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時間を節約したい方には経済法がおすすめです

鍵谷 蒼空さん
受験歴: 新試験1回
千葉大学法政経学部
2019年予備試験合格
【受講歴】司法試験全国公開模試 他
選択科目

1 経済法を選択した理由

 私は予備試験合格後に一から選択科目の対策を始めたので、対策にかけられる時間があまりなく勉強時間の短さを重視しました。経済法はインプット量が少ないと言われており、ちょうど学部の授業でも履修中だったので経済法を選択しました。

2 経済法を選択するメリット・デメリット

・メリット
 経済法を選択するメリットとしてまず挙げられるのは、やはり暗記量が圧倒的に少ないことだと思います。他の選択科目は詳しく知らないのですが、少なくとも他の主要7科目と比べるならば事前に覚えておく規範等がとても少ないのが特徴であり、選択科目に費やす時間を節約して、他の主要科目に勉強時間を回すことができるのがメリットです。現場思考や当てはめが得意な方や、暗記が苦手な方にはおすすめできると思います。
 また、勉強の際に学ぶ一つ一つの判例等の事例が、かなりスケールの大きい事件である一方で、それが消費者の保護という意味では一個人にも深く関係しており、とても面白いと感じました。また労働法等に比べれば少ないかもしれませんが、近年受験者数は増加しており、対策の方法も、そこそこ充実してきている点もメリットかもしれません。

・デメリット
 事前のインプットが少ない反面、答案で大部分を占めてくるのが、事実の摘示と評価の部分(当てはめの部分)になります。そうすると試験当日どれだけ事実を見落とさないか、または上手く事実を整理して評価することができるかが結果に大きな影響を及ぼすので、必ずしも事前準備をすればするほど成績が安定するというわけではありません。従って、当てはめが苦手とか、事前にしっかり準備することで安定して点数を取りたいという場合には向いていないかもしれません。ただ逆にいえば対策に手が回っていなくても本番の振る舞い次第では高得点を狙える可能性があるということでもあり、ある意味メリットと言えるかと思います。
 また経済法は適用する条文を選択してそれに当てはめていく点で憲法や刑法に似ていると思うのですが、条文の選択を誤ると大きく点を落とす可能性があります。ただ各条文は重なって適用し得る場合が多く、分からなければどちらも書いておくという方法があるのでそこまで心配は不要かと思います。
試験対策用の教材等については、労働法等の人気科目に比べると少ないと感じました。

3 予備試験合格後の学習状況

 私の場合、主要科目がまだまだ固まっていなかったので、できるだけ主要科目の基礎を固めることを優先しました。そのため経済法は移動中とか寝る前とかの合間の時間に勉強するようにしていました。過去問演習は(答案構成のみですが)別途、数日ほど集中して勉強する時間を設けて行いました。

4 私がやって成功した選択科目攻略法

 私個人として成功したと思うのは、やはり主要科目の基礎を固めることを優先したことだと思います。やはり主要科目は他の受験生のレベルが非常に高いので相対的に落ち込まないように基礎をしっかり固める必要がありました。他方で選択科目については再現答案を見る限り、他の受験生もそこまで手が回っていない印象でしたので、最低限できれば良いと思っていました。
 また基本書に手を出さず、代わりに演習本を繰り返し読んで当てはめの書き方をイメージしておいたことが時間節約にもつながりました。さらに本番では問題文の事実は極力全部拾い、整理して評価することを心がけたのが好成績につながったのではないかと思います。

5 私が使用した本

 まず全体像を固めるために「ベーシック経済法」(有斐閣アルマ)を読みました。また演習書として「論点解析経済法」(商事法務)を使用しました。この本には司法試験の過去問に近い問題が収録されており、答案例のような解説もついているので非常に参考になりました。
 また「一冊だけで経済法」(辰已法律研究所)をまとめノート兼過去問演習に使用しました。この本の冒頭には趣旨規範のまとめがついており、これに書き込んで使用していました。さらに各年度の過去問とその再現答案も掲載されているため過去問演習にも非常に役立ちました。特に選択科目の再現答案はなかなか手に入らないため参考になりました。

6 辰已講座の利用方法とその成果

 辰已では経済法対策として選択科目集中答練とスタンダード論文答練(スタ論)、公開模試を利用しました。
 経済法は当てはめが肝なので実際に答案を書いて練習することが重要でした。選択科目集中答練は8回計16問の問題があり試験で出題される論点は概ね網羅しているので演習としては十分だと思います。スタ論でも2回分選択科目の演習をする機会がありました。このような答練は解説や参考答案を通してインプット学習をするのにも有用だと思います(特に私は基本書を使用しなかったのでこういった機会にインプットをするよう心がけました。)。参考答案に関しては、経済法の答案自体目にする機会が少ないので書き方を学ぶ点でも非常に参考になりました。
 また選択科目は他の主要科目と答案用紙の扱いや試験時間が異なるため、本番に落ち着いて臨むためにも、公開模試で予行演習しておいてよかったと思います。公開模試については多くの人が受験していますので本番で書き負けないよう問題を知っておくという意味でも受けておく価値があります。実際、本試験では、公開模試で出題された事業者団体の論点が出題されましたし、公開模試で練習しておいて本当に良かったと思いました。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

・選択科目初学者へのアドバイス
 やはり選択科目とはいえ試験対策をする以上、モチベーション維持が何より重要だと思います。選択しても好きになれないと学習が進まないので、最初に入門書を読むなどして、やっていけそうか確かめておくと良いかもしれません。また最初に大まかな全体像を固めておくことも重要だと思います。経済法は主に市場の自由競争の確保を目的としており、その点でどの主要論点も着眼点が共通しているので、全体像がイメージできていると条文の選択や事実の当てはめも非常にしやすくなります。

・次回受験する方へのアドバイス
 何に重心を置くかによって異なるとは思いますが、個人的には選択科目だからと言って気負う必要はないと思います。合格必要最低限レベルで良いならば経済法は主要科目に比べ圧倒的に少ない勉強量で済みます。具体的な対策としては、判例や審決等を読む際には、具体的な事案に着目して、なぜこの企業はこのような行動をとったのか、またこれによりどのような影響を関係者に及ぼすのか、市場の流れはどうなるのか、といった点を想像しつつ読むと、試験本番に与えられた事実に対して適切な見方をする練習にもなると思います。また私個人としては、もっと新聞を読んだりニュースを見て社会の流れを意識しておけば、当てはめも、より充実して説得的なものになったのではないかと思いました。試験当日は事案を広い視野で捉え、それぞれの登場人物の身になって考えたり、市場の流れを想像してみたりして、色々な角度から事実を見ることができると良いと思います。
 最後になりますが、やはり自分が勉強していて楽しいと思えるかどうかが一番大切だと感じました。勉強で煮詰まることもあるかと思いますが、そんな時にはちょっとでも勉強から離れて気分転換することをお勧めします。皆様の合格を心よりお祈り申し上げます。

辰已法律研究所 受講歴

・スタンダード論文答練
・司法試験全国公開模試
・選択科目集中答練

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