確実な合格に向けた選択科目の位置づけ
倒産法は民事系科目と連動した得点源となる重要なピース!
司法試験の天王山とも言える論文式試験において、多くの受験生が後回しにしがちなのが「選択科目」です。しかし、私の合格戦略において、選択科目は単なる「消化試合」ではなく、民事系科目の底上げを図りつつ、安定した得点を確保するための重要なピースでした。
私は選択科目として「倒産法」を選び、合格を勝ち取りました。なぜ倒産法を選び、どのように時間を配分し、他の科目とのバランスを取ったのか。その具体的な戦略を振り返ります。
1 なぜ「倒産法」を選んだのか:民事系との相乗効果
数ある選択科目の中で倒産法を選んだ理由は、主に以下の2点に集約されます。
第一に、「民事系科目との圧倒的な親和性」です。 倒産法は、民法(特に債権法、担保物権法)や民事訴訟法の手続が、倒産という非常事態においてどのように変容するかを学ぶ科目です。つまり、倒産法を学ぶことは、そのまま民法や民訴法の復習・深化に直結します。 例えば、相殺や担保権の実行、否認権といった論点は、民法の知識が前提となります。私は民事系科目の学習時間を最も重視していたため、選択科目の学習が民事系の学習を分断するのではなく、むしろ補強する役割を果たす倒産法は、非常にコストパフォーマンスが高いと感じました。
第二に、「実務での汎用性と興味」です。 将来、企業法務であれ一般民事であれ、経済活動あるところに倒産リスクは常につきまといます。実務に出た後に使う可能性の高い知識であるという認識があったため、モチベーションを維持しやすいと考えました。
2 学習のタイムラインとインプットの所要時間
私が本格的に選択科目の対策を開始したのは、大学在学中の予備試験論文式試験1か月前です。それまでは主要7科目の基礎固めに集中しており、選択科目はノータッチに近い状態でした。
〈インプット期の進め方〉
学習開始当初は、予備校の入門講義を一気に視聴し、全体像を掴むことに注力しました。インプットにかかった所要時間は、講義視聴が約15〜20時間程度です。倒産法は「破産法」と「民事再生法」の2つの法律を学ぶ必要があり、一見すると分量が多く感じられます。しかし、手続の流れという骨組みさえ理解してしまえば、あとは個別の論点をそのフローの中に位置づけるだけです。私はこのインプット期間を約1週間で集中的に行い、予備試験ではA評価を受けることができ、司法試験でも確実に相対的に沈まないという自信をもって戦略を立てることができたため、私にとって司法試験合格に寄与した重要な科目のひとつとなりました。もっとも、講義を1周聞いただけでは頭に残っていないので、全体像をなんとなく理解しているうちに基本的な問題集を解きました。最終的には、論点としては百選掲載判例を網羅的につぶすことを意識し、他方で条文から離れないことを最後まで意識しました。
3 論文試験対策:最強の武器となった書籍・講座
インプットを終えた後は、直ちにアウトプットへ移行しました。予備校の基本問題集を活用し、その後司法試験過去問に取り組みました。このとき、辰已書籍である「1冊だけで倒産法」(第三版)とインプットの一助として「倒産法講義」(野村剛司、森智幸)を活用しました。
前者については、過去問と論証が1冊にまとまっているのは非常に勉強しやすく、論証集は別途利用しているものがあったものの、全体的にこういう内容の論点だよねといったことはその場で復習するのに役立ちました。また、選択科目は例年の受験生の答案レベルが他の科目に比べると知る機会が少ないので、この本で合格者の答案のレベル感を知っておくのは、相場観を知っておくという意味で非常に有益であると考えます。
後者については、百選掲載判例はかなり網羅的に掲載されているにもかかわらず、376頁とコンパクトにまとまっており、読みやすく内容としても司法試験に十分耐えうる内容の濃さとなっており、インプット本が決まっていない人にはお勧めできる1冊です。
4 学習時間の配分と他科目との比率
司法試験はトータルの点数で合否が決まるため、科目間のバランス感覚が極めて重要です。私は以下のような比率で学習時間を割り振り、割り切った対策を行いました。
科目別学習比率(直前期)
民事系(民法・商法・民訴):50%
公法系(憲法・行政法):20%
刑事系(刑法・刑訴):20%
選択科目(倒産法):10%
この比率を見ていただければ分かる通り、私は学習時間の半分を民事系に費やし、選択科目は全体の1割に留めました。倒産法にかける時間は、多くなりすぎないように気をつけつつ、この限られた時間で成果を出すために意識したのは、「ホームランを狙わない」ことです。倒産法には非常に難解な論点や、マイナーな手続規定も存在しますが、それらに深入りすることは避けました。「みんなが書ける重要論点(否認権、相殺、別除権、双方未履行双務契約など)を絶対に落とさない」「条文を素早く引いて趣旨から規範を定立する」という基本の習得に時間を割きました。
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慶應義塾大学法科大学院在学中【既修】
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