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「過去問を分析し、自分の弱点を把握する」

H.Oさん
受験歴: 新試験7回
北海道大学法学部
2017年予備試験合格
【受講歴】司法試験全国公開模試 他
予備試験ルート合格

1 司法試験の受験を決意した経緯

 高校生の頃、課外活動の一環で裁判傍聴に行きました。その際、刑事裁判で必死に被告人を弁護している弁護士の姿に心を打たれました。この経験がきっかけとなり法学部に進学しました。その後、法学部での学習の中で、様々な弁護士の方の話を聞く機会に恵まれ、自分自身も法曹になり、弱い立場の人を助けられるような人になりたいと思い、司法試験の受験を決意しました。

2 予備試験合格までの学習状況

 私は、一度司法試験の受験資格を失権しています。そのため、ここでは失権後から予備試験合格までの学習状況を記します。失権時の司法試験の成績は、あと一歩で合格という状況でした。そのため、司法試験をどうしてもあきらめきれず、予備試験に合格して再度受験資格の取得を目指すことにしました。

(1) 短答対策
 司法試験と予備試験の違いは短答式試験の科目差です。司法試験では3科目ですが、予備試験では法律科目7科目に加えて、一般教養があります。予備試験では、この一般教養が曲者でなかなか得点できません。そのため、対策が立てづらい一般教養対策はある程度にとどめ、法律科目対策に集中することが合格への近道だと思います。具体的には、過去問を徹底的に解くことが最も重要です。また、短答は条文という観点がとても重要になるため、過去問を解きながら条文の確認を日頃から心がけました。
 一方で、配点は各科目共に30点です。そのため、学習分量の多い民法に時間を割くのは勉強の効率化という観点からはあまりお勧めできません。民法に時間をかけすぎないようにすると良いと思います。
 法律科目の対策を重点的に行うと、本番で一般教養が少々足を引っ張ったとしても、十分合格点を得ることは難しくないと思います。

(2) 論文対策
 論文は、基本を大事にすることを心がけることが必要です。過去問や問題集を解くことはとても大事なことですが、予備試験の場合、司法試験以上に基本的知識を問う問題が出題される傾向にあります。そのため、基本的な論点については、いかなる場合でも使いこなせるように練習しておくことが必要です。そこで、基本的な問題が収録されている問題集を各科目1冊ずつ選んで、自分が解き方を納得できるまで、何度も解くことが必要だと思います。
 試験本番では、とにかく難しいことは考えずに、素直に問題文から問われている基本的な事項を読み取り、それを答案上に表現することで得点につながります。難しいことは求められていないので、冷静に問題と向き合うことが大切です。仮に変な問題が出たとしても、他の人もできないので気にしなくてもいいと思います。

(3) 口述試験
 口述試験は、不合格となることが稀です。だからこそ、受験生には落ちるわけにはいかないという極度のプレッシャーがかかります。これは、言葉では表現しきれないものです(私は2度と受けたくないです。)。ですが、実際に問われる内容は、ごく基本的な内容です。試験官の方もなんとか受験生から答えを引き出そうと助け舟を出してくれます。ですから、それほど心配する必要はないと思います。
 具体的な対策としては、辰已をはじめ各予備校が実施する口述模試を積極的に利用して、場数をこなすことがとても重要です。それにより、自分のしぐさや話し方、答え方等の弱点を客観的に把握できて、本番のシミュレーションになると思います。
 使用する教材としては、民事、刑事共に、辰已の法律実務基礎科目ハンドブック(赤い本と青い本です。)がとても参考になります(私はこれを徹底的に読み込みました。)。素晴らしい内容の書籍だと思います。この2冊の重要部分を理解しておくことの他に、刑法の基本論点と、刑事訴訟法の手続的な条文を確認しておけば、おそらく口述対策は大丈夫だと思います。

3 予備試験合格後の学習状況

 私は、予備試験合格後2回司法試験に不合格となっています。そのため、私のように失敗を繰り返してほしくないという思いから、司法試験合格までの学習について記します。
 私は、予備試験での経験を踏まえ、2018年と2019年の受験の際には、とにかく基礎・基本を大事に学習しようと考えました。論証集は穴が開くほど読み込み、定義等も完璧に詰め込みました。答練も積極的に受講しました。ただ、この方法では、確かに基本的知識については強化することができますが、本番の試験では対応が不十分でした。原因は、過去問の分析が不十分であったためです。
 確かに、過去問について、私はこれまで何度となく解いてはいました。しかし、過去問の問題文や設問、出題趣旨及び採点実感について分析するという視点が欠けていました。過去問が重要だという事は、多くの合格者も言っておられます。けれどもそれは、ただ漫然と過去問を解くという事ではありません。過去問を通して、出題者が受験生に対してどのような力を問うているのかを、しっかりと見極め、自分なりに理解して、それを本番で生かすという事こそ大切なことだと思います。そのためのヒントが、出題趣旨や採点実感で示してくれています。過去問検討をする場合には、1問あたりどれだけ時間をかけてもいいので(私は1問あたり、6~8時間程度かけました。)自分が納得いくまで分析してください。

4 受験対策(辰已講座の利用)

 私は、全国模試2回とオンライン答練を受講しました。
 当初、昨年度は全国模試以外には予備校を利用しない予定でした。しかしながら、新型コロナ感染症の状況から、司法試験自体が延期となる事態となり、受験対策自体も修正が必要になりました。ただし、延期が決まるまでは、当初の予定通りの日程で調整をしていたため、過去問検討についてはすでに終了していました。そこで、過去問検討の結果、科目ごとに自分なりにまとめた問題に対する向き合い方等を実践するために、オンライン答練を受講しました。これは、5月後半から6月にかけて実施されていたので、ペースメーカー的な意味でも重宝しました。素材は、スタ論等で使われているものと同等のクオリティの問題で非常に実践的でした。また、ZOOMを使ってリアルタイムで講師の先生に質問をすることができ、気になるところや他の受験生が疑問に思っている点を知ることができて良かったです。
 次に、2度の全国模試についてです。1度目の全国模試は、従来通り会場受験しましたが、2度目の全国模試はオンラインで受講しました。これについても、ZOOMを用いて質問を直接講師の先生にすることができたので、自分の疑問点に対して適切に回答をくださり、大変有益でした。

5 私がとっていた勉強方法

 私は、何度も司法試験を受験しているため、不合格となる原因は知識面ではないと考えていました。それは、2019年の合格発表直後に辰已専任講師・弁護士の西口竜司先生と面談を行った際にも、はっきりとおっしゃってくださりました。そこで、私は知識に偏った勉強は一切しないと決めました。
 そのうえで、具体的な勉強方針をどうするのかという点です。
 まず、私は、自分がなぜ不合格なのかを再現答案を使って分析しました。その際には、出題趣旨・採点実感と自分の答案を何度となく照らし合わせ、試験委員と自分との間のズレをあぶりだしました。そして、そのズレこそが、得点につながらない弱点だと把握しました。具体的には、問いに正確に答えられていない、問題文中のヒントに気付けていない等の弱点が出てきました。
 次に、その弱点を埋めるために、過去問の問題文及び設問の分析を一言一句まで気を抜かず、徹底的に行いました。問いに正確に答えるためには、問題文や設問を正確に理解することが不可欠だと考えたからです。
 また、同時に再現答案集を用いて、合格者が引用している事実がどの事実なのかを調べ、自分はその事実に気が付いていたのかということも確認していました。これによって、合格に必要な事実とそうでない事実とを見極める練習を問題文から行いました。
 最後に、以上の分析を踏まえて、実際の本番でどう対処すればいいのかを、A4数枚程度にまとめて試験開始前に確認できるようにしておきました。これによって、試験本番までに、現場でどのように向き合えば合格することができるのかという事を自分なりに把握することができたと思います。

6 私が使用した本(辰已の書籍)

① 短答過去問パーフェクト
 過去問対策として非常にまとまって使いやすいと思います。間違ったところやあやふやな知識のところに付箋をつけて何度も解きなおしました。

② 司法試験予備試験法律実務基礎科目ハンドブック1・2
 予備試験の実務基礎科目及び口述試験対策に利用しました。特に、この書籍は口述試験対策として必要なところが網羅されているため、論文合格発表後からの限られた日数の間に利用するには最適なものだと思います。ただ、少々分厚いため、濃淡をつけて学習されることは留意が必要です。

③ 趣旨・規範ハンドブック
 個人的に論証集は、好みの問題があると思います。私は、趣旨・規範ハンドブックと他校の物を併用していました。ただ、趣旨・規範ハンドブックは受験生の多くの方が利用されていますし、他校の物よりも掲載論点が多い印象です。そのため、掲載されている論点について他の受験生と差を付けられないように、何度も目を通し理解できるように心がけました。

7 これから受験する人へのアドバイス

 私にとって司法試験は、失敗の連続でした。失権もしました。予備試験合格後も、2回不合格にもなりました。けれども、あきらめずに努力を続けると、結果は付いてきました。複数回受験の方は粘り勝ちをすればいいのです。これを読まれている方はきっと私よりも優秀な方だと思います。「こんなやつでも合格しているのだから自分は大丈夫だ」と、少しでも前向きな気持ちになっていただければ幸いです。
 また、勉強が辛くなった時には、目を閉じて自分のことを信じて支えてくれている大切な人のことを思い浮かべてください。きっと頑張る活力になると思います。受験は自分一人でするものではありません。自分を応援してくれている周りの人たちあってのものです。その人たちに感謝の気持ちを忘れずに謙虚な姿勢で勉強されると、きっといい結果につながると私は思います。
 最後に、令和2年の司法試験は、延期もありいつ試験が実施されるのかなかなか決まらず精神的にかなり厳しい状況でした。そのような中でも、辰已の講師の先生方は、受験生に寄り添った激励の言葉を何度となくかけてくださりました。受験生としては非常に心強かったです。ありがとうございました。

辰已法律研究所 受講歴

【2018年対策】
・スタンダード論文答練 西口クラス

【2020年対策】
・司法試験全国公開模試
・オンライン答練

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