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たった1年の勉強で未来は大きく変わります。

O.Sさん
受験歴: 新試験1回
早稲田大学法学部
慶應義塾大学法科大学院 【既修】2020年入学・2022年修了
【受講歴】全国公開模試 他
既修者一発合格

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

私は両親が法律関係の仕事をしていたことから、幼い頃から漠然と法律の世界に興味がありました。そして、大学時代に弁護士や裁判官、検察官であるOB・OGの方のお話を伺い、弁護士と検察官に憧れ、司法試験を受験することを決意しました。しかし、司法試験に合格することは簡単ではありませんでした。そもそも、司法試験の受験資格を得ること自体が、私にとってはハードワークでした。予備試験は3回受験し、全て短答落ちでした。慶應ロースクールに進学しましたが、期末試験の度に、単位を落としていないか、留年しないか怯えていました。私は、司法試験受験の丁度1年前に受験した予備試験の短答式試験に惨敗し(5000番台で落ちました)、法曹志望を辞めようかと思いました。どんなに努力しても一生私には受からない試験なのではなかと絶望しました。私は全てのプライドを捨て、在学中に予備試験に合格した友人に片っ端から勉強方法を聞き、さらに予備校にお金をつぎ込みました。残り1年足らずの間に、自分にできることは全てやろうと思い、無駄な努力であってもかまわないと割り切り、効率よりも勉強量を重視しました。その結果、短答式試験は200番台、総合は400番台で合格しました。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

某予備校で配布された論証を何も考えず暗記し、それを入試本番に吐き出していました。基礎学力は全く身についていない状態だったので、予備試験の短答式試験の過去問を解いても、何も身につかず、何周しても低い点数しか取れない状態でした。体系的な理解が不足していることから、自分の頭で問いに対する答えを導き出すことができないため、未知の問題に全く対応できず、さらに1問を解くスピードも遅いという最悪な状況でした。入門書や基本書を通読したことも一度もありませんでした。

3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)

(1) ロー2年時

ロースクールの成績維持・向上のため、授業の予習・復習で手一杯で司法試験の過去問を解く時間はありませんでした。しかし、ロースクールの授業の中には、実務的すぎる授業や、基礎的な部分を省略している授業が多くあり、体系的な知識や基本的な法律に対する理解が不足している状況に陥りました。

(2) ロー3年時

ロースクールの授業の予習・復習の時間は最低限にとどめ、司法試験の論文を解くゼミを友人と組んで、交換添削をしたり、ひたすら答案構成のみを行い、問題の傾向を掴んだり、基本的な知識のインプットを行いました。期末試験や模擬試験は、受験生の中で自分が今どの位置にいるのかを把握するための大事な指標と捉え、毎回目標を設定し、テスト当日までにこなすべきタスクを定め、全力で臨んでいました。

4 受験対策として

① 短答完璧講座(憲法)

私は非常に短答式試験が苦手で、特に憲法が苦手でした。辰已の短答完璧講座では、何を覚えれば良いのか、憲法の体系的な知識や判例の重要箇所が明確になり、未知の問題に対しても、自分の頭で考えて正誤を判断できるようになり、短答の点数が飛躍的にアップしました。決して安くはない講座ですが、短答の憲法は得点を取るための勉強方法が迷子になりがちな科目であると思うので、試験本番で確実に合格点を取るための必要経費としてはかなりお得で安いと思います。

② 全国公開模試

私は直前期に余裕がなく、辰已の全国公開模試の答案を実際に作成することはしませんでした。しかし、辰已の模試は他の予備校とは異なり、模試を受けた人間に出題予想の講義とレジュメをプレゼントしてくださる特典がついているため、模試については答案構成で知識を確認し、予想された範囲を重点的に直前期に復習しました。この予想のおかげで試験本番に完璧に書けた分野が何か所もあり、本当に感謝しています。(辰已に限らず)司法試験の模試は高いですが、合格するために受ける価値は十分にあると思います。

5 私がやって成功した方法

(1) 基本書の通読

論証の丸暗記だけで慶應ロースクールの既習に受かってしまった弊害として、法律の基本的な理解や体系的な知識の不足がありました。頭の中で知識と知識が結びついていないため、自分の頭で未知の問題に対処することができず、「暗記すべき」事項が膨大に膨れ上がる異常事態が生じていました。当然ながら短答の点数はとれず、論文も時間内に書ききることはできませんでした。そこで、体系的な知識を得るために、全教科、入門書又は基本書を通読しました。これにより、短答式試験の成績は飛躍的にアップしましたし、論文も時間内に出題趣旨からずれない答案を書くことができるようになりました。

(2) タイマーの利用、録音機の利用

試験本番まで時間がなかったため、空き時間は全て活用しました。具体的にはタイマーを設定し、時計を見る時間を節約しました。また、30分で自分がどれだけ勉強できるかを把握し、1日の勉強計画に生かしていました。さらに、苦手な分野の基本書や授業を録音し、ご飯を食べているときや休み時間に繰り返し聞いていました。

(3) 模試、期末試験、予備試験の結果に真摯に向き合う

毎回すべての試験までにこなすべきタスクと目標点数を設定し、自分が周囲と比べて劣っている部分を割り出し、敗因を分析していました。当初得意科目であっても、日々苦手科目の勉強に追われて疎かにしていると、いつの間にか、他の受験生に負けてしまう科目になっている恐れがあります。このリスクを軽減するためにも、毎回の試験において各科目、自分が受験生の中でどの位置にいるのかを把握することは重要だと思います。

(4) 情報収集を怠らない

既に受かった友人や先輩から、どのような勉強方法をとったのか、勉強に使用した教材は何だったのか等の情報を収集することをおすすめします。どんなに勉強量を増やしたとしても間違った勉強法を採用しては、合格からどんどん遠ざかってしまうと思います。私の場合、ロースクールで行われる実務的であったり、細かすぎる授業内容を当初すべて完璧にまとめたり、覚えようとしたせいで、司法試験に出題されるAランクレベルの知識が不正確になってしまいました。学部時代に予備に受かっていた友人らはロースクールの細かい授業を一切受けていなくても高い順位で合格していたことから、彼らが使用していた教材を真似し、下手に勉強する対象を広げないように意識しました。

(5) 苦手な科目ほど友人と起案する

苦手な科目は、起案を怠りがちになるので、強制的に友人と起案する時間を設けていました。特に時間内に起案するのが難しい行政法に関しては、直前期も友人と一斉起案を行っていました。また、あてはめの難しい経済法は友人と交換添削をすることで、新しい視点に気づけました。

(6) 短答の過去問のやり方を工夫する(自分に合うやり方を見つける)

私は、毎日短時間短答の過去問を解く時間を設け、コツコツ継続するやり方が性に合いませんでした。なぜなら、短答の過去問は膨大にあるため、一度間違えた問題を再度復習する頃には、過去に間違えた問題を忘却しているため、学習効率が悪いと思ったからです。そこで私は、ロースクールの最後の期末試験が終わるまでは論文の対策のみを行い、某予備校模試の1箇月前から初めて短答の過去問を解きました。その際に気を付けた点は①ひたすら短答の過去問をやることで、短期間に何度も間違えた箇所を復習すること②1度間違えた問題と2度間違えた問題、3度以上間違えた問題の肢にそれぞれ赤、青、緑等別々の印をつけ、一見してその肢は何度間違えた問題かわかるようにしたことです。①により、短期間のうちに何度も間違えた問題に触れることができるので学習効率が上がりました。②のおかげで、時間がない時(空き時間が10分しかない時)は3度以上間違えた肢のみ復習し、時間に余裕があるときは1度しか間違えていない肢を見る、という風に、自分の短答に割ける時間に合わせて過去問全体を復習する機会を何度も確保できました。

6 私が使用した本

〈憲法〉基本憲法、芦部憲法【主に統治を短答用に】
〈行政法〉基本行政法、
〈民法〉民法(全)、民法の基礎1総則、民法の基礎2物権、内田民法(債権総論、担保物権)、潮見「基本講義債権各論Ⅱ不法行為法」、「基本講義債権各論Ⅰ契約法・事務管理・不当利得」、窪田充見「家族法―民法を学ぶ」
〈会社法〉「会社法」(高橋美加―いわゆる紅白本)、会社法判例40!
〈民訴〉判例百選、基礎からわかる民事訴訟法、コンパクト版基礎からわかる民事訴訟法
〈刑法〉基本刑法総論、基本刑法各論、刑法Ⅰ総論NBS、刑法Ⅱ各論NBS
〈刑訴〉古江本、川出刑訴
〈経済法〉商事法務の独占禁止法、白石先生の独禁法講義、辰已の「1冊だけで経済法」、ローライブラリーに掲載されている司法試験過去問の解答・解説
〈重版〉直近4年は潰しました。
〈短答過去問〉辰已の短答過去問パーフェクト(上述したように、1度間違えた肢、2度間違えた肢、3度以上間違えた肢でマークする色を変え、割ける時間によって復習する肢を変えていました)
〈論文の過去問〉辰已のLive解説講義本(刑訴と刑法と商法を使用しました。刑訴のLive本の解説を読むことで、捜査、伝聞法則等について具体的なイメージができ、あてはめの力が伸びた。上位答案がコンパクトにまとまっているので、参考にしやすかったです。)、憲法ガール、行政法ガール

7 アドバイス

(1) LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)

予備試験を受験し、自分の現在地を把握することをおすすめします。また、入門書、基本書の知識が頭に正確に入っているか確認し、できれば1度でいいから通読してほしいです。司法試験の過去問をざっとでいいので検討し、問題のレベル感を知ってほしいです。(この程度の重要事項、Aランク知識を押さえればよいのか、という相場観を知ることが大事だと思います。)

(2) 来年初めて受験する方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)

予備試験や模擬試験や定期テストの結果に真摯に向き合い、今の自分に何が足りないのかを毎回分析してください。試験には、ハプニングはつきものだと思います。たとえ1つの教科で失敗したとしても他の教科で余裕で挽回できるように、全ての教科で合格点を確実に取れる穴のない勉強をしてください。また、試験まで非常に精神状態がきつい日が続くと思います。できれば仲の良い友人と苦手科目ほど交換添削や一斉起案の時間を設け、お互いに高め合ってください。予備校を利用すると金銭的に苦しいと思います。しかし、1度目で合格した方が、たとえ予備校に課金しすぎたとしても、何年も浪人するよりは安上がりなはずです。なので、確実に1回で受かるつもりで、予備校や情報収集に対する課金は惜しまない方が良いと思います。

辰已法律研究所 受講歴

【2022年対策】
・短答完璧講座
・司法試験全国公開模試

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