倒産法を得点源に
1 倒産法を選択した理由
法学部在籍中に労働法、知的財産法及び倒産法の講義を受講し、それら3科目についてはある程度具体的なイメージを持つことができていました。ロースクールに進んだ後、当初は知的財産法を司法試験の選択科目に選ぼうと考えていましたが、倒産法の講義も受けてみたところ先生の授業がとても分かりやすく感じ、倒産法選択に決めました。
2 倒産法選択のメリットとデメリット
倒産法は、実務でも一大分野として御専門にされる方々が数多くいらっしゃいます。これに応じて理論的な研究も豊かになされています。したがって、勉強をするうえで参考書が足りないというようなことは全くありませんし、司法試験合格後を見据えてもとても勉強し甲斐のある科目です。
ただ一方で、民法や民事訴訟法と同種の難解さがあり、暗記量も多く、選択科目中では学習の負担は大きい部類に入るように思います。
3 法科大学院での選択科目学習状況
私が所属した大阪大学法科大学院は、倒産法のプログラムが充実していました。既修の2年間で、理論面の基礎と応用の2講義、演習の1講義の合計3つの講義を受講しました。高名な実務家の先生方によるオムニバス形式の講義も用意されており、まさに理論と実務の架橋というイメージでした。基本的には、法科大学院の授業の予復習、期末試験対策に注力して倒産法の学習を進めました。
4 受験対策として私がやって成功した選択科目攻略法
私が選択した倒産法は、民法、商法及び民事訴訟法と民事法全てとかかわりがあり、さらに破産法と民事再生法とで細かい異同があるなど、全体像がつかみづらい傾向にあります。そこで司法試験対策としては、はじめに薄めの基本書で全体を概観し、そのあとは答練や司法試験過去問で枝葉知識のインプットをしつつ同時にアウトプットの練習をする、という流れが良いと思います。分厚く難しい基本書や演習テキストは必須ではないと、司法試験後の今は感じています。
5 受験対策として私が使用した本
辰已書籍としては、選択科目の「1冊だけで」シリーズのひとつ、「1冊だけで倒産法」を活用させていただきました。趣旨規範ハンドブックに当たる部分と、司法試験過去問収録部分とで構成されています。趣旨規範ハンドブック部分は記載にもう少し整理の余地があるかとは思いますが、答練や過去問演習の度に追加した書き込みを見直し、本番試験当日の最終確認に利用するには十分でした。また、巻末には司法試験過去問の優秀答案も収録されており、自主ゼミがやや組みづらい選択科目の学習においては重宝しました。
その他の書籍としては、山本和彦先生の「倒産処理法入門」や松下淳一先生の「民事再生法入門」を全体像の概観のために活用しました。どちらも薄めで読みやすく、かつうまくまとめられており、司法試験対策上とても良い本だと思います。また、答練や過去問演習の際に手元に置く本として、判例百選はいつも利用していました。問題で登場した判例を復習するために用い、得た知識を「1冊だけで」に書き込むというような使い方をしました。「1冊だけで」は百選掲載判例については全てカバーしてあり、書き込みの際に足掛かりがあって便利でした。
6 受験対策として辰已講座の利用方法とその成果
倒産法については、選択科目集中答練でお世話になりました。倒産法に限った話ではないと思いますが、選択科目は司法試験を模した練習用の問題の流通量が少なく、どうしても問題演習は司法試験過去問に頼らざるを得ない傾向があります。しかし、司法試験過去問のみでは、「もう出た」判例や論点しか練習ができませんし、網羅性の点でも不安が残ります。そこで、辰已の答練を受講させていただきました。受講して臨んだ2度目の司法試験での私の倒産法の素点は、受講することなく臨んだ1度目から20点近く上がりました。
選択科目集中答練は、実に8年分(第1問と第2問合計で16問)という物量で、その不安をカバーしてくれます。「まだ出ていないがこれから出てもおかしくない」判例や論点を上手く拾い、かつ本番試験に近い雰囲気の作問となっています。解説も丁寧に作りこまれており、復習も安心して行えます。正直なところ、選択科目だけのために16問もの答練をこなすことはそれなりに負担が大きく、最初は「受講しないほうがよかったかな」と思ったこともありました。しかし司法試験本番の試験中、過去問未出、集中答練既出の論点に出会った時、「受講してよかった」と心から思いました。その論点は、過去問では一度も出たことがないのに集中答練では3度も出題されており、そのおかげで本番までに自分で書けるようになった、思い出の論点でした。
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
辰已法律研究所 受講歴
・スタンダード論文答練 西口クラス(第1・2クール)
・選択科目集中答練
・全国公開模試