトプットを強化するとともに、問題を解いた後は解説と基本書を読んでノートにまとめ、再度インプットすることに取り組みました。事例演習労働法には演習問題が50問以上掲載されているので、結局全部は解けませんでしたが・・・。私が知らないだけかもしれませんが、もう少し手軽な演習用の教材があればいいのにと思います。

 並行して過去問も解いて、アウトプットを強化しました。労働法は書くべきことはわかりやすい問題が多く、論点を見つけることや規範の部分であまり差がつかなさそうなので、問題文の事情を丁寧に拾うこと、事情に対する評価を必ず書くことを意識しました。あと、労働法は下位規範(判断要素)が判例で示されていることが多く、本当は覚えるべきだとは思うのですが、私は規範を覚えるのが本っ当に苦手で・・・下位規範まで覚えるのは到底無理だったので、評価の中に下位規範っぽいことを書くことで「わかってないわけじゃないんですよ」感を出すようにしていました。

5 利用した教材など

<教材>
1冊だけで労働法
労働法(水町雄一郎)
事例演習労働法
労働判例百選

 『1冊だけで労働法』は、趣旨規範ハンドブックと過去問が1冊にまとまっていて、選択科目にあまり時間を割けない中で使うにはちょうどよかったです。欲を言えば、過去問の参考答案が1問につき1通しか掲載されておらず、超上位答案ばかりなので、もう少し現実的な合格ラインが分かる答案があったらいいんだけどなと感じていました(ただ、その分厚くなってもいいかと言われると・・・このままでいいかもしれません)。

 選択科目は論証集のようなものが(おそらく)存在しないので、その点でも、趣旨規範ハンドブックが含まれる『1冊だけで労働法』は有用でした。

6 その他

 社会人、特に会社員の方は自分事で身近に感じられるとともに、有給の取得や企業からの内定を受けた経験があることはアドバンテージになると思います。また、ニュースで見たことのある判例(プロ野球選手を労組法上の労働者と認めた判決、マクドナルド事件など)も出てくるので、勉強をしながらちょっとテンションが上がります。

 選択科目は教材が少ないなど苦労もありますが、前述のように多くの受験生は選択科目の勉強にあまり時間を割けていないと考えられるので、それなりに勉強すれば上位が狙える、コスパのよい科目だと思います。頑張ってください。

辰已法律研究所 受講歴

●2024年
福田先生の最後のすべらない講義
直前合格答練
全国公開模試

●2023年
予備試験論文予想答練
予備試験論文公開模試
口述模試

●2022年
予備試験論文過去問基礎答練
選択科目集中講義
予備試験スタンダード論文答練(第2クール)
予備試験論文公開模試

●2021年
原孝至 基礎講座
予備試験スタンダード論文答練(第2クール)

●2020年
予備試験スタンダード論文答練(第1・2クール)

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