司法試験

  1. ホーム
  2. 司法試験
  3. 合格者・受講生の声
  4. 長年の受験生活を終えられての感謝を込めて、未来へ歩みだす方々へのエール

長年の受験生活を終えられての感謝を込めて、未来へ歩みだす方々へのエール

髙橋 俊博さん
受験歴: 8回
大阪大学高等司法研究科修了
中央大学法科大学院修了
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 個別指導 他
2024年度

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 私は,まず,大学入学時に,漠然と,将来自分が目指すべきは,公益へ貢献できる職業に就くことだと考えました。又,当時,我が国は好景気に沸いており,社会の風潮は,地道に事にあたり基礎を積み上げ生きていく事に対して否定的でした。そんな中,私は,そのような風潮だからこそ,大学在学中に,何か将来の自分の芯になる土台を身につけなければ,外部からの影響に流されて,自律的に生きていけないのではとの懸念を抱きました。そこで,将来目指すべきもう一つの目標として,専門的知識の習得を決意しました。この結果,私は,投資家保護という公益に資する専門職である公認会計士になることに尽力し,なんとか資格を得,企業の会計監査業務に携わりました。

 しかし,ある日,個人的に消費者トラブルに遭う経験をした際,会計士の投資家保護という一般抽象的なアプローチだけでは,一人の困った人の救済さえできないこともあるという現実を目の当たりにし,愕然としました。これを機に,公益保護に資する職業につくという初心を今実現できているかと自問自答するようになり,改めて,個人と向き合い,その保護を図ることこそが,当初の志を実現するためには必要だと考えるようになりました。そこで,会計士と同じ専門職であり,個人に向き合い職務する,弁護士になることを志そうと考えました。

 それから多くの時が流れ,私は,2024年11月の合格発表でやっと目指していた弁護士へ向けての第一歩を踏みだすスタート地点に着くことができました。しかし,ここに来るまでには,非常に長い時間を要しました。この間の苦難は饒舌に尽くしがたいものでありましので,ここでは,苦難を乗り越える最も基本となった要点部分だけ,以下で述べさせて頂きます。

 私は,法学部出身でない上,法律とは直接関係がない職を長年勤めた後,純粋未修から法律の勉強を始めました。そこで,まず,三段論法等の基本的な法的思考,独特の法律用語,及び,起案におけるナンバーリングの仕方等,司法試験を受ける上で欠くことができない基本的な前提を身につけるのに非常に時間がかかりました。しかも,私は,ロースクールへ進学しましたが,周りの多くの方とは世代ギャップがあったこともあり,一人で勉強することが多く,これらの課題を克服することへの困難には拍車がかかりました。それでも私が,この程,これらの課題を克服することができたのは,以下の手法を,地道にとってきたことによると考えています。

①テレビや映画で,法律や法廷を扱うものは,フィクション・ノンフィクションを問わず,気がつく限り全て見ることにしました。

 これにより,法曹の考え方や立ち居振る舞いを五官を通して感じ取り,法的思考を身につける一助にしようと試みました。

②ロースクールの授業その他で,実務法曹のお話が聞ける機会には,自己の希望進路に関わらず,極力参加することにしました。これも,(1)と同様のことを期待してのことでした。

③ロースクールの授業を必死にこなすのはもちろんですが,ロースクールでは,当然,基本的知識を習得していることを前提に授業が進められますので,授業についていけるようにするために,司法試験の短答式試験の問題を多く解いていくことにしました。本来は,各科目の定評ある基本書を地道に読む等すべきであったのでしょうが,それではあまりも時間が足りないと思い,このような手法で,基本的知識を習得することを目指ざしたのです。

 短答式のない科目についても,予備試験の短答式試験の過去問を適宜利用して,基礎固めに使いました。

 合格まで非常に多くの時間がかかった私の以上の方法が,多くの方の模範になるとは思えませんが,成果が出ずに悩んでいる方に何らかの参考になればと思います。

2 受験対策

(1)辰已講座の利用方法とその成果

 私は,辰已では,スタ論福田クラス,選択科目答練,全国公開模試及び直前答練といった答練で,主にお世話になりました。なぜ,そのような選択をしたかといえば,①辰已の答練は,司法試験の合格圏内に近い受験生の多くが受験しているため,自分の立ち位置を確認するのに最適であると考えたこと,②問題が実際の司法試験をよく研究されて作成されているため,本試験の出題傾向をつかむことができる上,問題の質が本試験に近く,本試験に向けた予行演習に最適と考えたこと,及び③特に,全国公開模試にいえることですが,特典で受講できるプログラムが非常に充実しており,有意義であると感じたことです。特に,解説講義と短答肢別は非常に役立ちました。

(2)私がやって成功した方法

 私は合格まで非常に時間を要しており,これから受験される方に参考にしていただけるような成功体験はあまり多いといえませんが,比較的成果が出たと考えられる以下の二点を紹介したいと思います。

 第一に,短答式に関して,短答過去問パーフェクトを使って,正答率が高い問題(私は,これを50%以上に設定していましたが,各人の判断で好きに決めてよいと思います)を100%できるようにしました。このような問題に関しましては,単に正答を導けるようにするにとどまらず,正答でない肢も含めて,全肢について,解説を読み込みました。

 第二に,論述式について,自習で起案する際に,司法試験過去問であれ,スタ論等の答練であれ,必ず,まず,何も見ずに起案し,それが終了した後に,解答例や解説を見るようにしました。司法試験の場合,確かに,過去問や答練と似た問題が出ることが少なくありませんが,まるで同じ問題が出るわけではありません。解答例や解説を見てから解くとどうしても模範解答を暗記してできるような気になってしまいます。しかし,それでは,同じような出題がされても,少しひねられるだけでお手上げになりかねないと考えました。そこで,上記のような方法を採りました。他方,事後的には,解答例や解説で参考になる表現があれば,積極的に「活用」(すなわち,拝借)させて頂きました。

(3)私が使用した本

 一番多用したのは,短答パーフェクトでした。

 一方,趣旨規範ハンドブックも使用しましたが,頭から順にインプットのために使用することはしませんでした。知識を整理する時に,辞書代わりとして使用したのです。

3 これから受験する方々へのアドバイス

(1)ロースクール在学生の皆様へのアドバイス

 私もロースクール出身ですが,ロースクール在学中はロースクールを信じて,その授業を理解することに最善を尽くすべきだと思います。今考えると,早期に合格される方はロースクールでの成績も良いことが多かったです。

 又,学術的に優れた先生や実務で活躍されている法曹の方々が教鞭をとられているのですから,ご指導を軽んじることはもったいないと思います。エクスターンや模擬法廷等自習では得難い経験もできます。

 さらに,学内試験は,特に良く見ておくことをお勧めします。司法試験の論述式試験にきっと役立つと思います。

(2)来年初めて受験する方へのアドバイス

 本番で成果を発揮するためには,知識だけでなく,環境を整えることも重要であると考えます。

 試験会場がわかったら,何時に到着するかを決めて,あらかじめ家をたつ時間を決めるべきです。遅刻は当然ありえませんが,集合時間にぎりぎりに到着するようでは,7月という夏場に試験が行われることも考えると不利に働くことは必至です。

 又,会場ではトイレが込みますので,できればトイレの場所や利用する時間などもあらかじめ計画を立てておくのがベターであると思います。

 その他,私は,当日及び前日の食事についても試験時の体調を考慮してあらかじめ決めておきました。

 辰已の全国模試は本試験と同じ会場を利用して行われるのが通常ですから,模試を受験するときに以上をシュミレーションしておくのが効果的であると思います。

 テクニカルの面では,試験場で直前に見直す点を各科目ノートにまとめました。

 まとめる点は人により異なると思います(私は,答練の模範解答等で参考になると考えた表現やなかなか頭に入らない定義等にしました)。その際,あるロースクールの先生からアドバイス頂いたのは,少なければ少ないほどいいというといことでした。私もこのご提言を肝に銘じ,できる限り,各科目A4用紙1枚~2枚にまとめました。

(3)来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス

 リベンジ合格を目指すということは,失敗した点を反省して,自己の弱点を発見し,改善することが必要であるといえます。しかし,自己の弱点を自ら見つけることは困難ですから,一つの方法としては,信頼できる方に起案した答案を定期的に添削していただくのが良いと思います。

 しかし,添削は,各人が書いた答案の範囲内でなされるにすぎませんから,それを受けただけでは,弱点の抜本的改善までは図れないと考えられます。そこで,自己が起案した答案を元に自己評価することが必要であると考えます。

 方法としては,司法試験の過去問に関しては,採点実感を元に,「良好」以上の答案となるにはどのような点を記載すべきかを把握し,自己の起案と比較検討すべきです。

 又,答練に関しては,採点基準で配点の高い論点が,起案した自己の答案に記載されているかをチェックするようにすべきです。辰已の答練は採点基準が非常に細かく設定されていますから,この作業は困難ではないと思います。

(4)社会人受験生へのアドバイス

 私も社会人経験者ではありますが,この勉強を始めた時は既に仕事はやめていました。仕事をしていた時のことと,この勉強を始めた後のたいへんだった日々を考え合わせますと,仕事を続けながら勉強をしておられる方を心から尊敬申し上げます。論述式の勉強は,細切れにして行うことが難しく,働きながら受験されている皆様のご苦労が偲ばれます。同じ立場の経験がない私のアドバイスがどの程度参考になるかはわかりませんが,以下思いつくことを数点述べさせて頂きます。

 まず,通勤時間等の隙間時間は短答対策にあて,これにより基礎固めをし,休日等まとまった時間がとれる時に論述対策はまとめてやるのが良いのではないかと考えます。細切れの時間を論述対策にあてて効果が得られず,休日等の貴重な時間を短答対策に多くとられたり,その時間,短答対策は行わず論述対策だけに終始するようなことになると,合格は遠くなってしまいます。

 論述対策については少ない時間で効を上げることが難しいことは自らの経験で痛感しておりますが,取れる時間が少ない場合には,問題を読んで構成だけした後,すぐに模範解答を書き写して,自己の構成と解答解説を比較検討するという方法をとるのも手かもしれません。初見の問題への対応は別途,後日の公開模試等で磨く必要はありますが,少ない時間で多くの論点の論述の基礎が身につくというメリットはあると考えます。

 一つ気を付けなければいけないのは,短答対策に終始することも害だということです。短答対策は基礎固めになる上,論述でも短答知識が問われる出題が多く見られます。しかし,短答があるのは憲法,民法及び刑法の3科目だけであり,勉強がその科目だけになってしまうおそれがあります。又,その3科目も,短答対策だけでは,頭ではわかっていても,起案してみるとうまく書けないということが多々あります。従って,時間を見つけて論述対策をすることは忘れずに行ってください。

 最後になりますが,仕事の後などは思い切って休むなど,体調管理には十分にお気を付け下さい。

(5)終わりに

 私は純粋未修から合格という念願の地へやっとたどり着きました。ここまで,非常に長い時間がかかってしまいましたが,たどり着くことができたのは,辰已を始めとする多くの方々の熱心なご指導があったからです。これから受験に向かわれる皆様もどうか辰已を始めとする周りの方々を信頼して精進下さい。

 どこかの実務の世界で,ご一緒できる日を楽しみにしております。

関連記事

辰已は羅針盤です

木谷 晋輔
受験歴: 1回
早稲田大学第一文学部
一橋大学法科大学院【既修】2023年入学 2025年卒業予定
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 他
2024年度

社会人初学者の合格体験記

R.K
受験歴: 1回
京都大学教育学部
2023年予備試験合格
【受講歴】最後のすべらない講義 全国公開模試 他
2024年度

司法試験逃げ切り戦略

M.R
受験歴: 1回
東京外国語大学
慶應義塾大学法科大学院【既修】2023年度入学 同年退学
2023年予備試験合格
【受講歴】予備試験スタンダード論文答練(松永クラス) 他
2024年度

人生100年時代、64歳で予備試験、司法試験に合格!

加藤 洋一
受験歴: 1回
東京大学
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練(西口クラス)
2024年度
各種サービス
  • YouTube
    チャンネル

  • メルマガ登録

  • 辰已のアプリ

Page top