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経済法の効率的な学習法について

K.Tさん
受験歴: 1回
岡山大学法学部
岡山大学法科大学院 【既修】令和2年入学・令和4年修了
【受講歴】全国公開模試 他
選択科目

1 経済法を選択した理由

 私の通っていた法科大学院では、例年経済法選択者が多く、先輩から情報やアドバイスを得たり、同期の受験生たちと議論することが容易だったからです。司法試験には少なからず情報戦の側面もあると思います。また、議論できる受験生が身近にいないと、疑問点を解決できず、誤った学習を続けてしまうおそれもあります。選択科目を何にするか悩んでいる方は、情報の得易さや議論できる受験生が身近にいるか、ということもひとつの考慮要素にするとよいと思います。

2 経済法選択のメリットとデメリット

 経済法は、よく「選択科目の中ではコスパがよい」と表現されます。たしかに、覚えるべき定義や論証は比較的少なく、また、複数の論点において論証が共通することも多いように思います。この点は経済法を選択するメリットであると思います。
 しかし、経済法の勝負は定義や論証では決まりません。すなわち、競争制限のプロセスを正確に理解し、自分の言葉で表現できるか否かが評価の分かれ目となります。そして、競争制限のプロセスを理解するには、ある程度の時間と学習量を要します。また、競争制限のプロセスを理解していたとしても、それを最大限採点者に伝える表現力がなければ、得点に繋がりません。この表現力を養うにも、ある程度の時間と学習量を要します。これらの点が経済法を選択するデメリット(注意点と言った方がよいかもしれません)であると思います。

3 法科大学院での選択科目学習状況

 私の通っていた法科大学院では3年次に授業が始まり、授業の予習復習や期末試験対策を中心に学習を進めていきます(ただし、現在は在学中受験との兼ね合いで、2年次から授業があるようです)。そして、一通り基礎的な知識を学習した後に、司法試験の過去問検討を進めていきます。過去問検討の中では、出題趣旨や採点実感の他に、法科大学院の先輩方が残された再現答案や、辰已法律研究所の出版している『論文合格答案再現集』の中の再現答案を参照しながら、経済法答案の型や流れを学んでいきました。

4 受験対策として私がやって成功した選択科目攻略法

 まず、近年の出題趣旨や採点実感においては、使うべき定義や論証を示してくれている場合があります。こうした定義や論証は、いわば採点委員のお墨付き、ということですから、必ず従うようにしましょう。私も必ず従うようにしていました。
 また、選択科目対策は時間との勝負です。そのなかで、3で述べたとおり、再現答案を用いた学習は非常に効果的でした。
 まず、過去問検討の初期においては、答案の型や流れを学ぶことができます。特に直近数年においては、受験生の間で経済法答案の型が確立されているように思います。そして、型に沿った答案も一定の評価を得ている以上、敢えてこれに従わない必要はないと思います。私も、再現答案に触れていく中で事案類型ごとに処理手順を固め、その手順に従った処理をできるように心がけていました。
 また、ある程度答案の型が固まってきてからは、再現答案からあてはめの展開や事実評価の表現を学んでいきました。2で述べたとおり、経済法においては競争制限のプロセスを自分の言葉で表現することが求められます。そのなかで、再現答案(特に優秀答案)には、秀逸なあてはめの展開や表現が豊富に用いられています。私はこうしたテクニックを論点別にストックしていき、起案の中で使いこなせるようにしていました。

5 受験対策として私が使用した本

 基本書としては『独占禁止法[第6版]』(弘文堂)を使用していました。ただし、通読するというわけではなく、辞書のように使用していました。内容としてはかなり詳しいものと思いますが、正確な学習をしていくには、依拠できる基本書が1冊あるとよいと思います。
 判例集として、『経済法判例・審決百選〔第2版〕』(有斐閣)を使用していました。重要判例(特に出題趣旨や採点実感において適示されてる判例)については、複数回読み込みました。
 また、辰已法律研究所の『論文対策1冊だけで経済法[改訂版]』も使用していました。これは、定義集、論証集の他に、令和3年までの司法試験の全過去問について、簡単な論点整理、出題趣旨、採点実感、再現答案をまとめた書籍です。これまで述べてきたとおり、経済法の学習においては、出題趣旨、採点実感、再現答案の分析が重要になってきますが、これらが1冊にまとめられていることにより、一元化教材として直前期の復習や試験会場への携行に最適です。

6 受験対策として辰已講座の利用方法とその成果

 上記のとおり、法科大学院において学習環境が整っていたため、特に予備校の講座を受講することはありませんでした。
 辰已法律研究所の司法試験全国模試は経済法で受験しました。未知の問題を制限時間内に解き、相対評価を得るということは、貴重な経験でした。経済法に限らず、直前期に司法試験と同じ日程で模試を受けることは必須であると思います。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) 選択科目初学者へのアドバイス
 まずは、網羅的に知識を押さえる必要があるでしょう。法科大学院の授業を履修している場合はその予習復習を怠らないようにしましょう。法科大学院の授業が開講されていなかったり不十分である場合や、予備試験受験生の方は、予備校のインプット講座を受講するのもひとつの手だと思います。いずれにせよ、経済法の全体像を把握する必要がありますが、なかには受験対策上そこまで重要でない分野もあります。メリハリを心掛けるとよいと思います。また、この時点で、何かしら一元化教材を用意しておくと、それ以降の学習がスムーズに進むと思います。

(2) 予備試験受験生へのアドバイス
 私が予備試験論文式を受験した年は、選択科目が導入される前でしたから、想像に基づいたアドバイスとなりますが、まずは答案の型と流れを押さえることが大切であると思います。2で述べたとおり、司法試験レベルでは定義や論証を貼り付けるだけでは十分な評価を得られませんが、予備試験レベルでは、対策が不十分な受験生や、そもそも選択科目を捨てている受験生も相当数いるものと思われます。そうすると、答案の型を守り、定義や論証を正確に用いるだけでも、相対的に良い評価を得ることができるのではないでしょうか。また、予備試験受験の段階でこれらを押さえることができていれば、その後の司法試験に向けての学習へもスムーズに移行できるのではないでしょうか。

(3) 来年受験する方へのアドバイス
 これまで述べてきたとおり、過去問検討が何よりも大切です。過去問を起案し、出題趣旨、採点実感、再現答案を読み、復習をする、というサイクルで過去問をこなしていけば、いずれ合格にあたって十分な答案を書けるようになると思います。
 まず、説得的な答案を書く力を身につけるためには、過去問を起案する必要があります。この起案の中では、過去の反省を活かせているか、自分の思考を最大限表現できているか、ということを意識しましょう。後者については、先輩や同期の受験生に添削してもらうことで客観視することができると思います。このような環境がなければ答練等を活用してもよいと思います。
 また、これまでの内容と重複しますが、出題趣旨と採点実感には、司法試験委員の求めているものがダイレクトに記載されています。これらは従うだけで評価が伸びると考えて、必ず押さえておくようにしましょう。加えて、再現答案から学ぶことは非常に多いです。答案の書き方に迷っている方に限らず、ある程度の実力がある方でも、再現答案にあらわれているテクニックを貪欲に吸収していきましょう。
 そして、これらを着実にこなし、何かしらに一元化していれば、直前期はその一元化教材を見直すだけでも十分な復習となります。
 以上が私の経済法合格体験記となります。この体験記が、選択科目の選択に悩んでいる方や、経済法選択の方の学習の一助となれば幸いです。頑張ってください!

辰已法律研究所 受講歴

【2022年対策】
・全国公開模試

【2021年対策】
・予備試験 総択

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