福田俊彦先生による
令和7年司法試験論文試験のコツ【刑法】

~以下はスタ論福田クラス・福田小教室ガイダンスを、短くまとめて掲載したものです~
こんにちは。今回は、令和7年の司法試験・刑法の問題を振り返りながら、来たる令和8年の合格に向けたポイントを解説いたします。パソコン受験であるCBT形式を前提とした、合格答案を作成するための具体的な秘訣をお伝えしますね。
1. 有印私文書偽造罪における「偽造の意義」
設問1の前半では、偽造罪の成立を認める立場から論じることが求められました。ここでは「名義人と作成者の人格の同一性を偽ること」という偽造の定義を示し、それぞれの意義を明らかにすることが出発点です。作成者については、事実として文書を作成した者を重視する見解や、意思の表示主体を重視する見解などがありますが、本問の最大の壁は「名義人からの依頼・同意がある」点です。取締役が秘書に文書を作成させた典型例では偽造になりませんが、本問は「大学入試の答案用紙」という「文書の性質上、名義人以外の者が作成することが許されない文書」です。この特殊性を指摘し、だからこそ同意があっても偽造に当たるのだ、というロジックを展開する必要があります。
2. 詐欺罪における「人を欺く行為」の認定
後半の詐欺罪では、「人を欺く行為」の意義を定義した上で、犯罪の成立を肯定する方向で論じます。ここでは、クレジットカード加盟店規約等に基づき、加盟店には本人確認の義務があるという事実を指摘します。したがって、カードの使用者が真の名義人本人であるか否かは、加盟店にとって財物交付の判断の基礎となる「重要事項」であり、これを偽ることは人を欺く行為に当たると手厚く認定することが求められます。
3. 共謀共同正犯の成立根拠(保護法益からの論述)
さらに問われたのが、「仮に本人が自分の答案を書いたり、自分のカードを使ったりした単独犯の場合は無罪なのに、なぜ共謀すると犯罪が成立し得るのか」という点です。ここについては、単独では法益を侵害しなくても、共同で行うことで結果に対して因果的に寄与し、法益侵害の危険を生じさせ得るのだという、犯罪の「保護法益(詐欺罪における財産的処分の自由など)」から遡って説明する視点が非常に高く評価されます。
1. 因果関係における「検察官」と「弁護人」の視点
設問2の最大の争点は、行為者の暴行(硬膜下血腫・意識喪失)により被害者が倒れた後、別の居眠り運転の車にはねられて死亡した(肝臓破裂による失血死)結果について、行為者に死亡の責任(因果関係)を問えるかという点です。傷害罪の成立までは争いがありませんが、ここでは、重大な法益侵害である死亡結果をなんとか帰責させたい「検察官の視点」と、傷害致死にはならず傷害罪にとどまるとする「弁護人の視点」の対立構造を頭の中に描くことが重要です。
2. 判例の立場を踏まえた具体的なあてはめ
行為者の強度の暴行という因果関係を肯定し得る事情に配慮しつつも、直接の死因はあくまで第三者の自動車による衝突であることを指摘します。そして、行為者の暴行がその居眠り運転という介在事情を誘発したわけではないため、実行行為が死の危険を現実化させたとは言えない、と判例の立場から結論付けるのが妥当です。反対の立場に配慮しつつ、「しかし」と自説を述べる論法が点数を引き上げます。
1. 構成要件の網羅と骨組みの作成
CBT化により、タイピングで分量を多く書くことが容易になりました。だからこそ、まずは刑法各論の鉄則に従い、当該犯罪の全ての構成要件(例えば「1.偽造」「2.行使の目的」「3.他人の署名を使用」など)をナンバリングして画面に打ち込み、答案の骨組みを最初に作ってしまうのが極めて有効です。
2. 争点と非争点の明確な区別
骨組みを作ったら、あとは「メリハリ」です。争点とならない要件は数行で簡潔に事実を認定して済ませ、上述した「偽造の意義」や「因果関係」といった規範とあてはめが求められる重要事項に文字数を割き、手厚く論じます。この「メリハリをつける」という圧倒的なバランス感覚こそが、CBT試験において高得点をもたらします。
いかがでしたでしょうか。ちなみに、今回の試験で問われた因果関係や不作為の共犯については、辰已の直前答練で見事に的中しておりました。出題のツボを押さえたメリハリのある答案作成術を身につけ、令和8年の司法試験合格に向けて、ぜひ一緒に頑張りましょう。
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