反復練習による密度の濃い勉強を心掛けて合格!
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
私は以前公務員として働いていましたが、在職中から司法試験を目指そうと思い立ち勉強を開始しました。元々は産業政策や企業のビジネス支援等に興味があり、そのような政策立案に携わりたいとの思いがあり公務員を志しましたが、働いていく中で、より自分の専門性を発揮して企業を支援したり社会課題の解決に貢献したいとの思いが強くなったのと同時に、そのような専門性を磨くことで自分自身もより成長したいと考えるようになりました。そうした中で、辰已の予備試験対策講座のパンフレットが目にとまり、まずは予備試験を目指そうと思い立ち予備試験対策の基礎講座を受講し始めました。
勉強の甲斐あって、予備試験の論文試験でもあと少しで合格に手が届きそうなレベルにまで学力が向上しましたが、一方でより早く司法試験にチャレンジして法曹になりたいとの思いがあり、司法試験受験資格が無いことで焦りを感じていました。そのような中、法科大学院在学中の司法試験受験が可能になったとの話を聞き、自分の実力であれば、一生懸命勉強すれば在学中に必ず合格できると信じて、思い切って方針転換し、公務員を退職して法科大学院に進学することに決めました。今振り返ると、この判断が吉と出たわけですが、自分の人生の中では最大の賭けでもあったと思います。
既修2年目での在学中受験までは1年あまりしか時間がありませんでしたので、法科大学院入学後も日々の授業に一生懸命取り組みつつも、常に司法試験を見据えて過去問演習等に取り組みました。そして、令和6年司法試験において、無事在学中に合格することができました。
2 受験対策
①辰已講座の利用方法とその成果
私は元々予備試験を目指していたこともあり、基礎講座や論文答練も予備試験対策のものを受講していました。ただ、そこで学んだことや論文作成の技術は、当然司法試験にも活きてきます。予備試験、司法試験に関わらず、基礎講座等ですべての科目について全般的な知識を入れつつ、それとほぼ同時並行的に答練を受けて実際に答案を書いてアウトプットすることで、自分の理解の足りない部分等を効率的に学ぶことができます。
またそれ以外の講座で、私が特に役に立ったと思うのは、福田先生の各種講義です。実際に私が受講したのは、「福田民法強化講義」「福田商法強化講義」「福田民訴強化講義」です。民法と商法に関しては、いずれもLaw Practiceという演習書を分かりやすく解説していただける内容です。民訴については、「ロジカル演習民事訴訟法」の解説です。いずれの書籍も受験生が一人で読破して理解することはかなりの困難を伴うものですが、内容は司法試験で頻出の論点について触れられていますので、是非受講してこれら書籍の内容を自分のものにしてしまえば、受験でもかなり有利に戦えるかと思います。特におすすめは商法と民訴です。
②主な勉強方法やスケジュールについて
色々な所で多くの合格者が語っていると思いますが、やはり早い段階から答案を書くことに慣れておくことが重要だと思います。最初は上手く書けなかったり、知識がないために何を書いて良いか分からなかったりすることがあるかと思いますが、誰もが通る道ですので気にせずどんどん書いてアウトプットを行うべきだと思います。
またそれは短答対策でも同じで、テキストや基本書を読んで覚えるだけではなかなか本番で正解にたどり着くのは難しいです。短答パーフェクトを使って過去問をどんどん解いていき、間違えたらその場で覚えていくという作業を繰り返すのが近道だと思います。
ロースクールでは日々の授業が忙しかったのですが、それも真面目にこなすことが結局は近道だと思います。忙しい中でもしっかり時間を確保して、過去問を何度も繰り返して解くことで必ず実力は向上します。また、効率的な勉強方法を日々考えることも重要ですが、正直言ってもっと重要なのは一定以上の勉強量を確保することだと思います。そのためには1分でも長く勉強時間自体を確保するよう努めると同時に、限られた勉強時間の中でいかに集中して素早く多くの問題を回すかということにも注力すべきです。
あと、意外なことかもしれませんが、ある程度は運動をする習慣も身に付けた方が良いと思います。社会人の場合は仕事に加えて受験勉強という負担が毎日続きますし、ロースクール生であっても毎日勉強漬けの生活をしていれば心身に不調をきたすことは珍しくありません。勉強で溜まった疲れやストレスを軽減させたり、そもそも受験勉強を戦い抜く基礎体力を身に付けたりするためにも、運動は行うべきだと思います。私の場合は少なくとも週に2~3回はジョギングしていましたし、時間を見つけて時々自宅で筋トレをしたりしていました。どうしても急に運動を始められないという人は、1日にスクワット30回でも良いので始めてみることをおすすめします。
③使用した書籍について
短答対策としてはほぼ短答パーフェクトだけを使っていました。この本の良いところは、体系ごとに問題が分類されていて、さらに本試験での正答率が記載されている点だと思います。そして、実際にこの本を全部完璧にすることは不可能に近いので、私の場合は、正答率7割以上の問題、および令和以降の問題を中心に解くようにしていました。司法試験は、周りの受験生ができる問題を落とさないことが重要ですので、逆にいえば誰もできないような問題には無闇に手を出す必要がないといえます。ただし、そうはいっても法改正や直近の判例等に対応した問題というのはなかなか過去問の数も少ないですので、その意味で令和以降の問題は正答率に関わらず解くようにしていました。そして重要なのは、一度解いた問題をできるだけ短いサイクルで何度も解くということです。特に間違えた問題やまぐれ当たりで正解したに過ぎない問題は理解が不十分ですので何度も繰り返すべきです。私の経験では、1週間以内くらいを目安に2回目を解くようにするのが良いと思います。2週間ほど経ってしまうと、その問題を一度解いたことすらほぼ忘れています。
論文対策にはえんしゅう本を使いました。論文対策で一番重要なのは言うまでもなく過去問を使って実際に論文を書いてみることですが、私の場合はそれは主に論文答練で行っていました。私のえんしゅう本の使い方としては、ここに掲載されている過去問を読んで一度答案構成を行い、ある程度答案の筋を考えたら、すぐに答案例を見てその内容を覚えるくらいよく読むという作業をこなすということを行っていました。この方法で、各科目でばらつきはありますが、概ね10周程度は全問題を回していたと思います。こうすることで、重要な論点に関する知識を身に付けることはもちろんですが、模範的な答案構成や論理展開などが身に付き、次に似たような問題に出会ったときに自分の頭で答案の筋を作り出すことが容易になります。
また論文用の定義等の暗記には趣旨・規範ハンドブックを使用しました。特に刑法などはいかに正しく構成要件等の定義を暗記しているかが重要になってきますので、本書をフル活用していました。
3 これから受験する人へのアドバイス
司法試験は、全科目についてそれなりの答案を書くことができれば合格できる試験だと思います。必ずしも全論点を網羅した完璧答案を作成することを求められているわけではありません。別の言い方をすれば、人並み程度に書ければ受かる試験です。だから変に身構える必要はありません。しかしそうは言っても、それができるようになるためには正しい方法で着実に力をつける必要があるのもまた確かです。どんな問題が出てもそれなりに答えられるようにするには、様々な問題を何度も繰り返し解いて答案構成や論理展開の型を身に付け、重要な趣旨・規範や判例等を記憶するという地道な努力を続ける必要があります。
またそのようにして身に付けた知識は答練等を活用して積極的にアウトプットするようにしてください。実際に自分で書いてみることや、それを他人の目で見てもらうことは論文試験の本質的な部分です。いくら勉強を頑張っても、本試験では答案上に書いたことしか評価されませんし、それを読むのも見ず知らずの他人です。得点が伸びない場合は何か表現がおかしかったり、あてはめが強引だったりするなどして、採点者に納得してもらえないことが原因であることがよくあると思います。その対策はやはり答練等で答案を書いて、読んでもらうことでしか改善できないと思います。
受験生活は苦しいかもしれませんが、合格すれば本当に色々な人から祝福されますし、途端に色々な用事が舞い込んできて忙しい日々を送ることになります。合格前は不安もあり、なかなか将来のことも考えられないかもしれませんが、合格してしまえばそれまでのことが嘘のように道が開けます。是非こうした喜びを得るためにも日々全力で取り組み、合格を勝ち取ってください。
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辰已は羅針盤です
一橋大学法科大学院【既修】2023年入学 2025年卒業予定
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 他
