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過去問中心主義のすすめ(労働法編)

N.Kさん
受験歴: 1回
中央大学法学部
東京大学法科大学院 【既修】2020年入学・2022年修了
2021年予備試験合格
【受講歴】予備試験論文公開模試 他
選択科目

1 労働法を選択した理由

 ①選択者の多さ②実務で使う頻度が比較的高い科目③自身が興味を持てる科目、という3点を考慮した結果、私に合う選択科目は労働法だと思い、労働法を選択しました。
 また、元々興味のあった選択科目である労働法・倒産法・知的財産法の3法について入門書を読んだところ、労働法が一番取り組みやすく感じたことも理由の一つです。

2 労働法選択のメリットとデメリット

 メリットは、難解な内容が少ない点と基本書・演習書の数が他の選択科目に比して多い点です。私は、前述の通り、労働法以外の選択科目である倒産法・知的財産法についても一定程度学習しましたが、これらの科目に比して、労働法は論点理解が難しい分野が明らかに少なく感じました。また、労働法選択者が多いためか基本書や演習書の数が豊富です。そのため、労働法は、独学がしやすい科目であると感じました。
 デメリットは、暗記量が多い点です。労働法は、他の選択科目に比して内容量が多く、覚えるべき規範が多いです。そのため、暗記が苦手な方や選択科目の勉強に時間を割けない方には向かない科目かもしれません。

3 法科大学院での学習状況

 2年生~3年生になるタイミング(法科大学院で労働法の授業を履修する前)で、入門書を1冊読んだ後、他の予備校の基礎講座を受講しました。そして、一通り労働法の概観を掴んだ上で、3年前期に授業を受けました。授業を受けた後は、司法試験の過去問を解きました。その際、出題趣旨・採点実感・過去問の解説本を利用し、自主ゼミで答案の書き方・疑問点等を話し合って、互いの答案を添削しあいました。
 予備試験論文式試験合格後~予備試験口述式試験の間は、いったん司法試験過去問を解くことは休止しました。そして、口述式試験が終わった後、再開しました。直近7年分は起案し、その他の年度は答案構成に留めました。結果的に、司法試験本番までに全年度最低2周し、直近5年分は3周しました。
 また、年明け~司法試験本番(5月)までの間で、司法試験過去問で出題のない分野を『事例演習労働法』という演習書を使って、演習しました。この本は、評判が高いうえ、解答例もついており、独学でも使いやすい非常に有益な本だと思います。

4 効果的な勉強法

 私は、論証集をまとめ本代わりに使用し、授業や過去問等で学んだ知識をその本に一元化していました。労働法は、判例知識が重要であることから、判例の中で重要性の高い部分を抜粋して記載するといったことをしていました。こうすることで、試験直前や移動時間に見直しができるようにしていました。

5 使用した書籍

①ケースブック労働法
 法科大学院の指定教科書であったため、この本を判例集として使用していました。授業でなされた説明を転記することで、この本を見れば判例のいっていることを掴めるようにしていました。

②プラクティス労働法
 法科大学院の指定教科書であったため、この本を基本書として使用していました。司法試験対策の上で必要なことが網羅的に記載されており、かつ、分かりやすい文体で書かれているため、使いやすい基本書でした。

③事例演習労働法
 司法試験の過去問で出題されていない分野を学習するために、独学用で使用しました。前述の通り、評判が高いうえ、解答例もついており、自主ゼミで用いても独学で用いても使いやすい演習書であると思います。

6 おすすめの講座利用法

 私が講座を利用する場合、基礎講座・答練・模試を利用するかと思います。
 まず、基礎講座で労働法の概観を掴みます。それが完了したら、司法試験の過去問に取り掛かります。選択科目の勉強は、他の7法の勉強を一通り終えた上で取り組む人が多いところ、そうした人は試験本番までに選択科目の勉強に時間を多くは割けないでしょう。そのため、司法試験の過去問に早く着手し、過去問に時間を割けなかったという恐れが生じることを防いだ方が良いかと思います。また、労働法は、選択科目以外の7法の過去問に比して、難易度が低いです。そのため、いきなり過去問に取り掛かってもある程度は解くことができます。
 そして、過去問を一通り演習し終えたら、答練や模試を利用し、自分の実力確認や弱点把握を行うことをオススメします。実戦形式で演習することで本番への予行演習になると共に、本番までに強化しておくべき点も明確にすることができます。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) 選択科目初学者へのアドバイス
 基礎講座や入門書などを使ってできる限り早く概観をつかみましょう。そうすることでスムーズに過去問演習へと移ることができます。また、選択科目をどれにするか迷っている方は、色々な入門書を読んだり、選択科目に関する予備校の情報を参考にすると良いかもしれません。

(2) 予備試験受験生へのアドバイス
 司法試験の過去問を解くのが有用なのではないかと思います。司法試験の過去問は何十年分もあるので、これを解いておけば一定程度網羅的に論点をさらえる点、司法試験の選択科目は他科目よりも比較的難易度が低いため取り組みやすい点及び予備試験に合格した場合、選択科目に割く時間を節約でき、他の科目の勉強に時間を費やすことができる点といったメリットがあります。一方で、これといったデメリットはありません。そのため、予備試験受験生も選択科目に関しては、司法試験の過去問を解くことが非常に有益なのではないかと思います。

(3) 来年受験する方へのアドバイス
 司法試験の過去問に取り組むことは必須でしょう。また、可能であれば、網羅的な演習書1冊及び模試に取り組めるとより良いかと思います。その際、できるだけ本番に近い状況で演習することで、本番への予行練習を兼ねることができるのではないかと思います。
 また、労働法は、規範の暗記量が多い一方で、適切に覚えて答案上書くことができれば、それだけで一定程度点数がとれます。そのため、論証集やまとめ本を用意して、隙間時間に暗記できるようにしておくと良いかと思います。

辰已法律研究所 受講歴

【2021年対策】
・予備試験論文公開模試

【2018〜2021年対策】
・予備試験 総択

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