予備試験合格は選択科目の勉強が重要
1 司法試験の受験を決意した経緯
私が弁護士を目指した動機は、中学生の時に公民の授業で裁判について興味を持ち、民事裁判の傍聴をした際に、法廷に立つ弁護士が論理的に自分の考えを言葉にして他者を説得していく姿に感銘を受け、自分も将来同じ職業に就きたいと思ったからです。
2 予備試験合格までの学習状況(法律学習)
⑴ 1年次
ア.民法
学部での指定テキスト(民法を学ぶための道案内)、内田貴『民法ⅠⅡⅢ』(東京大学出版会)を参照しながらノートにまとめるという勉強をしていました。この勉強法は全くお勧めできません。このような勉強法を取っていたがために1年次の成績は悪かったです。インプット中心の勉強をしていたので、部分的な知識は一定程度ありましたが、答案は全然かけませんでした。そこで、勉強方法を改めました。具体的には、『えんしゅう本』(辰已法律研究所)(今発売されている「New」ではなく、古い方のいわゆる「旧」えんしゅう本です)を何度も繰り返し解きました。規範や趣旨は別途暗記することにし、夜にまとめて暗記していました。百選はもっていましたがほとんど読んでいませんでした。
イ.刑法
テキストとしては、他の予備校関連のものを読んでいました。これをサラッと読んだ後、大塚裕史『基本刑法Ⅰ総論』『基本刑法Ⅱ各論』(日本評論社)を辞書のよう使用していました。旧司法試験の問題(辰已法律研究所『Newえんしゅう本』)や、井田良『刑法事例演習教材 第2版』(有斐閣)を使って演習していました。これも何度も繰り返し解きました。
ウ.憲法
学部の授業レジュメと安西文雄『憲法学読本 第2版』(有斐閣)を参照して勉強していました。演習書としては、玄唯真『合格思考憲法』(辰已法律研究所)を使用し、例のごとく何度も繰り返し解きました。
1年次では以上のような学習をしました。
⑵ 2年次
本格的に3年次で予備試験に合格することを見据え勉強を開始しました。3年次で予備試験に合格するにおいてポイントとなるのは、2年の12月までに民訴、刑訴を予備試験の合格水準まで引き上げておくことです。以下科目ごと、学習内容を詳述します。
ア.民事訴訟法
和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』(商事法務)をベースに勉強を進めていました。演習書としては、山本和彦『law practice 民事訴訟法』を使用していました。例のごとくこれを何回も繰り返し解きました。途中から三木浩一『民事訴訟法 第3版』を使用するようになり、こちらのほうが自分にあっていたので、基本書としてはこちらをメインで扱うようになりました。『民事訴訟法百選』もかなり利用しました。ボロボロになるまで判旨、解説を読み込みました。
イ.刑事訴訟法
宇藤崇『刑事訴訟法 第2版』を基本書として勉強をすすめました。問題演習としては、旧司法試験の問題(辰已法律研究所『Newえんしゅう本』)や、古江頼隆『事例演習刑事訴訟法 第2版』(有斐閣)を使いました。勉強が進んできたら、川出敏弘『判例講座 刑事訴訟法』を用いて勉強をしました。
ウ.会社法
高橋美加『会社法 第2版』を基本書として、学習しました。演習としては、黒沼悦郎『Law practice 商法 第3版』と旧司法試験の問題(辰已法律研究所『Newえんしゅう本』)を扱いました。
⑶ 3年次予備試験最終合格まで
この時期も2年生ではありますが、特に予備試験対策として行ったことを詳述したいと思います。
ア.実務基礎科目
民事実務、刑事実務ともに、短答式試験後から学習をはじめました。開始時期としては、この時期(5月)でよいと思います。この時期から詰めても論文式試験には十分間に合います。しかし、逆にいえば、5月から本番まではほぼ実務基礎科目と行政法しかできません。それ(5月)までに民法、刑法、憲法、民事訴訟法、刑事訴訟法、商法を予備試験合格レベルにしておく必要があります。民事実務では、大島眞一『完全講義 民事裁判実務の基礎 上巻』を読みました。刑事実務は辰已法律研究所『法律実務基礎科目ハンドブック 刑事実務基礎』を読みました。
イ.行政法
2年の1月くらいから本格的に論文の勉強を開始しました。基本書としては、中原茂樹『基本行政法 第3版』を使用していました。演習としては、予備試験の過去問を検討しながら、インプットしました。このような付け焼刃的な勉強でもなんとかなってしまうのが行政法という科目だと思います。
3 予備試験合格後の学習状況(法律学習)
勉強できる期間が短く、就活も重なっていたので、基本的に新しいことはしていませんでした。過去問を5年分くらい起案し、答案構成はすべての年度行いました。百選の読み込みをしたり、分からない論点について詳しく調べたりしました。インプット、アウトプット半々くらいの勉強でした。とにかく新しいことには手を出さず、今までの学習の復習のようなスタンスで全く問題ないと思います(予備試験に合格した実力があるのですから)。
4 受験対策として辰已講座の利用方法とその成果
上記、基本の勉強に加え、辰已講座では、アウトプットの勉強をメインに行いました。
というのも、上記のような独学スタイルでは受験生全体における自身の立ち位置がわからないからです。
〇スタンダード論文答練
〇選択科目集中答練
5 受験対策として私がやって成功した方法
勉強ノートなるものを作成し、毎日その日に行ったことをメモしモチベーションを維持しました。まとめノートは作りませんでした。基本的には論証を自分で作り百選に書いていました。
6 受験対策として私が使用した本
基本書
〇民法
・内田貴『民法』(東京大学出版社) あまり使わなかった。
・潮見佳男『民法全』(有斐閣) 辞書的に使いました。
〇刑法
・大塚裕司『基本刑法ⅠⅡ』(日本評論社) 辞書的に使いました。
・井田良『刑法事例演習教材』(有斐閣) 旧司法試験の問題を繰り返し解いてから、最後の演習としてやりました。何周も解きました。
〇憲法
・安西文雄『憲法学読本 第2版』(有斐閣) あまり使いませんでした。
〇民事訴訟法
・山本和彦『law practice 民事訴訟法』 何度も繰り返し解きました。
・三木浩一『民事訴訟法 第3版』 辞書的に使用しました。
〇刑事訴訟法
・宇藤崇『刑事訴訟法 第2版』 辞書的に使用しました。
・古江頼隆『事例演習刑事訴訟法 第2版』(有斐閣) 解説を読みつつ問題集として使用しました。
・川出敏弘『判例講座 刑事訴訟法』 より詳しい知識を得るため使用しました。
〇行政法
・中原茂樹『基本行政法 第3版』 辞書的に使用しました。
辰已書籍
〇えんしゅう本
演習書として民法、刑法を用いました。これを何度も周回しました。かなり実力が付いたと思います。
〇短答過去問パーフェクト
短答式試験の対策として使用しました。短答式試験の対策としてはこれしか使用していません。これで必要かつ十分かと思います(170~180点安定して得点することができました)。
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
① 学部在学生・予備試験受験生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)
応用的な問題にばかり気を取られずに、基礎的な知識の習得に専念しましょう。これには、基本書の読み込みが重要になります。また、並行して繰り返しのアウトプットも重要です。そこで、日常的な勉強としては、『えんしゅう本』などの演習書を繰り返し解くアウトプットを中心に辞書的に基本書を読み込むようにしましょう。
② 予備試験合格の司法試験受験生へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
なんといっても、選択科目の勉強が重要です。選択科目は司法試験の1科目目の試験であり、これの出来で試験の合否が左右されるといっても過言ではありません。勉強時間を割きましょう。この際には辰已の選択科目集中答練が非常に効果的です。
その他の科目は予備試験合格者であれば過去問をこなしているだけで充分だと思います(予備試験にぎりぎり合格した僕がいえるのですから、余裕をもって合格した方は尚更だと思います)。
辰已法律研究所 受講歴
【2020年対策】
・スタンダード論文答練(第1・2クール)
・司法試験全国公開模試
・選択科目集中答練