福田クラス受講で合格へ
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
私が司法試験の受験を意識したのは、高校生の時です。高校2年生になるときに、文理選択があり、理数系科目より文系科目が好きだった私は、文系に進学することを決めました。そして、将来は何か資格を取りたいと考えていたので、文系の代表資格ともいえる「司法試験」を目指すことにしました。
2 法科大学院受験前の学習状況
他の司法試験予備校で基礎知識や論文の書き方を学ぶ講座を通信で受講していました。基礎知識のインプットを行う講義では、ついていくのに精いっぱいで、法律の勉強を非常に難しく感じたのを覚えています。通信で受講していたため、さぼりがちで、講義を聞き切るだけで時間的に限界でした。
大学では、民法ゼミに所属し、債権法を中心として最新判例の検討を行っていました。また、ゼミの同期の多くがロースクール進学を目指しており、既に予備試験に合格している人も数名いたため、4年生の時には、答案を作成し互いに疑問点や修正点を指摘しあうというゼミを組んでいました。このときは、ロースクール入試の過去問を使用していました。
3 法科大学院入学後の学習状況
ロースクール入学後は、完全にロースクールの授業中心の生活になりました。私の性格的に、学校の授業を適当に力を抜いて、自分の勉強に時間を割く、ということが難しく、授業の課題や予習・復習で手一杯でした。個人的には、基本書を読むよりも教授の話を耳で聞いたことの方が記憶に残るタイプだったので、自分に合った勉強方法だったと思います。
司法試験対策としては、ロースクール2年の5月末から、クラスメイトと4人で司法試験の過去問の答案を作成するゼミを組みました。このゼミは、長期休暇中も含め、試験直前まで続きました。このゼミのおかげで、私はロースクールを卒業するまでに司法試験の過去問を少なくとも3回ずつは起案したと思います。
4 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果
私は1回目受験の時は、直前の模試以外一切予備校を利用していませんでした。ですが、敗因分析の結果、自分に足りないのは知識や勉強量ではなく、点を取るためのテクニックや相場観、得点に対する意識であると考えたので、2回目受験に当たっては、答練を受講することにしました。
(1) 辰已の答練を選んだ理由
私が辰已の答練を受講することに決めた理由は2つです。まず1つ目は、受講者数が多いことです。受講者数が多い方が受験者のデータとして信頼できるし、適切に受験生としての相場観を養えると思いました。2つ目は、添削表が細かいことです。この表をつかって、自己採点をしたり、他の受講者の答案を見たりすることで、得点を意識した答案作成ができるようになると考えました。
(2) 福田クラスを選んだ理由
私は、辰已の答練の中でも、福田クラスを受講しました。福田クラスを選んだ理由は、福田俊彦先生は、敗因分析の結果自分に足りないと考えた部分、すなわち得点を取るためのテクニックや、相場観を持つことなどを重点的に指導してくれる先生だと考えたからです。福田クラスは一般の答練に比べ割高ではありますが、2回目受験までの間、とにかく福田先生についていってみよう、と心に決めて、福田クラスに入りました。
(3) 福田クラスの受け方
私は、答練は毎回教室で受けていました。2時間の時間をどのように使うのかを意識した答練は、本番に1点でも多くの得点を取るためにいろいろな方法を練習する良い機会でした。また、一緒に答練を受けている人がたくさんいたため、本番に近い緊張感も毎週感じていました。答練を受ける際には、「今日は配点が高い設問から解いていく」「あえて構成の仕方をいつもと変えてみる」など、さまざまな答案作成方法を意識的に試しました。そうしていくうちに、自分に適した答案作成方法や、得点率の高い答案作成方法がわかってきました。
答練を受けたら、すぐに添削表が配られるので、それにしたがって自己採点をしました。この時点で、どの部分に点数が乗っているのかよく確認し、より高い点数を取るためにはどの部分についてしっかり論じることができる必要があるのか考えました。
その後、福田クラスをライブで受講しました。私はいつも一番前の席に座っていました。これは、1日答練を受けて疲れていても、先生の目の前であれば集中力を維持することができることと、疑問点を休み時間にすぐに質問をしにいけることが理由です。
ライブ講義では、休み時間や講義後に福田先生が質問を受け付けてくれるので、かなりの頻度で質問に行っていました。その日の答練についてだけでなく、一週間の勉強を通して疑問に思ったことでも回答してくださるので、積極的に利用させていただきました。また、年末頃のエレベーターで、「いつもの質問の感じからして、勉強の方向性は間違っていない」「このまま進んで大丈夫」と声をかけてくださったことは、私の中ではとても励みになりましたし、自分の勉強の方向性は間違っていないと自信を持つことができました。
講義を受け終わったら、翌日には復習をしました。先生の作成した参考答案を中心に、一元化教材を加工したり、暗記すべき定義を確認したりしていました。また、講義の中で重点的に復習するように言われた部分については意識的に時間をかけ、できなくてもいいと言われた部分については意識的に復習しないようにしました。このようにすることで、問題を見たときに、何度も復習したことがある論点であればきちんと書けなければならないし、あまり見たことのない論点であれば書けなくても差はつかないと判断して、軽く論じるにとどめるなどの判断が、自然とできるようになりました。
(4) 模試の受け方
私は、3月の模試も受講しました。本試験は仙台受験だったため、特に五反田会場等で受ける必要はなかったのですが、やはり本試験会場で受験生たちと試験を受ける緊張感は味わっておくべきだと思い、会場で受験しました。
私は、あくまで5月に照準を合わせた勉強をするため、模試のためにスケジュールを調整することはしませんでした。ですが、模試の会場では、本試験に持っていく荷物と同じものだけを持っていったり、昼食も本試験と同じものを摂ったり、休み時間に見ることができる資料の量を確認したりするなどして、本試験に必要な情報を得ました。
また、模試のためにスケジュールを調整しなくても、今まで福田クラスで勉強してきたことを続けてきた結果、A判定をとることができたので、ひとつ安心材料になりました。
5 受験対策として、私がやって成功した方法
私が2回目受験に当たって意識したのは、とにかく基礎を固めることです。福田クラスを通して、司法試験は、「より難しいことを論じられた人が合格する試験」ではなく、「受験生の誰もが書ける部分で書き負けない人が結果として合格できる試験」である、と認識することができました。そのため、使っていた問題集のレベルは基礎的なものに下げる、難解な学説論議には立ち入らない、辰已の趣旨・規範ハンドブックに載っている中にも重要度に差があることを意識しながら読むなどしたことは、今年合格できた理由の1つだと思います。
また、爆発的に得点を取れる科目を作るのではなく、すべての科目で良好な水準の箱に投げ入れてもらえるラインを目指し、悪くても一応の水準の箱にとどまれるように勉強したのもよかったと思います。
結果として、主要7科目のうちAが5個、Bが1個、Cが1個という成績で、福田先生の指導についていったことは間違っていなかったと思っています。
6 受験対策として、私が利用した書籍(辰已)
公法系…合格思考憲法(論文の型の確認に使用)、合格思考行政法(定義集として使用)
民事系…Newえんしゅう本民法(3周くらいしました。自分で添削表を考えながら検討しました)、趣旨・規範ハンドブック(一元化教材として使用)
刑事系…Newえんしゅう本刑法(2周くらいしました)、Live本刑法、刑訴法(過去問の検討をする際の必携本だと思います)
選択法…1冊だけで労働法(一元化教材として使用)
7 これから受験する人へのアドバイス
(1) LS在学生へのアドバイス
LS在学生は、過去問の検討を積極的にした方が良いと思います。ゼミを組んで強制力をつけるのもよいと思います。私は、たまたま廊下で話していただけで接点はほとんどなかった4人でゼミを組みましたが、今ではとても大切な仲間です。わからないことや不安なことを気軽に話せる仲間がいるだけで、受験生活の精神衛生はだいぶ保たれると思います。
あとは、授業をおろそかにしない方が良いと思います。耳学問は意外と重要です。
(2) リベンジする人へのアドバイス
敗因分析をきちんとすることが絶対に必要です。その結果として、私と同じような敗因なのであれば、福田クラスを受講することを心からおすすめします。また、リベンジするに際して、一緒に頑張れる友達がいることは大切だと思います。私は今年は自主ゼミは組んでいませんでしたが、一緒に頑張ってくれた友達がいたからこそ、折れずにここまでこれたと思っています。
8 おわりに
この浪人の1年は、身の置き場がなく、誰も何も言いませんがなんとなく肩身が狭く、将来が見えない不安にも苛まれ、本当に苦しかったです。ですが、あまり自分を追い込みすぎずに、正しい方向で必要な努力を重ねれば必ず合格できます。
この体験記を読んで、来年度の司法試験に挑戦されるみなさんのこれからの約半年が、人生を変える準備期間となることを祈っています。心から応援しています。
辰已法律研究所 受講歴
【2018年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス
・司法試験全国公開模試