司法試験を必要以上に難しく考えすぎない
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
感情にとらわれず、人々の紛争を論理的に解決できる法律に魅力を感じ、習得して社会をより良くしたいと思ったため、司法試験の受験を決意しました。
2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)
大学4年時から勉強を始めましたが、法律の勉強方法がよく定まっていませんでした。
3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)
基礎的知識の習得、授業の予習復習や課題を中心に学習しました。
また、大学院3年時に友人とゼミを組み、司法試験の過去問を週に1・2回検討しました。
4 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果
スタ論福田クラスを受講しました。福田俊彦先生のご指導の下、「落ちない答案」を書くための勉強法と答案戦略を確立することができました。といっても、習うのは受験テクニックではなく、考査委員の出題趣旨に則った勉強や解答作成の作法というイメージです。
週1回の講義を受講し、答練で実践することで作法を身体に染みこませることができ、本番でもあわてることなく実践できました。
また、講義後に福田先生が質問の時間を設けてくださったため、その日のうちに疑問点を解消することができました。復習効率の点で、可能であれば通学されることをお勧めします。
加えて、講義ではないのですが、西口竜司先生による刑事訴訟法の予想動画を視聴し、実際に予想が的中しました。山当てに関しては、プロの先生の知見も頼りに情報収集することが重要だと感じました。
5 受験対策として、私がやって成功した方法等
(1) 「私のスケジュール管理方法」
司法試験までに中だるみするのを防ぐため、答練や模試を目安に中期的な目標を決め、それに向けてさらに週単位で勉強計画を立てました。もっとも、計画通りに進まないこともあるので、週1日はバッファーを設け、柔軟なスケジュールを組むよう注意しました。また、定期的に弁護士の先生に勉強の進み具合や悩み事の相談に乗っていただき、外部の目から軌道修正を図るよう注意しました。このような勉強管理方法を採ることにより、各模試や答練で満足のいく成績を得ることができ、不足分も本番までに落ち着いて埋めることができました。
(2) 「私のまとめノート作成術」
まとめノートの作成に時間をかけたくなかったため、辰已の趣旨規範本等に書き込むことで一元化しました。ノートづくりの時間を短縮した分、反復学習に時間を割くことができ、盤石な知識を習得できました。
6 受験対策として、私が使用した本とその使い方
(1) 「私が使用した本」
新司法試験の過去問分析に加えて、以下の参考書等をメインに使用しました。
・短答対策:短答パーフェクト、刑法のみ肢別本も
・憲法:判例百選、芦部憲法、趣旨規範本
・行政法:行政判例ノート、合格思考行政法、行政法解釈の基礎、趣旨規範本
・民法:判例百選、趣旨規範本、えんしゅう本
・商法:判例百選、趣旨規範本、えんしゅう本
・民事訴訟法:判例百選、解析民事訴訟
・刑法:ロースクール演習刑法、刑法事例演習教材、合格思考刑法
・刑事訴訟法:判例百選、リークエ刑事訴訟法(特に伝聞)、古江本、えんしゅう本
・経済法:判例百選、論点解析経済法
・辰已の答練及び模試の問題
(2) 上記の本をどのように使用したか
えんしゅう本や演習書は、旧司と予備試験の過去問知識を定着させるため、問題を見た瞬間に答案構成ができるようになるまで反復学習しました。
基本書は、問題演習の中で理論的にわからないことが生じた場合や、正確な定義を確認したい時に限り、辞書的に使用しました。
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
(1) LS在学生へのアドバイス
問題演習を通じて、まずは全科目・全試験範囲について基礎固めをするのが良いと思います。その際、理論的にわからないことや納得できないことが生じたら、必ず立ち止まって、先生等に質問したり、(時間をかけすぎず)基本書に立ち返るのが重要です。
私は現役時代、時間がないと焦って丸暗記することが多くありました。今振り返ると、丸暗記した知識は記憶に残りにくいですし、新司には応用が効かず、かえって遠回りになる方法であり、失敗した点だと思います。逆に、浪人した際は、まず時間のあるうちに理論的な疑問点をしらみつぶしに調べて、納得することから勉強を始めました。すると、後の問題演習をしても、体系的な知識としてスムーズに頭に入りましたし、考えれば解を導けるようになったため、暗記すべき事項を減らすことができてすごく楽でした。
(2) 来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス
まずは、再現答案を何人かの合格者の方に見てもらい、アドバイスを得るのが良いと思います。私も、友人や上位合格者の方、弁護士の先生等にお願いし、自分だけでは気づけなかった改善点をいくつも見つけることができました。
次にすべきは、上記アドバイスを踏まえた、来年の合格のためにやるべき課題のあぶり出しと、具体的な勉強のスケジュール作りです。リベンジ受験生の場合、従前の勉強方法にはなにかしらの改善すべき点があると考えたほうが良いです。逆に言えば、それさえ解決できれば十分合格の可能性があるということです。
最後に、マインドとして、私は司法試験を必要以上に難しく考えすぎないことが非常に重要であるとお伝えしたいと思います。
たしかに、新司の問題には受験生の大半が考えたこともない論点や、評価の割れる事実が潜んでおり、巷の演習書よりはるかに難易度は高いです。
しかし、①合否を決める試験である以上、ほとんどの人が解けない問題はつきものであること②実務家登用試験である以上、実務家の素養(確実な基礎知識や趣旨から理論的に、一定の解を導く力)があることを示せれば良く③平均的な受験生が書くことは確実に書けば受かりはすること④過去問から繰り返し出題されるため、過去問を完璧にすれば平均的な受験生より優れた答案が仕上がることから新司もそんなに難しいものでない、くらいの気持ちで普段の勉強に臨めば、勉強の方向性を誤りにくいと思います。
辰已法律研究所 受講歴
・スタンダード論文答練 福田クラス
・経済法の答練
・辰巳短答
・司法試験全国公開模試