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司法試験を戦略的に突破するための一案

金井 勝俊さん
受験歴: 新試験1回
創価大学法学部
創価大学法科大学院 【既修】2017年入学・2019年修了
【受講歴】2019年司法試験全国公開模試
既修者一発合格

1 司法試験受験を決意した経緯

 大学は法学部に入学したものの司法試験を受験することは考えていませんでした。なんとなく、つぶしが利きそうという理由で入学しました。しかし、法学部に入学したからにはなにか資格を取ろうと決意。大学内で開催されていた行政書士試験の資格講座を大学1年生の時に受講しました。行政書士試験の勉強を通して法律の勉強に少しずつ興味を持ち始めました。行政書士試験には、約6か月の勉強で、大学1年時に合格。法律の勉強に興味と自信を持ち始めていたため、せっかくなら司法試験を目指してみようというのがきっかけでした。司法試験や法曹を目指す理由は司法試験の勉強に挑戦していく中で少しずつ見えてきました。

2 法科大学院受験前の学習状況

 大学1年生の頃は、先述したように行政書士試験対策の勉強をしておりました。この勉強で、憲法、行政法、民法、会社法の大枠(択一知識)をつかむことができました。大学2年生のころから、大学内の司法試験(法科大学院入試対策)に向けた講座を受講し始めました。週に2回講義を聴き続けるものでしたが、なんとか継続することができました。講座を聞いた後は、教材(予備校本)を軽く読み返し、択一問題を解いていました。大学3年生の9月頃から、上記講座において旧司法試験過去問を週末の午前中に解いて、午後に開設ゼミをするというものが始まりました。週末に解く問題は、事前に範囲が示されたものから2問ほど指定される形でした。そのため、範囲に含まれる旧司法試験の過去問を検討する勉強を大学3年生の9月~大学4年生の4月ころまでやっていました。予備校教材を使用し、参考答案を検討しながら、足りない知識を基本書や予備校本等で補いつつ勉強するという方法でした。この時に、論文知識を少しずつつけていくことができました。大学3年の終わりから法科大学院入試直前まで、法科大学院の過去問を解いて、検討するゼミを行っていました。また、大学3年生~4年生にかけて辰已のえんしゅう本を使用し、えんしゅう本の問題を答案構成し、論文基本問題を解く流れや基礎知識の定着、整理を図っていました。なお、当時は適性試験があったためこちらに相当時間を割かれてしまいまいした(適性試験はかなり苦手でした)。上記試験対策に加えて、大学の授業(特に演習系の科目)についても予習、復習(特に復習)に力を入れていました。

3 法科大学院入学後の学習状況

 法科大学院には、既修コースで入学しました。大学院2年生の頃は課題に追われていました。課題はなるべく早く終わらせて、時間を確保し、授業や課題の復習を重視し、授業内容の定着を優先させました。また、期末テスト等は貴重な演習の機会ととらえ、当該科目の当該範囲は、司法試験合格レベルにもっていくとの気概で勉強していました。大学院3年次は授業においても答案を書く機会が増えましたが、復習中心の上記スタイルは変わりませんでした。
 自主ゼミは大学院3年生の頃から始めました。刑法事例演習教材を検討するゼミ(手書きの答案を作成)、基礎演習民事訴訟法を検討するゼミ(パソコンで答案を作成)、司法試験の過去問を検討するゼミ(完全解に近い答案をパソコンで作成し検討するものと、時間内に手書きで答案を作成し検討するもの)、授業の予習課題を検討するゼミなどをやっていました。
 司法試験の過去問は、ゼミ以外にも先輩弁護士の方が開催してくださる補講において、答案を書いて、添削を受け、解説ゼミをするというスタイルで検討はしていました。

4 司法試験に対する基本スタンス

ここでは、私が司法試験に対してどのような心構えで臨んでいたかを書きたいと思います。

(1) ホームランより、コツコツヒットを打つ
 得意な科目、論点で一気に高得点(ホームラン)を狙うよりも、どの科目で何を聞かれても一定の水準(ヒット)を狙うということを意識していました。得意な科目等で高得点を取れるに越したことはないですが、それに賭けてしまうと、当該科目が不調だった時に取り返しがつかなくなります。また、得意科目で得点しなければという思いが焦りを生むこともあります。他方、すべての科目について一定のことが書ければ、どこからでも盛り返すことが可能です。さらに、それぞれの科目について一定の水準を目指すことは、多くの場合、一科目で優秀を目指すよりも労力が少なくて済みます。

(2) 法律論以外の部分も大切にする
 司法試験は、法律に関する試験ですから、最低限の法律知識は必要です。しかし、設問を読み解き、採点官に伝わる文章を書くためには、読解力、作文力といった日本語力が必要です。また、中日を含めた5日間という長丁場の試験を戦い抜くためには、集中力や体力が必要です。そして、試験本番に最高のパフォーマンスを発揮するためにはコンデションを整えることも必要です。このように司法試験は法律の試験でありながら、法律以外の力も要求されると私は思っています。これらの部分を軽視することはできません。また、これらの部分を強化することによって、法律知識で負けているライバルに差をつけることができます(もちろん最低限の知識は必要ですが)。このような法律論以外の部分を鍛える機会として、辰已の全国模試は最適でした。練られた問題、本試験と同じ会場、同じ時間帯、周りにいる受験生の空気等々、限りなく本試験に近いからです。したがって、辰已の全国模試を受ける際は、特段の事情がない限り、本試験と同じ会場、かつ、一番受験人数が多い日程で受けることをおすすめします。全国模試で得た経験を通じて、法律論以外で本試験に足りない上記要素の自己分析をすることが大事だと思います。

(3) 適度な息抜きを意識する
 司法試験を目指す人は、一日10時間以上勉強することも珍しくありません。また、勉強期間も、多くの場合数年にわたることが多いです。そして、法科大学院に通っている場合、人間関係がどうしても狭くなりやすいです。これらのことから言えるのは、司法試験を目指すということは、想像以上のストレスがかかっているということです。適度なストレスはプラスになりますが、ストレスも度を超えれば毒です。勉強のパフォーマンスも低下します。そこで、私は、息抜きを強く意識しました。息抜きの時間を確保するからこそ、勉強時間は全力でやる。このようにして、息抜きを勉強のメリハリをつけるという意味でも大事にしていました。具体的には、法科大学院以外の友達と飲みに行く、体を動かす、司法試験に関係ない本を読む、おいしいものを食べに行くなどです(いずれも私の息抜き方法です)。

(4) 合格体験記から学ぶ
 これは、方法論の勉強に人一倍興味がある私だからかもしれませんが、私は合格体験記を読むことが好きです。法科大学院が発行している合格体験記はH23~30年まで、すべてに目を通しました。繰り返し読んでいるうちに誰がどのような方法で勉強していたかを暗記してしまうこともありました。市販の合格体験記も購入して読みました。合格体験記には、方法論を学ぶにとどまらず、①モチベーションがあがる、②受かるというイメージトレーニングができる、③失敗談があればやってはいけないことが明確になるなどのメリットもあります。

5 使用教材

(1) 基本書について
 基本書は、辞書程度に使用することが多かったです。使用しているものは、多くの受験生が使用しているものです。

(2) 辰已書籍
 先述したようにえんしゅう本は、大学時代に使用していました。えんしゅう本の検討を通して、基礎論点の答案の流れを習得することができ、学んだ知識を答案化する基礎を作ることができたと思います。趣旨規範ハンドブックは、大学院入学後、試験日当日まで使用していました。いわゆるまとめノートとして使用していました。大学院の授業の復習やゼミ等で学んだ知識の一元化をコツコツしていました。模試や答練、本試験の直前は知識の確認に使用していました。過去問出題年度の記載があり、☆マークもあることから直前期にメリハリのある勉強をすることが可能になりました。これに、書き込みや付箋をはり、世界に1冊だけの趣旨規範ハンドブックを作りました。

6 短答式試験対策

 過去問を解いていました。短答を解き始めたころは分野別で演習していましたが、最後まで1周することができない、復習が同じ分野続きになり、効率が良くなかった形でした。そこで、私は年度別に過去問を解くことにしました。解説を読んで復習を終わりにしていたスタイルから、一つの肢に出てくる条文にしっかり目を通し、まとめ教材(判例六法。憲法以外)に集約しました。条文を大切にし始めてから、択一の成績は伸びた印象です(特に民法)。過去問を解いて、条文を意識した復習をする、まとめ教材を使用しながら確実な知識を増やしていく(あやふやな知識を入れない)。直前期まで択一の問題に触れるようにするなどの勉強方法でした。解きっぱなしにしないこと、一定量をこなすことが大事かと思います。

7 論文式試験対策

(1) 基礎知識の充実
 司法試験の問題の難易度を前にいろんな知識や、最先端の議論、判例を学習するのを目にしますが、なんといっても基礎知識の「深い」理解が大事だと思います。私が考える論文における基礎知識とは、新司法試験の過去問に出題された論点+趣旨規範ハンドブックの☆が付いているもの(できれば付いていないものも)+条文だと思っています。これらの知識について、自分の言葉で説明できること、長くも短くも論証できること。これが、目指すべき一応の定着度だと考えています。なので、直前期は趣旨規範ハンドブックを使用し、これらの知識について目指すべき一応の定着度に達しているかの確認をしていました。

(2) 過去問、模試、答練を用いた演習と自己分析
 上記知識を使いこなせるようにするのが、演習です。ここでいう演習とは、制限時間内に六法のみを使用し、手書きで答案を作成することです(なお、合格答案のイメージや論点の書き方、習得のために時間無制限で過去問の答案をワード作成することもありました)。演習をすることによって、定着していない知識が明確になり、インプットの効率も上がります。演習前に、まとめノート等を確認し、演習後に採点コメントや点数を確認し、自己分析をします。辰已の全国模試では、全国の受験生と比較できること、詳細なデータがあることで、直前期の自己分析にとても役に立ちました。(1)と(2)を行ったり来たりしながら(すなわち、インプットとアウトプットをしながら)論文の実力を高めていきました。

(3) 採点官が読みやすい答案を作成する
 採点は、採点基準があり、採点表にしたがってされる(はず)ですが、採点官が読みやすい答案・印象が良い答案を作成すれば、採点表にある加点事項に加点される可能性があります。具体的には、条文摘示を強く意識する、一文を短くする等して、読みやすい文章を書く、配点割合、設問の指示、誘導は死守するなどです。

8 最後に

 合格のためには、あくまでも、試験当日に、合格答案を書くことが必要です。逆に試験当日に合格答案さえ書ければよいのです。この合格答案を書くために、自分には何が足りないか、どうすればよいかを先輩や合格者の知恵を拝借しつつ、徹底的に自己分析をしてください。教授や同期からの評価、定期テストや模試、答練の成績は合格答案を書くためのほんの手段にすぎません。どうか、一喜一憂せずに、辛いときは歯を食いしばって、最後に勝ってやるとの気概で頑張ってください。私も皆様に負けじと頑張ります。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・司法試験全国公開模試

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