倒産法の勉強法はシンプル
1 倒産法を選択した理由
(1) エクスターンシップでの経験
私が倒産法を司法試験の選択科目として選択したのは、法科大学院のエクスターンシップにおいて、実務の場で倒産法に関する問題が多分に発生していることを見たことが1つの理由です。
実務において倒産法の知識が必要となることは多いということは在学中も聞いていたのですが、実際にエクスターンシップで実務のほんの一部分を見ただけでも倒産法に関係する問題で悩みを抱えている依頼者の方は本当に多くいらっしゃるということに気がつきました。私が弁護士志望ということもあり、このことは勉強する意欲・動機付けには十分すぎるもので、倒産法を勉強するやる気が出たのです。
(2) 教材の充実さ
また、倒産法を選択したもう1つの理由は、教材の充実さにありました。倒産法は司法試験において、選択者がやはり今でも多い部類のものと思います。そのため、倒産法を勉強するにあたっての教材は充実しているように思いました。演習書や体系書、入門書等です。
特に、私は予備校の出版する本を普段からよく利用していたので、予備校の出している教材で勉強することができるということが倒産法を選択する理由の1つとなりました。
2 倒産法選択のメリットとデメリット
(1) メリット
倒産法選択のメリットは、上述したことにも関わりますが、やはり実務の場で役に立つということ、教材が充実していることだと思います。
特に、相対評価である司法試験では、ほかの受験生と比較して自分がどの位置にいるかを知ることは極めて重要と思います。その点で、例えば辰已のスタ論などの答練や模試で多くの母数を確保することができる倒産法は、実際の自分の立ち位置をより知りやすいという点で強いメリットがあると思います。
(2) デメリット
私自身、特に倒産法を選択することへのデメリットはあまり感じなかったのですが、挙げるとするならば、やはり勉強量はそれなりに必要だろうということです。
倒産法は、破産法と民事再生法から主に出題されますが、この2つの法律はかなりボリュームがあります。そのため、勉強量は必然的に多いものとなると思います。
しかし、倒産法は逆に言えばそれだけをやれば良いということになります。倒産法で出題される知識は百選の判例知識や基礎的な知識、手続の流れが主なものです。とすれば、量は多いですが、やるべきことは決まっていますので、とっつきやすい科目であるように私は思いました。
3 法科大学院での倒産法の学習
法科大学院では、破産法の授業を1つ、民事再生法の授業を1つ、倒産法全体の判例を検討する少人数ゼミを1つ受講していました。上述のように私はエクスターンシップでの経験を経て初めて倒産法の選択を決めましたので、選択科目が決定したのは、法科大学院2年の3月でした。それまでは、全く倒産法は勉強しておりませんでした。
3年生になってから、授業をペースメーカーとして法科大学院の授業に合わせて予習復習をすることで、倒産法の基礎を固めるという勉強の状況でした。
そのため、あまり多くの期間を倒産法に割いたという勉強状況ではありませんでしたが、法科大学院での授業を利用して基礎を固めるということは私にとって重要だったように思います。
4 受験対策(勉強法)
倒産法の勉強方法としては、ロースクールの授業の予習と復習で基礎をつくるということを一番初めに行いました。授業である程度の基礎を固めた後は、やはり過去問をひたすら解きました。倒産法は過去問と同じような論点、流れで出題されることが非常に多い科目です。そのため、過去問はひたすら繰り返しました。
一方で、私は、演習書はあまり取り組んでいませんでした。なぜなら、選択科目は試験時間が他の科目と違ううえ、出題としても基礎的な知識を聞かれることが多いように感じたので、演習書で発展的な勉強をするよりも過去問を通して、過去問の論点を確実にカバーすることの方をまずは優先すべきと思ったからです。
5 受験対策(書籍)
受験対策の書籍としましては、主に辰已の趣旨規範ハンドブックを利用していました。過去問を解き、優秀な再現答案の言い回しや流れを真似して、それを趣旨規範ハンドブックに落とし込み、完全に理解するまで何度も繰り返し読む、という利用法でした。
特に選択科目では、テクニカルな議論やあてはめの充実性よりもまずは基本知識を抑えているかということが重要な気がします。そのため、基本知識を網羅的に、体系的に記載してある趣旨規範ハンドブックを繰り返し読み込むことは極めて重要であったとおもいます。
最終的には趣旨規範ハンドブックの内容をほとんど暗記するくらいまで読み込みました。
6 受験対策(辰已講座)
選択科目は、他の科目と比べて圧倒的にアウトプットの機会が少ないように思います。それは、ロースクールの期末試験などでもレポート試験であったりすることからも明らかと思います。また、選択科目は他の科目と時間が異なるうえ、出題の方法も異なります。そのため、キチンと司法試験と同様の形式でのアウトプットの機会を設けないと、試験でパニックになりやすいと思います。特に選択科目は司法試験の初日の最初の科目ですので、信じられないプレッシャーの中で答案を作成する必要があります。
そのような不安を解消するために私は、辰已の選択科目集中答練を受講しました。この受講は私にとっては、絶対に必要なものでした。司法試験と同じ時間、形式でアウトプットができる機会はそう多くありません。この選択科目集中答練を受講していなかったら、私はおそらくほとんどアウトプットの機会を設けることができずに試験当日を迎えていたことと思います。
やはり答案を書かずしては、点数は伸びないものと思います。その点で、私にとって選択科目集中答練は必須のものでした。
7 自己の反省とアドバイス
特に選択科目に得意意識がなかった私がアドバイスできることは少ないです。しかし、強いて申し上げるとするならば、倒産法は過去問分析・百選の検討等やるべきことが決まっていますので、ひたすらそれをやるだけで、特に勉強方法に悩む必要はないのではないかということです。
私は、法科大学院3年の前期に倒産法の基礎を固める段階で、自分のレベルにあっていない、ネットで評判が良い演習書をひたすら解いていましたが、なかなかうまく行きませんでした。それよりもやはり過去問を優先させるべきだと気がついたのは3年の後期が始まってからでしたので、他の受験生にかなりの遅れをとったことと思います。何を優先して勉強すべきかということを意識すればよかったということが私の反省です。
この稚拙な体験記を読んでくださる皆様が、まっすぐに選択科目の勉強を進められ、司法試験に合格されることを心から祈っております。
辰已法律研究所 受講歴
【2021年対策】
・司法試験全国公開模試
【2020年対策】
・スタンダード論文答練
・選択科目集中答練