選択科目集中答練の復習だけで合格できます
1 国際関係法私法系を選択した理由
私が国際関係法私法系(以下、国際私法といいます)を選択した理由は、学習範囲が狭く、いち早く合格レベルに達することが可能であることです。
司法試験は、択一3科目、論文8科目もある非常に範囲が広い試験です。苦手科目があるうちは安定して合格を狙うことができません。そこで、私は、全ての科目で合格点(偏差値50)を取ることを目標にしていました。選択科目8科目をざっと眺めた感じ、国際私法が最も範囲が狭いように見えました。学習範囲が狭いということは、一周回すのに時間がかからず、二周目にすぐ入ることができるということです。記憶のメカニズムとして、1回目の学習から2回目の学習までの期間が短ければ短いほど、記憶の精度が上がることが科学的に証明されています。すなわち、学習範囲が狭いことは、それだけで記憶の精度が上がり、成績が上がることに直結しているのです。
2 国際私法選択のメリット・デメリット
最大のメリットは、上述のように、学習範囲が狭いことですが、その他のメリットとして、国際私法特有のテクニカルタームが少ない点が挙げられます。国際私法の総論では、国際私法特有のテクニカルタームが僅かに出てきますが、国際私法各論に登場するテクニカルタームは、売買や相続など、どれも民法で見たことのあるお馴染みのものばかりです。難解なテクニカルタームが殆どなく、学習をスムーズにストレスなく進めることができます。学習が躓きがちな学習初期に特にその恩恵に与れると思います。また、国際私法は第1問目が家族法、第2問目が物権法・債権法が出題されるのですが、その第1問目で日本の民法の家族法を引くことが多いです。これによって、民法の親族相続分野が強化されます。ご存じのとおり、日本民法の親族相続分野は、択一に毎年出ますし、論文でも頻出の分野です。周囲の受験生が手薄になりがちな親族相続分野で一歩リードできることは、それが例え小さなリードだとしても、相対試験である司法試験にとって大きなアドバンテージになります。また、同様に、国際私法では、日本民事訴訟法の国際管轄の条文をよく引くことになります。日本民事訴訟法の管轄は、近年本試験で問われた分野でありつつも、こちらも手薄になりがちな分野ですので、国際私法で引いて馴染んでおくのは民事訴訟法の試験対策としても有用です。
デメリットは、国際私法は、どの国の法律を適用するべきかを決する間接法であり、間接法→個別法という理解がどうしても難しいという側面があります。選択科目の中で、間接法なのは国際私法だけなので、その構造を理解するのに多少の時間を要するというのがデメリットです。
3 法科大学院での選択科目学習状況
後述しますが、私のメインテキストは辰已の趣旨規範ハンドブックでしたので、ローの授業の予習に合わせて、当該範囲の趣旨規範ハンドブックを読んでいました。授業で問われる問題の大部分は、趣旨規範ハンドブックで答えられるものでしたので、基本的には、趣旨規範ハンドブックを用いて、それでも問題が解けないときは、ロースクール指定の教科書を読んだり、授業のレジュメを使用したりしていました。
4 私がやって成功した選択科目攻略法
他の基本7科目も同様でしたが、学習する範囲を必要最小限に絞ったことが、合格した最大の要因です。学習する範囲を絞ることは、上述の学習範囲が狭いことと同義ですので、驚くほど学習成果が上がりました。
趣旨規範ハンドブックは、長年の司法試験指導で定評・実績のある辰已が、国際私法の中で重要なものを取捨選択してくれています。後述の合格者講義を用いて、更に重要知識を絞り込んでいきます。それらの知識に絞って覚えることにより、暗記の精度も上がりますし、その他は割り切って現場で考えるようになり、法的思考力も鍛えられました。
5 私が使用した本
趣旨規範ハンドブックです。繰り返し申し上げますが、私の合格の要因は、学習する範囲を絞ったことにあります。すなわち、学習する範囲を適切に絞り込むことが、この学習法の肝となります。学習が進んでいない方は、学習する範囲を適切に絞り込むことは中々できないでしょうから、ここは思い切って辰已に任せましょう。辰已は、数十年間にわたって司法試験を分析し、多数の合格者を輩出してきました。その辰已の取捨選択であるならば、間違いはないと思います。国際私法には、予備校本も何冊か出ていますが、趣旨規範ハンドブックは、市販されている予備校本の中で、最も薄いため、何度も復習できます。
趣旨規範ハンドブックの使用法は、重要知識を絞り込んで覚える。これに尽きます。国際私法が苦手な方の多くは、学習する範囲が多すぎて、これらの知識すらきちんと頭に入っていないように思います。
6 辰已講座の利用とその成果
合格者講義の国際私法講義(現在の選択科目特訓講義に相当するもの)と、選択科目集中答練を受講しました。
合格者講義は、趣旨規範ハンドブックの重要部分の解説と、過去問を使った答案の書き方を示すものでした。法律知識は、それを読んだだけで使えるようになる訳ではありません。逆説的ですが、その知識を使うことで、その知識を理解できるようになります。すなわち、初回読むだけでは、殆ど何も理解できていないといっても過言ではありません。そうであるならば、初回の読み込みは、講師に重要部分のみを解説してもらって、それを聞くだけでよしとすべきです。むしろ、その後の問題演習こそが理解を促進してくれます。
選択科目集中答練は、16問という圧倒的ボリュームで、頻出論点を網羅的に潰せます。ここで頻出論点を取り扱うことで、それらの知識を使えるものとして理解できるのです。この答練は、最新の法改正に準拠しており、法改正にいち早く対応できる点で、他の受験生に大きく差をつけることができます。私は、合格者講義(選択科目特訓講義)を聞いて、選択科目集中答練を受講しただけで、辰已の全国公開模試で高得点を取ることができるようになりました。
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
8 最後に
大切なのは、一度使った知識を完璧に復習することです。どれが重要な知識なのかは辰已が示してくれていますから、辰已を信じて合格を勝ち取ってください。