コンパクトな対策で合格点を
1 私が知的財産法を選択した理由
私が知的財産を選択した理由は、進学した慶應大学法科大学院が知的財産法に強く、また、自分が知的財産法に関心があったためです。
選択科目は他の必須科目に比べて、かけられる時間が少なく、短時間で効率的に合格水準(50点)を取る必要があります。受験生が一定数いる科目でないと、教材等が充実していないことがいえると思います。慶應大学法科大学院は、知的財産法学界をリードする小泉直樹先生がいらっしゃることから、充実した講義を履修することができると考えたこと、また、それに伴って、履修生が多いことから、同じ知的財産法を選択する仲間と過去問検討等、学習していくことができると考えたためです。
また、短期間で合格点取得に至るために、少しでも興味のある科目が良いのではないかと考えました。選択科目で学んだことを後に仕事でも活かせるように、という視点も加えて、選択科目8科目を見てみたところ、私が興味をもち、自身の志望であるインハウスという将来を考えた上で適切なのは、知的財産法であると考えるに至りました。
2 知的財産法のメリットとデメリット
(1) 知的財産法のメリットは、受験生が比較的多く、相談できる仲間が多いことにあると思います。また知的財産法は、第1問として特許法、第2問として著作権法が出題されるところ、両科目とも繰り返し出題される重要論点が固まっており、論文対策が効率的にし易い点があげられると思います。
(2) 知的財産法のデメリットは、第1問で出題される、特許法の手続きが複雑で、イメージがし難い点にあると思います。裏返せば、著作権法は分かりやすく得点効率が高いので、第2問の点数を安定させることで、知的財産法の得点を安定させることができると思います。
3 法科大学院での選択科目学習状況
ロースクールでは2年の前期に知的財産法の講義があったので、夏頃から友人と司法試験の過去問の対策を行いました。2年後期以降は、問題検討の授業が多く、これを1週間のペースメーカーに、授業に合わせて復習をするような形をとっていました。また、ゼミでの過去問検討で分からない部分については、小泉先生に質問する等によって、疑問点を解消していました。
4 受験対策としてとった勉強方法
(1) 小泉直樹「特許法・著作権法」の通読、まとめ教材としての利用
法科大学院の授業の教材として、本書が指定されているのですが、自習するにしても、本書は最良の対策本であると考えます。特許法と著作権法双方が、200頁程度の1冊に、司法試験対策として必要十分な分量が収められています。上記のとおり、特許法は手続きが複雑で、イメージがしづらい部分があるのですが、本書はそういった手続きに関する部分も、非常に簡潔にまとめられているので、疑問点の解消やまとめ教材としても有用だと思います。
私は、本書を知的財産法のまとめ教材として使用し、過去問で出題された論点についての補足や、図解メモ等を書き足して、直前期には、本書を2時間程度で1周読み返すことで、知的財産法全体を復習できるようにしていました。
(2) 過去問の検討
選択科目は、割くことができる時間が限られていることから、短時間で効率的に合格点をとることが求められます。司法試験対策としては言い古されたことですが、知的財産法の対策についても、過去問の対策が、試験対策として有用であり、それで十分であると考えます。
特許法や著作権法は、分野的に日々進歩している法学であるといえます。教科書等を追うと、どこまでも学習範囲が広がっていくことができるものなので、司法試験対策として、学習範囲を絞り、出題傾向を抑えることが必須です。知的財産法の過去問は短文であるのに非常に中身の濃い良問なので、学習初期(法科大学院2年次)は、答案構成時間のみを計り、論述については十分な内容検討のため、時間を計らずに検討しました。直前期については、時間を計って答案を書くことを行っていました。
複数回受験時においては、過去問5年分を、30分×2問の時間制限を設定して、詳細な答案構成(そのまま少し事実を足せば答案になる構成)を行って、採点実感及び優秀答案との比較検討を行いました。
出題趣旨については、相当レベルの高い記述が多く、対策時間に制限のある受験生においてはなかなか現実的には答案に落とし込むには難しい内容が記載されているので、採点実感の「一応の水準」の記載について、自分が検討できたか否か、という点のみを注力して、検討→分析→改善、を行っていました。
(3) 新作問題の検討
選択科目は必須科目と異なり、2問に、3時間・答案用紙8枚で解答するという解答形式です。実際に初見の問題を、1科目1時間30分で、答案用紙4枚に収める、というのは、特殊であり、対策を要します。下記のとおり、辰已のスタ論や全国模試で、新作問題で当該形式に自分が対応できているか、他の受験生と比べて自分の立ち位置はどこにあるのか(毎回の答練はないため)、を確認し、改善することが有用であったと感じています。
5 受験対策としての辰已講座・書籍
(1) 選択科目集中答練
複数回受験であることから、選択科目で現役生より遅れをとってはならないと強く感じていた2019年は、選択科目集中答練を受講しました。本答練は、問題を検討していくことで、司法試験で繰り返し出題されている、重要論点をほとんど網羅することができます。それぞれの問題は、辰已のスタ論や全国模試で本試験出題を予想して過去に出題された新作問題であり、これに過去問検討5年分を追加すれば、選択科目対策としては十二分な量になると思います。また、全てを消化することができれば、上位答案も狙うことができると感じました。
(2) スタ論・全国模試
上記のとおり、選択科目の解答形式になれるためには、実戦形式の演習が必要です。スタ論や全国模試は、その最良の場であり、出題論点が本試験で出題されることが多いです。少ない時間での選択科目対策として、論点の山あてと他の受験生に差をつけられないようにする、というためにも、本講座は非常に有用でした。
(3) ハイローヤー
選択科目は対策に割くことのできる時間が限られています。特に直前期は、論点に濃淡をつけないと、対策が困難だといえます。ハイローヤーは直前期に、選択科目で出題が予想される論点を各科目見開き1ページ程度で、掲載しているので、濃淡をつけた復習に最適であるといえます。また教科書では言葉を濁しているような部分についても、受験的な解答の指針が端的に記載されているので、本番で出たらこう書こう、と自分で整理するのに大変役立ちました。
6 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
知的財産法で大切なのは、特許法の手続きをなるべく具体的にイメージして、整理して把握することと、著作権法で条文と要件を丁寧にインプットし、端的に表現できるよう準備することです。必要な対策としては、教科書1冊の内容を抑えること、過去問5年分の検討、に尽きると思います。
司法試験対策すべてに言えることですが、大切なのは基本から考えることです。知的財産法もその意識をもって、端的に、丁寧な文章を書くことを心掛ければ、合格点をとることは難しくありませんし、むしろ得点源になる可能性もあるといえます。
なるべくシンプルに考え、コンパクトな対策で合格点を取るように努めることで、十分な得点を取ることができると思います。応援しています!
辰已法律研究所 受講歴
【2021年対策】
・スタンダード論文答練(第2クール)
・スタンダード短答オープン
・司法試験全国公開模試
【2020年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス(第1・2クール)
・直前フォロー答練 福田クラス
・スタンダード短答オープン
・司法試験全国公開模試
【2019年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス(第1・2クール)
・直前フォロー答練 福田強化クラス
・選択科目集中答練
・スタンダード短答オープン
・司法試験全国公開模試
【2018年対策】
・スタンダード論文答練(第1・2クール)
・司法試験全国公開模試