諦めず強い気持ちで
1 司法試験の受験を決意した経緯 合格までの道のり
医者か弁護士か、という親の発言を受け、血は苦手なので弁護士かなと漠然と思っていました。司法試験受験に対するサポートが手厚い中央大学への入学を契機に、先輩方の成功体験を聞くようになり、私も絶対に弁護士になろうと決意をしました。
学部1年の5月に司法試験受験団体に所属し勉強を始め、法科大学院に進学し、3年生として在学受験をし、合格に至りました。
2 法科大学院受験前の学習状況
学部1、2年生の時は、中央大学の炎の塔と家の往復の中に大学の授業が入っているような生活でした。
能動的に勉強したのは炎の塔内で定期的に試験がある短答のみで、主に辰已のパーフェクトを何周もして、間違えたところに付箋を貼って活用していました。この時に基礎的な事項を反復したことが予備試験、司法試験の直前に短答で焦ったり不安に思ったりしなかったことにつながったと思います。
論文については司法試験受験団体のゼミや、長期休みに開講される炎の塔内のゼミで基本的な知識を学びました。また、司法試験受験団体の一つ上の先輩に定期的に添削をしてもらったり、炎の塔内の講座を受講したりして書くようにしていました。大学1年の冬ごろから、同期と自主ゼミを組んで問題集や予備試験の過去問を解いたりもしました。私は自分から論文を書いて、一人で答え合わせをしたり見直しをしたりすることができなかったので、このように他人と一緒に約束をすることで締め切りを決め、機会を積極的につくるようにしていました。
学部3、4年生の時は、コロナウイルスの影響で大学に行くことが難しい状況でした。オンラインで大学の授業を受けながら法科大学院の入試に備える生活をしていました。
一つ上の先輩や炎の塔内のゼミを通じた添削、他の会の同期との自主ゼミもオンラインにて継続することができ、生活のリズムができていました。
4年生になると、同期とオンラインで自主ゼミを組み、6月ごろから慶応、中央、東大の法科大学院の過去問を定期的に解いていました。当時の入試は出題分野が偏っていたからか、ここで勉強した分野が試験本番で出て安心した覚えがあります。文字の癖や文章の癖を遠慮なく指摘し合い、どんな論文が読みやすいのかを考える良い機会になりました。法科大学院は、中央、慶応を受験し、両校の合格が分かったので早稲田にも申し込みはしましたが受験はせず、東大への対策に切り替えました。
3 法科大学院入学後の学習状況
家と学校(自習室、教室)の往復の生活でした。
授業はTwitterや先輩方からの評判から、学説に寄りすぎて試験対策にはならないと聞いてはいましたが、私は良い成績をとることは就活のために必須だと思い、積極的に発言をするために予習に力を入れました。結果的に授業で取り扱った論点が多く令和5年の司法試験で出題され、法科大学院の授業に感謝をしています。授業を通じてその法律の根底にある考え方や方向性を知ることができたのは、答案構成の方向に迷わないために必要だったと思います。
1年目の夏から冬までクラスメイトと自主ゼミを組み、週に1回、司法試験の過去問を解きました。春から2年目の夏・司法試験直前までは同期と自主ゼミを組み、同じように司法試験の過去問を解きました。
また、私は春に受けたTKC模試で全科目について低い評価を得て、不合格が濃厚という判定を受けました。このままではまずいと思い、オンラインで個別指導をしている方にコンタクトを取り、4月から7月まで個別指導をお願いしました。ここで指導をされたことは、今まで聞いたことがある事項ばかりでした。ただ、自分の答案のどこが修正すべきなのかは自分一人では気づくことができていませんでした。特に、法科大学院の定期試験では、読みづらい論文であっても授業内で先生が触れていた事項に触れれば理解していることを伝えられるためか成績は悪くなかったため、学校と模試のギャップを埋めることが一人では困難でした。東大法科大学院では先輩や先生から論文の指導を受ける機会がないため、個別指導はとても良い選択だったと思います。5月に受けた辰巳の模試では成績優秀生になり良い判定を得ることができ、安心して7月の司法試験に臨むことができ、合格することができました。今まで培ってきた知識があったからこそ、直前の個別指導で書き方を指導してもらうだけで論文の評価が変わったのだと思います。
4 辰已講座
予備試験、司法試験共に直前に開かれる全国模試を受験しました。司法試験の模試は、特典も活用して直前期の支えにしました。特典としていただいた短答問題の解説は会場にも持っていき、当日の待ち時間のお供にしました。パーフェクトは重すぎるし、すべてのページを見るには多すぎるので適切な量でした。また、出題予想も目を通し、心の支えになりました。講師陣の応援メッセージも、直前期や当日の注意事項から精神的なアドバイスまで幅広く、心強かったです。
5 趣旨規範、論証パターンの覚え方
私はルーズリーフに趣旨規範ハンドブックのうち、更に頻出なものを書き出し、絶対に書けるように覚える努力をしました。覚え方は、それを読み上げてスマホで録音し、空いた時間に聞き続けることです。読み上げるときに自分の言葉で説明ができないなと思ったところは一時停止して基本書に立ち返って再開するなどしていました。
6 辰已の本
学部1年のころから短答パーフェクトを付箋まみれ、ラインやメモで埋めるほど愛用していました。
論文過去問答案パーフェクトぶんせき本は、H18からR4まで購入しました。自主ゼミで議論をするために使ったり、合格答案、不合格答案の目安を理解するのに最適でした。出題趣旨などをいちいちダウンロードしなくても本としてまとめてあったり、講師の解説がついているのも便利でおすすめです。
趣旨規範ハンドブックは、民事系、刑事系を学部1年のころに購入し、最後までずっと愛用していました。早めに購入し、一元化教材として書き込んでいくことをお勧めします。とても使い勝手がよく、直前期まで知識の整理に有用でした。
論文対策1冊だけでシリーズの選択科目も一元化教材としてよかったです。前半が趣旨規範部分、後半が論文パーフェクトになっていて、文字通り1冊だけで対策ができました。
7 アドバイス
LS在学生の方へ
LSの授業は司法試験に直結しないという主張はよく聞くと思いますし、一部学説の深いところに入り込むこともある上、とくに東大では受験指導はしていないと公言されているので嘘ではありません。しかし先生方が授業で取り上げる論点は重要なものが多く、司法試験の題材になったり、関連するようなものである可能性が高いのも事実だと思います。予習復習を授業で当てられて困らない程度に行うことは、私は司法試験合格への近道だと思っています。過去問等との両立は時間的に難しい部分もありますが、永遠に勉強し続けられるわけではない、学生でいられるのはあと少し、と強い気持ちで自分に厳しく挑まれることをおすすめします。
来年初めて受験する方へ
試験当日、短答の最後の時間まで合格のチャンスはあります。諦めたくなるタイミングは、何度か訪れると思います。周りの友人が司法試験の受験をやめ、一般企業に就職した時、模試で芳しくない順位をとった時、風邪をひいて心細くなった時、寝る前に自分の人生について考えて不安になるとき。それでも、今まで司法試験に向けて私たちが費やした時間は決して変わらず、そして司法試験が魅力的な資格試験であることも変わりません。努力は本当に裏切らないと思います。諦めたくなるタイミングに支えてくれる存在の一つは辰已です。講義を新しくとる相談をして今後の学習を見直したり、趣旨規範ハンドブックの内容に目を通して、自分はここまでやってきたのだからと安心したり、模試の添削のアドバイスに耳を傾けたりすることができます。最後まで強い気持ちで、ここまでの努力で合格をつかみ取りに行ってください。