司法試験

辰已の最強利用法

林 哲生(仮名)さん
受験歴: 6回
早稲田大学
日本大学法科大学院 【既修】2020年入学・2022年修了
【受講歴】2021年スタンダード論文答練(第1・2クール)
既修者リベンジ合格

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 私は、物心ついたときから、社会貢献がしたいと思っていました。大学の先輩で弁護士の方とお話する機会があり、その先輩が法律を使って社会貢献している姿を見て、弁護士に憧れました。私は司法試験の受験を決意しました。
 合格までの道のりは、大変長くつらいものでした。勉強する内容が難しく、量も膨大、ライバル達はみな優秀。最初に入ったロースクールでは、5回落ちてしまいました。そのロースクールでは、色々な受験情報が飛び交っていました。その中で、辰已のスタ論が評判が良かったので受講しました。スタ論ではそこそこの成績を取っていましたが、結局は落ちて失権してしまいました。
 失権後、司法試験は諦めて一年間仕事をしていました。しかし、弁護士への憧れが捨てきれず、再びロースクールに入りました。そこで辰已の講座、教材を上手く利用して、修了後1回目の試験で合格しました。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

 一年間のブランクを取り戻すために手にとったのが、辰已の趣旨規範ハンドブックです。これは、私が失権するまでメインテキストとして使用していたものです。趣旨規範ハンドブックを本棚から引っ張り出し、読み始めました。昔の自分がマーカーを引いていたおかげで、整理された形で法律知識が頭に入ってきました。
 準備期間が短いながら、ロースクール入試に合格することができました。

3 法科大学院入学後の学習状況

 法科大学院は、ほぼ全ての授業で課題が出ますので、効率的に予習をしなければいけません。私は、既に加工済みであった、趣旨規範ハンドブックを用いて、予習をし、同書籍に書いてない知識が問われている場合のみ、学校から配られたレジュメや基本書を参照していました。趣旨規範ハンドブックは、重要な知識はほぼ網羅されています。ロースクールで重要な知識を扱う場合には、趣旨規範ハンドブックで事足りたと思います。

4 受験対策(講座)

 受験対策として、辰已のスタ論を再び受講しました。スタ論は出題にそれぞれ趣旨・意味があり、良質な問題です。解説レジュメは、読みやすく、分量も適量です。採点基準もかなり細かく設定されているので、どの採点者の方にあたっても、採点に安定感があります。前回の受験の際もスタ論を受講していたので、今回も迷わずスタ論にしました。
 スタ論の前に、趣旨規範ハンドブックで該当科目を予習しておき、受講します。今回は、前回のロー在籍時と違って、コロナの影響から、通学ではなく、通信にしました。最初は、通信で受講することに不安があったのですが、同じロースクールの仲間と、ZOOMを繋ぎながら時間を計って受講しました。そうすると、通信でも通学と何ら遜色なかったです。通信だと辰已に通う時間が節約できるので、勉強時間がその分増えました。これはラッキーでした。個人的には、辰已の校舎が好きですし、気合の入る通学の方が好きなのですが。
 全国公開模試だけは、通学で受けました。試験本番をイメージして、試験本番と同様の生活、同様の予習、同様の食事をして臨みました。合格推定点が取れました。辰已の総合成績で自分が上から何パーセントにいるかが出ますが、本試験での総合成績でも自分が上から何パーセントにいるかが出ます。後者の方が良かったので、辰已の全国公開模試で合格推定点を取れば、本試験でも安定して合格できると思います。

5 受験対策(勉強方法)

 私がやって成功した方法は、趣旨規範ハンドブックの加工です。趣旨規範ハンドブックは、コンパクトに知識がまとまっていて、基本7科目(選択科目を含めると8科目)がたった4冊に収められているのは大変ありがたいのですが、その分何かを書きこむスペースが少ないです。そこで私は、背表紙をコピーショップで裁断してもらい、穴をグリッサーパンチで開け、A5のファイルに科目別に閉じました。公法系は2冊、民事系は3冊、刑事系は2冊に分けました。これで、何か書きこみたいことがあったら、A5のルーズリーフに好きなだけ書き込んで、該当ページに綴じこんでおけるようになり、学習効率が上がりました。
 趣旨規範ハンドブックは、知識がコンパクトにまとまっているとは言っても、今の司法試験は基本的な出題が多いことから、合格に必要以上の知識も載っています(これは、どの書籍でも共通していることです)。そこで私は、基本的に勉強する範囲は、趣旨規範ハンドブックの星マーク(重要知識部分)と、過去問出題部分に絞っていました。それだけでも結構な量があり、司法試験合格に十分な知識量だと思います。

6 受験対策(教材)

 私が使用した教材は、上記でも書いた、趣旨規範ハンドブックです。
 私は、1回目は、まず全部の文字を読もうとしました。何となく重要そうだなと思ったところには、黄色の蛍光ペンで下線を引いていきました(かなり適当に線を引きました)。蛍光ペンはペン先が太いので、ペンを90度右か左に回して持ち、紙との接地面を少なくして下線を引きました。大体全文字の6割くらい下線を引いた感じです。読んでも分からないところは、無理に理解しようとせず、飛ばして早く読み終わることを優先しました。
 2回目は、星マークのあるものと、過去問マークのあるところ、判例百選の記載があるところのみを読み、覚えるべきキーワードに蛍光ペンで、今度は下線ではなく、太くマークしました(文字を全部塗りつぶす)。
 3回目は、太くマークした中でも、覚えるべきフレーズが長く、中々覚えにくいものについては、赤い油性ボールペンで、頭文字数文字のみに下線を引きました。例えば、会社法の事業譲渡の意義を例にとると、「組」織化され「有」機的一体として「機」能する財産を譲渡し、「事」業活動を譲受会社に受け「継」がせ、譲渡会社が法律上当然に「21」条に定める競業菱義務を負うもの、という定義のカギかっこの所の文字のみに下線を引き、覚える際は、ソユキジケ21、ソユキジケ21、…と何度かつぶやいてから、定義を書き起こせるか試していました。それでも思い出せないときは、イメージ記憶を活用しました。私の友人にユキジ君という方がいるのですが、ユキジ君が会社で事業譲渡しているところを想像しながら、イメージと頭文字をリンクさせていました。
 択一の勉強で使用した教材は、辰已の短答過去問パーフェクトです。はっきり言って、短答過去問集は辰已一択です。解説の充実度が他の過去問集とは一線を画しています。その理由は、短答は問題を解くための理由付けを覚える必要があるのですが、辰已の過去問集が一番理由付けが載っているからです。
 法務省のHPから年度別の問題文をダウンロードして、時間を計って本番と同じように解きます。採点は、辰已の過去問パーフェクトの最後の方に、年度別索引がありますので、それを参照してつけます(あれメチャクチャ便利!)。ちなみに、採点後、時間内に読み切れなかった肢は、改めて読んで、解いておきます。解説ページの中で、その問題を解くために必要な理由付けを探し、そこに黄色の蛍光ペンでマークしておきます。問題文には、間違った肢のところに×、何となく正解してしまった肢に△、自信をもって正解した肢に〇をつけておき、翌日(翌日という点がポイントです)、×と△のみ解きました。翌日解いて、二度目も間違った問題の理由付け部分には、黄色の蛍光ペンでマークされている箇所の上から、緑の蛍光ペンでマークしておきました。
 1回目解いた際の3科目の合計得点が、その年の択一合格者平均点を超えるようになったら、択一の勉強は終わりです。私は、令和2年から初めて、令和1年、平成30年…と遡って、平成28年で合格者平均点を超えました。念のため、最後に令和3年を解き、こちらも合格者平均点を超えていたので、択一の勉強を止めました。
 受験直前期には、辰已の過去問集の、緑のマーク部分のみ、何度も見返していました。時間に余裕があれば、黄色のマーク部分も見返したかったのですが、その時間はありませんでした。択一六法等は使用しませんでした。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) LS在学生へのアドバイス
 私の最初のロースクール時代は、ロースクールの予習復習に時間を取られ過ぎて殆ど受験勉強ができませんでした。皆さんが在籍しているロースクールも、大体同じようなものかと思います。ロースクール生は、思ったより時間が無く、試験対策をする時間がありません。そこで、いかに効率よく受験勉強をするかがポイントです。私は、上記のように、趣旨規範ハンドブックを確認する箇所、短答パーフェクトの見るべき箇所を絞り込んでいくことによって、短い時間で多くの情報が入るように工夫しました。

(2) 来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス
 気持ちで負けないでください。気持ちで負けると、日々の学習でだらけてしまい、受験が長期化するおそれがあります。気持ちで負けるとは、「司法試験に落ちるだろう」と心が自然と思っている状態をいいます。私は、振り返れば、そういう風に思っているときは、全て試験に落ちました。最後の年だけは、なぜか、「今年は受かるかもしれない」と真逆に感じていました。
 気持ちで負けないようにするには、一科目または一分野で、合格レベルのものを作ることです。一科目でも合格レベルのものができたら、これをあと七科目繰り返すだけなのですから、今後の学習方針のイメージが具体的に湧いてくるはずです。
 ご自身が合格レベルにいるかを確かめる方法は、辰已のスタ論や、総択で、全国の受験生の中での立ち位置を常に把握することです。辰已の講座での順位は、全国的な順位が出るので、かなり信憑性が高いです。大体、辰已の講座で、偏差値が50を平均して超えている科目は、合格レベルに到達していると考えて差し支えありません。

8 最後に

 私はロースクールは変えましたが、辰已は変えませんでした。皆さんも、辰已を上手く利用して、合格を勝ち取ってください。

辰已法律研究所 受講歴

【2021年対策】
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