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弁理士資格を保有する企業の知財部員であることの優位性を活かしつつ、辰已の答練・模試を活用し、知的財産法で高得点を取ることができました。

Y.Iさん
受験歴: 新試験2回
東京工業大学工学部、東京工業大学大学院理工学研究科修士課程
筑波大学法科大学院 【未修】2016年入学・2019年修了
【受講歴】司法試験全国公開模試 他
選択科目

1 知的財産法を選択した理由

 私は、工学部出身であり、社会人になってから、弁理士資格を取得する過程で、特許法、商標法等の知的財産法を学習しました。弁理士資格取得後、所属する会社の知的財産部に異動しました。そして、自社技術の特許出願・権利化を主たる業務として実務経験を積みながら、夜間の筑波大学法科大学院に入学し、社会人受験生として司法試験を目指すことにしました。
 このような経緯から、選択科目は、法科大学院入学の時点で、既に知的財産法を選択しようと決めていました。

2 知的財産法のメリットとデメリット

(1) メリット
 司法試験の知的財産法は、第1問が特許法、第2問が著作権法から出題されます。弁理士試験において、特許法は短答式試験及び論文式試験の試験科目であり、メイン科目であるため、弁理士資格を取得した者にとって、特許法は既修といえます。また、特許出願・権利化の実務経験を積んでいると、特許法で学習する内容をイメージしやすいです。
 したがって、私のように、弁理士資格を保有し、企業の知的財産部等で特許出願・権利化の実務経験を積んでいる者にとって、選択科目として知的財産法を選択することは、メリットが大きいです。

(2) デメリット
 司法試験の知的財産法は、特許法及び著作権法を学習しなければならず、試験に臨むにあたり、両方ともそれなりの学習量が求められます。
 したがって、特許法及び著作権法を全く学習したことがない方にとって、選択科目として知的財産法を選択することは、デメリットが大きいです。

3 法科大学院での知的財産法学習状況

 1年次は、知的財産法を全く学習しませんでした。
 2年次は、知的財産法を受講しました。レジュメ、高林龍『標準著作権法』及び判例百選を用い、特に学習が進んでいない著作権法を重点的に学習しました。受講後は、他の論文7科目の学習を優先させたため、知的財産法をほとんど学習しませんでした。
 3年次は、知的財産法演習を受講しました。この演習を通じて弱点をあぶり出し、弱点を重点的に復習しました。秋以降、法科大学院のチューターゼミに参加し、演習書及び司法試験の過去問を教材として、論文演習を行いました。法科大学院修了の時点では、過去問の直近5年分を解きましたが、それより古い問題に手を付けられていない状況でした。また、時間を計って過去問の演習を行うトレーニングも不足していました。

4 司法試験初受験とその結果

 令和元年司法試験の知的財産法の得点は47.00であり、点数が伸びませんでした。これは、著作権法で点数を大きく落としてしまったことが原因であると考えています。具体的には、特許法で95分も使ってしまい、著作権法の設問3で時間不足に陥り、点数をあまり得られなかったこと、全体的に条文指摘が不十分であったこと等の問題がありました。

5 令和2年司法試験合格に向けての取組みとその成果

 令和元年司法試験の結果を受け、①時間不足に陥らないこと、②条文を漏れなく指摘できること(特に著作権法)、③判例百選掲載判例の論証を正確に吐き出し、あてはめを的確に行うことが知的財産法で点数を伸ばすのに必要であると考えました。

(1) 辰已講座の利用方法とその成果
 上記①ないし③を能力として身に付けるにあたり、勉強のペースメーカーとして、2020年3月に辰已講座のスタンダード論文答練(以下「スタ論」という。)選択科目を受講し、同月下旬に全国公開模試を受験しました。
 2019年9月末から2020年3月上旬までスタ論第1クール・第2クールを受講しており、時間不足に陥らないようトレーニングしていたおかげで、知的財産法でもその成果が現れ、スタ論選択科目を受講した段階で、既に上記①が能力として身に付いていることを実感しました。
 他方、上記②及び③は、2回しかない答練だけでは対応に限界があるので、他予備校の論証集、判例百選、基本書及び過去問を用いて学習を進めました。もっとも、スタ論は、最近の司法試験の出題傾向を踏まえて作問されているので、上記②及び③が能力として身に付いているか否かを確認する意味でも有意義なものでした。
 なお、余力のある方は、辰已講座の選択科目集中答練を受講するのも良いかもしれません。
 全国公開模試は、特許法が優秀答案に選ばれ、著作権法がまずますの成績だったので、2020年3月に集中的に学習したことによる成果を確認できました。
 令和2年司法試験の知的財産法の得点は60.66であり、令和元年司法試験と比較して、得点を13以上伸ばすことができました。

(2) 私が使用した本
判例百選
高林龍『標準特許法 第6版』(2017年、有斐閣)
高林龍『標準著作権法 第4版』(2019年、有斐閣)
小泉直樹ほか編『知的財産法演習ノート 第4版』(2017年、弘文堂)
 スタ論及び過去問で間違えた問題は、判例百選及び基本書を参照して理解を深め、論証を吐き出せるように努めました。
 なお、知的財産法の得点を60以上にするのに、分厚い基本書である中山信弘『特許法 第4版』(2019年、弘文堂)及び中山信弘『著作権法 第3版』(2020年、有斐閣)を使用する必要はないと思います。

(3) 私がやって成功した知的財産法攻略法
 本試験の直前期に見直すための資料として、他予備校の論証集に、スタ論及び過去問における解答の論証例や、判例百選及び基本書に記載された内容を補充していきました。また、知的財産法は、会社法と同様に、条文操作を的確に行うことが点数を伸ばすために必要です。私の場合、著作権法の条文操作に不安があったので、スタ論及び過去問で問われた条文を指摘できるように、上記論証集に条文を補充していきました。
 知的財産法の設問は、主張-反論-妥当性の形式で問われることが多く、著作権法では、著作権の制限規定(30条以下)の条文及び判例が重要になってくるので、判例百選及び基本書を用い、かかる条文及び判例を重点的に学習しました。
 知的財産法は、過去問で問われた論点が再度出題されることが多いので、過去問対策を重視しました。もっとも、新しい最高裁判決や知財高裁大合議事件は、新たに出題される可能性があるので、判例百選等を用いてケアしました。

6 これから受験する人へのアドバイス

(1) 知的財産法初学者へのアドバイス
 知的財産法は、未修2年次に学習を開始することで問題ないと思います。そして、知的財産法の過去問は、比較的素直な問題が多いので、法科大学院で知的財産法を受講しながら、過去問に触れ、早い段階からアウトプットを意識した学習を進めていくことが望ましいです。

(2) 次回受験する方へのアドバイス
 知的財産法は、ある程度インプットが進んでいるのであれば、短期集中学習でも点数が伸びる科目です。特に過去問対策が重要になってきますので、過去問で問われた条文及び判例は、再度の出題に備えてしっかりと学習しておくことが望ましいです。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・司法試験全国公開模試

【2020年対策】
・スタンダード論文答練(選択科目(全2回))
・司法試験全国公開模試

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