行政書士試験 直前期の過ごし方と勉強方法
行政書士試験の直前期に、何をやるべきか、どう過ごすべきか。
受験生が気になるこのテーマを、山田講師&板野講師が対談形式でお話しします!

心技体を整えて、行政書士試験の直前期を乗り越えよう!

【導入編】
直前期とは? 受験生の実態から考える
【戦略編】
直前期における受験生の心得(直前期の学習マニュアル)
戦略1 平常心を保つ“心”=精神力
戦略2 集約・記憶の方法“技”=知識や技能
戦略3 受験体力の鍛錬“体”=体力
行政書士試験の直前期とは? 受験生はどう過ごしている?
行政書士試験の直前期の過ごし方は合否に影響する?!
まずは今の自分の立ち位置を把握しよう!
山田講師)
行政書士試験の直前期の学習って、受験生の皆さんにとってかなり大事な期間ですよね。
今回はその直前3ヶ月で“差”をつける、行政書士試験の合格戦略について板野講師とお話していきたいと思います。
板野講師)
山田先生、まず最初にお伝えしたいのは、「行政書士試験の直前期っていつからですか?」という問いに、私がX(旧Twitter)で行ったアンケートでは、約4割の方が「3か月前から」と答えており、早期に直前期の戦略を立てた上で実践に移すことが試験合格には不可欠だと認識されているようです。
山田講師)
なるほど。
そうなると、その直前期の過ごし方が合否に影響してきそうですね。
具体的には、どんなタイプに分けて対策を考えるとよいのでしょうか?
板野講師)
模擬試験の結果などから、自分がどのタイプかを知ることがまず大事です。
大きく分けると3タイプあります。
1つ目は「知識不十分型」。
これはさらに2つに分けられて、
そもそもインプットが終わってない「①知識不完全型」(主に初学者)
覚えたつもりでも記憶が曖昧「②記憶不完全型」(リベンジ組に多い)
2つ目は「実践不十分型」。
知識はあるけれど、模試で緊張したり、体調不良や騒音などの外的要因で本来の力を出せなかったケースです。
山田講師)
じゃあ、それぞれのタイプで対策は変わってくるんですね?
板野講師)
はい。
たとえば①のインプット不足の方は、まずは全体の学習を一巡させることが最優先。
②の記憶不完全な方には、記憶の精度を上げる方法、つまり“繰り返し”の重要性をしっかり伝えたいです。
そして「実践不足タイプ」の方は、本番環境に近い模試や会場での演習を重ねて、慣れと対処力をつける必要があります。
山田講師)
模擬試験は一種の健康診断ってことですね。
今の自分の状態を知る意味でも、ぜひ活用してほしいですね。
行政書士試験の直前期における心構え
戦略1 平常心を保つ“心”=精神力
行政書士試験直前期には、特にこの心構えを持って突き進もう!
・他人に左右されない
・あきらめない
①SNSや模試に振り回されず、自分の軸を持つ
板野講師)
この行政書士試験の直前期、多くの受験生が直面するのが、「他人の情報に揺さぶられる」という問題です。
SNSで模試の点数を見て落ち込んだり、誰かの勉強法をそのまま真似して失敗したり、自分の軸を失いがちです。
山田講師)
SNSを見るなとは言わないけれど、見たことで自信をなくして手が止まるようなら本末転倒ですね。
特に「優秀層の成功例」を自分に当てはめすぎるのは危ないと思います。
板野講師)
おっしゃる通りで、特に成績優秀者や合格者の方法は、土台となる前提が違うことが多いんです。
自分に合った方法かどうか、きちんと取捨選択する冷静さが求められます。
②ブレイクスルーの瞬間まで、諦めずに走り切る
板野講師)
そして、もう一つ行政書士試験の直前期の落とし穴が、「勉強しても伸びない」と感じる不安や脱力感から勉強が手に付かなくなることです。
実際、民法などは、成績低迷期が続いたとしても踏みとどまって学習成果を積み上げていけば、一気に成績が伸びる時期が訪れます。
これを我々は「ブレークスルーポイント」と呼んでいます。
山田講師)
確かに、私の見てきた合格者でも、10月の模試で全然できていなかったのに、そこから一気に成績が伸びた人が何人もいました。
あれは、ちょうどブレイクスルーが起きた瞬間だったんでしょうね。
板野講師)
ええ、だからこそ、この停滞期に「もうダメだ」と諦めるのはもったいない。
点が伸びないのは、知識が積もっていないのではなく、まだ結びついていないだけなんです。
そこでやめると、努力が結果になる直前で終わってしまいます。
③「今年やめる」は+365日後の再挑戦を意味する
板野講師)
私がよく言うのが、「諦めるのは一瞬だが、再チャレンジは365日後」という話です。
残り10日であっても、やり切ることで得られるものは大きい。
逆に途中でやめてしまえば、365日分の重荷を背負うことになります。
山田講師)
確かに、いったん「逃げ道」を選ぶと、翌年も同じ状況になったときにまた逃げやすくなりますよね。
それは本当に怖いパターンです。
板野講師)
ですから、「苦しいから諦める」ではなく、「苦しいのは成長している証」と思って乗り越えてほしい。
行政書士試験の直前期は気持ちの持ちようが何より大事です。
行政書士試験の直前期における勉強方法
戦略2 集約・記憶の方法“技”=知識や技能
記憶を引き出すための整理と、記憶を維持し続けることが重要!
完璧よりも、忘れない・思い出す工夫を!
①本試験は“検索型“試験 知識の集約・記憶の必要性
山田講師)
結局、行政書士試験で求められているのは、知識をただ覚えてるかどうかじゃないんですよ。
問題文には「民法の規定や判例に照らして正しいものを選べ」って書いてありますよね?
つまり、問題のテーマやキーワードを見て、「あ、これはあの条文だな」「あの判例だな」っていうふうに、自分の中で必要な知識を“検索”して、そこから当てはめていく力が問われているわけです。
だから試験現場でパッと思い出せるように、知識をきちんと整理し、記憶しておかないと、いくら勉強していても点数にはつながらないんですよね。
特に直前期、10月・11月はもう「理解する」という段階じゃなくて、「記憶して引き出す」ための時期ですね。
②直前期は“皿回し”のように記憶を維持し続ける
板野講師)
記憶の定着には「皿回し式」、つまり皿を回し続けるがごとく、記憶を維持し続けるために高速で何度も繰り返すことが重要です。
理想は1~2週間で全科目を1回転。1周に3ヶ月もかけていたら、最初の内容は忘れてしまいます。
山田講師)
民法なんて、総則→物権→債権と進むうちに、総則の内容を忘れてしまうなんて話、よくありますよね。
板野講師)
ですので、行政書士試験の直前期は“回転数重視”。
完璧を目指すよりも、早く回すことで知識を全体的に底上げしていくイメージです。
③記憶の優先順位とテーマ選定の視点
板野講師)
何をどこまで記憶すべきかは、「出題される可能性」で判断します。
テキストにあって過去問にも出ているもの(=Aランク)は最優先。
逆に、テキストにも過去問にもない細かい知識は思い切って切り捨てるべきです。
山田講師)
あれこれ不安になって知識を広げるより、「出る知識を深く」意識したほうが合格に近づけますよね。
④フレームワーク思考で知識を構造化
板野講師)
もうひとつ大事なのが、「木→枝→葉」の順で覚えるフレームワーク記憶です。
例えば「無権代理行為が行われた場合の相手方の採りうる手段」を覚えるときに、いきなり要件に関連する善意・悪意や登記の要否などの細かな知識ばかりを覚えるのではなく、まず代理行為における「本人の手段」「相手方の手段」という大項目を頭に入れてから、それにぶら下がる形で細部を詰める必要があります。
山田講師)
“葉っぱの知識”から覚えると、風が吹いたらすぐ飛んでいきますもんね。
まずは“幹”をしっかり立ててから、ですね。
行政書士試験の直前期における過ごし方
戦略3 受験体力の鍛錬“体”=体力
自分を信じて、やるべきことの優先順位付けと取捨選択を!
体調管理は重要課題!
合格には「勉強体力」も不可欠
板野講師)
最後に“体”の話ですが、行政書士試験の直前期は1日8~10時間勉強する人も増えます。
ところが、体調を崩したら元も子もないんです。
勉強時間も大事ですが、集中力の質を保つには休憩も必須です。
山田講師)
特に夏の疲れが出る9月、そして試験本番直前の11月初旬、ここで風邪をひく人って本当に多いんですよね。
板野講師)
そうですね。
体調が悪いと集中力が落ち、記憶も定着しません。
「健康も戦略の一部」だと思って、しっかり睡眠・食事・運動のバランスを取ることが大事です。
【終章】最後に必要なのは「自分を信じて走り切る覚悟」
山田講師)
ここまで「心・技・体」で話してきましたが、結局最後に問われるのは「諦めずに続けられるか」なんですよね。
板野講師)
まさにそうです。
何をやるかも大事ですが、何をやらないかを決める勇気。
そして、やると決めたことを最後までやり切る覚悟。
これが合否を分けます。
山田講師)
皆さんも、今の学習法に迷いがあったら、今日の話をヒントに「自分の軸」を再確認してみてください。
そして最後の一日まで、自分を信じて頑張ってください。
板野講師)
頑張ってください。
応援しています!