司法試験

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早めの準備が合格につながる

坂本 太郎(仮名)さん
受験歴: 1回
早稲田大学法学部
東京大学法科大学院【既修】2022年入学
【受講歴】全国公開模試 他
2023年度

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり 

 新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、大学の講義がオンライン主体となったため、大学2年になるタイミングで、予備校に通うことにしました。時間に余裕があったので、サクサク講義を受けて、復習に時間を使うようにしました。また、法学部で一年間講義を受けて、法学の考え方を面白いと思えたことも理由の一つです。加えて、大学のプログラムで法曹の方のお話を聞く機会もあり、各々のスキルや強みを活かして法曹として活躍されている姿に憧れました。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

 法科大学院受験前は、司法試験対策の予備校の授業を受けていました。複数の教材に手を出すと、どれも中途半端な完成度になってしまうと思ったので、もっぱら予備校の教材で学習していました。大学の授業はオンライン主体で時間があったので、予備校の推奨スケジュールよりも早い進度で学習を進めました。この段階で、基本的な問題の解き方はおおよそ理解している状態だったと思います。法科大学院に入学する前に基礎知識を抑えておけば、法科大学院のハイレベルな授業にもついていくことができる上、それを司法試験対策にも生かすことができると思います。

3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)

 ロースクールの既修者コースに入学した後は、授業の予習復習と並行して、夏休みくらいから司法試験の過去問演習に着手しました。当初から、複数回過去問演習を行うことを予定していたので、1回目の段階で出題趣旨に沿った検討ができなくてもあまり気にしませんでした。時折、もっと学習が進んでから過去問に取り組みたいという考えをお持ちの方もいますが、ロースクールに通っている以上、一定程度の学習を積み重ねてきているはずなので、できるだけ早めに過去問演習に取り組むべきです。

 また、授業では司法試験の答案の書き方を指導してもらうことはありませんでしたが、司法試験で出題される可能性のある分野を扱うことも多かったので、そこで得た知識を論証集に書き込んだり、授業の内容をもとに論証を修正したりしました。ロースクールの授業は、司法試験の役に立たないという意見も散見されますが、必ずしもそうではないということをお伝えしたいです。私は、法科大学院の授業を通じて、司法試験にも通用する骨太の理解を得ることができたと思います。

4 受験対策として

(1) 辰已講座の利用方法とその成果

 私は、辰已法律研究所の司法試験模試を受験しました。来年以降の受験生の皆さんも、この模試を受けることをおすすめします。まず、採点結果が返却されるのが、他社の予備校主催の模試よりかなり早く、復習がしやすいです。

 また、模試の受験特典として、「出題大予想」という書類が配布されますが、これが非常に有用でした。辰已法律研究所の先生方が、考査委員の専門分野等を分析し、出題が予想される分野を列挙してくれます。そして、その分野について詳しい記載のある書籍や、重要な判例も紹介してくれるので、それをもとに学習を深めることができます。令和5年度の司法試験刑事訴訟法では、長年出題のなかった領置をテーマにした問題が出題されましたが、「出題大予想」の記載が的中したので、バッチリ答案を書くことができました。領置の分野は、書き方を知っているかどうかで非常に差がつく分野なので、助かりました。

(2) 「私がやって成功した方法」「私のノート作成術」「私のスケジュール管理方法」等々

 私がやって成功した方法は、自習室を有効活用するという方法です。私はもっぱらロースクールの自習室で学習していました。ロースクールの自習室は22時過ぎまで利用することができたので、閉館近くまで利用していることが多かったです。多くの学生が利用しているので、緊張感をもって学習することができました。自習室にいる間は誘惑を断つために、スマホをロッキングコンテナに入れて、強制的に集中できる環境を作っていました。

 また、司法試験の過去問にできるだけ早く着手するという学習方法も正解だったと思います。それによって、司法試験で求められているレベルを知ることができ、日頃の勉強にも良い影響があると思います。また、司法試験の過去問は、平成18年度からあるので、司法試験が近づいてから着手したのでは、全ての年度の問題に目を通すことができなかったり、消化不良になってしまったりする可能性があります。

(3) 私が使用した本

 私は、短答パーフェクトを、短答式試験対策として使用していました。問題の選択肢ごとに自信を持って回答できたかを◯、△、×等の記号を使って記録していました。一日◯問と目標を決めて、コツコツ取り組んでいました。日々の学習で基本的な知識を身につけた上で、直前期に短答式試験でのみ問われるような細かい知識をインプットすると効率よく学習することができると思います。短答式試験は合格発表よりもかなり早い段階で結果を知ることができるので、そこで高得点を取っていると、気持ちに余裕を持って合格発表を迎えることができると思います。

5 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1)LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)

 在学中受験制度を利用する場合、特に既修者コースの方は、ロースクールに入学してからあっという間に司法試験本番の日が来ます。

 入学して、ロースクールの予習、復習のペースを掴んだ後、夏休みくらいから司法試験の過去問に着手できるといいと思います。近年の司法試験では、過去問を焼き直した問題が出題されることが多いです。そのような問題が出題された場合、過去問で考え方を習得しているかで大きな差がつきます。

 私は、いわゆる起案(答案を本番同様に書く)という学習方法について、時間と体力が奪われる割に得られるメリットが少ないと感じていたので、過去問演習の際は答案構成をするにとどめていました。とはいえ、当てはめの練習もしておきたかったので、答案構成の段階で、取り上げる事実やそれに対する評価をメモするようにしていました。答案構成を終えた後は、採点実感と出題趣旨を読み、そこでなされた指摘の中で、自分にも当てはまるものを論証集等に書き込んでおきました。

 この方法によれば、時間に余裕のない在学生であっても、過去問演習を効率的に行うことができると思います。私は、上記方法を用いることによって、平成18年度から最新年度までの司法試験の過去問につき、複数回答案構成を行う時間を確保することができました。その甲斐あって、司法試験本番も他の受験生に差をつけることができたと思います。

(2)来年初めて受験する方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)

 直前期に短時間で総復習できるような一元化教材を作っておくといいと思います。私は、論証集の各論点に、何年度の司法試験で出題されたかをメモしていました。また、採点実感や出題趣旨の記述から有用そうなものも論証集にメモしていました。加えて、演習書や基本書等で取り上げられている論点や考え方であるものの、論証集には記載がないものも書き足していました。

 また、司法試験の模試はできるだけ受けた方が良いと思います。本番は中日を挟んで5日間という長丁場なので、そのスケジュールに慣れておく必要があるからです。また、模試を公開会場で受験した場合、会場特有の緊張感もあらかじめ体験することができます。加えて、どのくらい疲労が溜まるのかも実感することができます。1回目の受験の場合、本番で独特の空気感に飲まれずに普段通りの実力を発揮することができるかが、合格の鍵になると思います。

 私は少しでも当日の緊張感を軽減させたかったので、2回司法試験模試を受けました。特に、辰已法律研究所の司法試験模試は受験することをおすすめします。採点結果が返却されるのが、他社の予備校主催の模試よりかなり早く、復習がしやすい上、配点表が細かいので、採点者ごとの採点のぶれが少ないと思います。模試の受験特典として、「出題大予想」という書類が配布されますが、今年の司法試験ではその記載が的中し、辰已法律研究所の司法試験模試の受験者は大きなアドバンテージを得ることができたと思います。

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