答練もヤマ当てもやれることは全部やる。心残りがなくなるまでやってみる。
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
私は、女性としてのライフコースを想像する上で、出産・育児などの様々なイベントを経たとしても資格は一生ものであると考え、安定を求めて法曹を志しました。
また、大学で法律相談部に所属し相談者の話を聞きつつ身近な実際のケースに触れることで、法律で人を助けられるやりがいと面白さを体感し、更に学んだ知識を活かしたいと思うようになりました。このような経験から司法試験を受験し、専門家としての資格を得ることを決意するに至りました。
私は、在学中受験が始まった年に初回の受験をし、不合格となっています。この程度の勉強では到底受からないことを痛感し、2回目の受験に向けて全力を尽くしました。やれることは全部やり、これで落ちたら何をこれ以上すれば改善できるか分からないと思えるまで勉強したと思います。やりきったと潔い気持ちになれるまで頑張ったかが初年度不合格との明確な違いであると今では感じています。
私と同じように在学中に不合格となり、リベンジに燃える同期たちと毎日弱音を吐きつつも励ましあいながら切磋琢磨し、何とか今年度の司法試験に合格することができました。
2 受験対策
(1)辰已講座の利用方法とその成果
私は、ロー卒業後に辰已のスタ練を受講しはじめ、郵送で答案を毎週提出し添削を受けていました。
大まかなやり方として、答案を作成した後で、合格スタンダード答案と講師作成の完璧なバージョンの答案を見比べ、合格の最低ラインを見極めるようにしていました。そして、模範答案の中で参考になる言い回しや自分の知らなかった論点を見つけた場合にはその場ですぐに自分の論証ノートに補完するようにしていました。添削が返ってきた場合には、厚く論じられなかった箇所や拾うべき問題文の事実を確認し、その反省点を論証ノートに残すようにしていました。
また、解説レジュメにはなぜこのような論点を扱ったのかという問題作成についてのコメントが付されていたため、同レジュメは現在どんな論点がホットであるのかを分析する良い材料にもなったといえます。
スタ練の成果としては、郵送期限に間に合わなければ紙での添削は受けられないという制約が、怠けがちな自分のペースメーカーになった点にまずあるといえます。
また、スタ練のテーマの選定はヤマ当ても兼ねていると個人的には感じたため、「本番で出るかもしれない」という焦りから気合を入れて論点復習しようという意識にさせた点も成果として挙げられるといえます。結果として、自分の知識の穴をかなり埋められたと感じております。
(2)「私がやって成功した方法」「私のノート作成術」「私のスケジュール管理方法」等々
私は基本的にすべて手書きでノート作成をしないと暗記できないタイプだったので、論証ノートを自作し、それにマーカーを何度も引きながら繰り返し暗記するという方法を採っていました。そのため、最終的にはマーカーだらけで目がチカチカするようなノートに仕上がりました。しかし、手書きはあとから情報を追加しにくいというデメリットがあるためワード等で論証をまとめるのもアリだと思います。
スケジュールの管理方法としては、手帳に3日~1週間単位でタスクを全て書き出して日単位で割り振るという方法を行っていました。大概は最初に設定したタスクの7割程度しか終わらないので、やりきれなかった分は土日を予備日としてまとめて消化(それでも終わらなければ翌週へ)するようにしていました。債務を抱えて翌週に繰り越し、それがすべて終わらなかったとしてもあまり罪悪感は持たないようにしていました。継続して何か勉強できればよし、くらいの意識で続けていました。
(3)私が使用した本
まず、短答対策として短答過去問パーフェクトを憲民刑それぞれ1周ずつ演習し、間違えた問題の解説をノートにすべてまとめていました。時間の掛かる地道な作業でしたが、1問あたりにかける時間が長い分、記憶の定着も早かったように思います。
さらに、行き帰りのバス通学(計40分)の間、肢別アプリで問題演習を行っていました。親族相続の分野は毎日継続して勉強しなければすぐに知識が抜けてしまうので、重点的に肢別アプリで忘れないように演習していました。また、アプリでは書籍に収録されていない旧司の問題も入っているため、併用することでかなり知識の穴を埋めることができたのが良かったと思います。肢別アプリも含めると、結果として短答過去問パーフェクト3周分くらいの量を演習したと思います。
また、直前期にはハイローヤーのヤマ当てに特化した号を直近2~3年分ほど読み、ヤマ当ての分析を徹底して行いました。挙げられているテーマの中で知識が怪しいものがあれば復習して不安のないように努めました。直前のメンタルケアとしても非常に有用であったと感じています。
3 自己の体験を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
(1)LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)
在学中受験が始まり、ロースクール入学前から在学中合格を目指す人が増えていることからロースクール内での期末試験でさえも勝ち抜くことが厳しくなってくるかと思います。
留年しないために期末試験対策をしっかりとすることはもちろんなのですが、ロースクールでしかできない体験を積極的にしてほしいと思っています。
私は、ロースクールの授業の一環として、屋久島にて弁護士の先生方とともに無料法律相談会を開くというリーガルクリニックを体験しました。司法過疎問題という語義だけ知っていた事項について、いかに切実で早急な解決を要する問題であるかということが現地の人の実際の紛争に触れることで痛感することができました。
他にも、模擬裁判を通じて現役の裁判官・検察官の方の指導を受けることができるなどロースクールならではの貴重な体験を積むことができたため、この機会を生かして積極的に行事に参加することをお勧めします。
(2)来年初めて受験する方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
初めての受験ということで、会場の雰囲気や連続で答案を作成するきつさなど初めて経験することがたくさんあり、戸惑うことも多いかと思います。前提として、試験で100パーセントの力を出し切ることはまず難しいと捉えてほしいと思います。緊張からいつもならスッと出てくる論証が出てこなかったり、見たことのない条文について問われ焦り時間配分を上手くできなかったりなど想定外のアクシデントはほぼ必ず起こると思ってください。しかし、(自分がある程度勉強しているのであれば)そのアクシデントは等しく皆に起きています。自分が難しいと思う問題は大概他の受験生もできていないのですから、さほど焦らず自分が書けるところに全力を尽くしてください。
試験当日までは、何よりも体調が一番大事なのであまり無理をしないようにしてください。無理をするのは試験2週間前までがリミットかと思われます。
そして、試験期間中は、寝ようにも緊張で眠れないこともあるかと思いますが(自分がそうでした)、大丈夫です。寝なくても当日はアドレナリンで書けます。眠い、寝たいなどと思う暇もないスピードで試験時間が過ぎていくので、試験時間中に寝てしまう心配はあまりしなくて良いかなと思います。
いつも通りのあなたで大丈夫です。応援しています!
(3)来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
私もリベンジ合格をしたので、リベンジを目指す方の気持ちは分かるかなと思います。
私はリベンジで合否を分けるのは、ひとえに勉強法にあると考えています。勉強法が誤った方向に向いたものであれば、いくら量を積んでも合格はなかなか近づきません。私は、初回の受験において論証パターンをひたすら暗記して、基本書で知識を補完して試験に臨みました。演習はロースクールの期末試験で答案を書くのみで予備試験の過去問を少し解いた程度のものでした。しかし、結果として不合格となり全面的に勉強方法を見直しました。
合格した年は、基本書をほぼ読まずひたすら過去問をフルで答案作成し、同期4人のゼミで全員に添削してもらうというプロセスを繰り返しました。逆に言えば、論証パターンは直前まで暗記せず、答案作成の際には論証パターンを参照しながら書いていました。インプット重視の勉強方法をアウトプットに全振りした形といえます。ここで一番大事なのは、「他人に答案を見てもらう」ということだと考えます。自分では絶対に気づかなかった書き方の癖や言い回し、知識の誤解などを直していく最も効率的な方法といえるためです。
勉強方法が正解の方向に向けば、パイプの詰まりが取れたかのようにスルっと成績が伸びます(模試の成績に反映されました)。
本番の試験を経験しているからこそ有利になる点も多々あると思います。リベンジに燃える皆様の合格をお祈り申し上げます。
(4)社会人受験生へのアドバイス(限られた可処分時間の有効な活用法)
社会人受験生の方については、可処分時間の少ない中で合格を目指すとなると効率が最も重視すべきポイントとなるかと思われます。上述のリベンジを志す方へのアドバイスと同様、なるべく過去問に触れ他人に添削してもらうというのが合格への近道となると自分は考えているので、できる限り答案の添削を受けると良いかなと思います。大変な道かと思われますが、ささやかながら応援しています。
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辰已は羅針盤です
一橋大学法科大学院【既修】2023年入学 2025年卒業予定
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 他
