福田俊彦先生による
令和7年司法試験論文試験のコツ【民法】

~以下はスタ論福田クラス・福田小教室ガイダンスを、短くまとめて掲載したものです~
こんにちは。今回は、提供された令和7年の司法試験・民法の問題を振り返りながら、来たる令和8年の合格に向けたポイントを、ご要望通り倍の分量でより詳しく、かつ講師としての品格を保った丁寧な口語体で解説いたします。パソコン受験であるCBT形式を最大限に活かすための具体的な答案作成術を含め、順を追って確認していきましょう。
1. 「骨組み先行」によるメリハリ
CBT形式の最大のメリットは、手書きよりも圧倒的に多くの分量を記述できる点にあります。これに伴い、従来の「問題文を読む→構成する→書く」というプロセスを完全に分ける必要はなくなります。まずは条文の要件を画面上に打ち込み、答案の「骨組み」を作ってしまいましょう。その上で、争点とならない部分は数行で簡潔に済ませ、争点となる部分の規範定立とあてはめを行き来しながら手厚く書き込むという、「圧倒的なメリハリ」をつけることが高得点への近道となります。
2. 問題文のマーキング活用
画面上の問題文を読む際は、年月日は「水色」、当事者や本件行為などの定義規定は「赤」、その具体的な内容は「黄色」といったようにルール化してマーキングすることで、事案の複雑な事実関係を素早く正確に把握することが可能になります。
1. 使用者責任における「事業の執行について」の解釈
設問1の前半は、従業員が行った暴行という事実行為について、使用者責任(715条)が問われました。取引行為であれば客観的な外形標準説が妥当しますが、本問のような事実行為では相手方の信頼保護は問題となりません。したがって、危険責任や報償責任といった使用者責任の根拠(趣旨)に立ち返り、「使用者の支配領域内でなされたか」という観点から規範を定立し、事案にあてはめることが求められます。
2. 離婚間近の夫婦と「被害者側の過失」
配偶者の運転ミスによって被害者が負傷した事案において、事故後に夫婦が離婚協議に入り別居している事実が過失相殺(722条2項)にどう影響するかが問われました。被害者と身分上・社会生活上一体をなす者の過失は考慮されますが、損害の公平な分担という趣旨からすれば、あくまで「損害が発生した事故当時」の状況を基準に判断すべきであり、事後的な事情で過失相殺が否定されることはない、と論じるのが妥当です。
3.共同不法行為と非弁行為の処理
後半では、共同不法行為者の一方が死亡して被害者が相続した場合の「混同」による債務消滅の可否や、弁護士法72条違反(非弁行為)によって結ばれた和解契約の私法上の効力が問われました。これらは制度趣旨(非弁行為の禁止は刑事罰によって担保されており、直ちに公序良俗違反として無効となる特段の事情がないこと等)から簡潔に結論を導き、深追いしすぎないバランス感覚が重要です。
1. 親権者の共同行使と契約の取消し
設問2の出発点は、未成年者の契約を両親(法定代理人)の一方が単独で取り消した行為の有効性です。民法825条の規定に従って有効に素及的無効となり、目的物である動産の所有権が未成年者にはない(無権利者である)ことを正確に認定します。
2. 最大の争点:即時取得の成立時期(引渡し方法の差異)
無権利者から転売が繰り返された事案において、どの段階で即時取得(192条)が成立するかが最大のメインテーマです。ここでは「占有改定」や「指図による占有移転」によって「占有を始めた」と言えるかが問われます。即時取得は前主の占有という外観を信頼した者を保護する制度ですから、判例の立場に従い、「一般外観上、従来の占有状態に変更を生ずるような占有を取得したか」という規範を厚く論じます。その結果、占有改定や指図による占有移転の段階では即時取得は成立せず、最終的に「現実の引渡し」を受けた段階で初めて成立すると結論づけます。
3.不当利得返還請求における発展的検討
最後に、真の所有者から中間転得者への不当利得返還請求(703条)が問われます。転得者が前主に支払った代金を控除できるかという点は出題の趣旨でも触れられていますが、極めて発展的です。時間と字数の制約を考慮し、侵害利得の基本に沿って簡潔にまとめるのが現実的です。
司法試験は2時間という限られた時間内で、点数の取れるところで確実に点数を取る試験です。出題の趣旨に書かれた全てを網羅しようとするのではなく、「争点とならない要件の簡潔な認定」と「即時取得などの主要な争点における厚い論述」を意識し、メリハリのある答案作成術を身につけて令和8年の合格を共に目指してまいりましょう。
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