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アウトプットとインプット、短答と論文、記憶と理解、勉強と健康、全てのバランスをうまく取るよう勉強することが合格への一番の近道

伊藤 翼(仮名)さん
受験歴: 新試験1回
慶應義塾大学法学部
慶應義塾大学法科大学院 【既修】2019年入学・2021修了
一発合格

1 司法試験を受験した決意

 私は、もともと英語に自信があったのですが、大学に入り英語だけでなく複数の言語を話せる友人らに会い、英語だけではもうやっていけない、もう一つ何か技能が欲しいと考え、司法試験受験を決意しました。

2 法科大学院入学前・後の学習状況

 最初は他の予備校の講座を受け、答案の内容、答案の流れがなぜそうなっているのか理解しつつ、午後に5-6問写経、次の日の朝に写経したものを六法のみで思い出してできるだけ再現する、という方法を2か月程度続けるという勉強方法でした。この状態で法科大学院入試を受け、私立は全て合格しました。
 法科大学院入学後は、2年時は成績が就活にとても大事だと聞いていたので、成績を上げようと授業の復習に力を入れていました。自分で勉強していた時とは違い、ただ答案に書くつもりの自説だけでなく有力説についてもある程度見ておかないといけない教科があったこと、写経によって論証の記憶はしていたものの法律知識の理解が追い付いていなかったからか、かなり苦戦しました。3年時は、改正法の市販問題集が少ないのもあり、民事系は知らなかった判例等を中心に授業の復習をしました。

3 受験対策

(1) 論文対策(過去問)
 受験対策として一番にやっていたことは、過去問の検討と知識等の一元化です。
 過去問については2年生の秋から刑事訴訟法を平成18年まで、3年生の春には行政法を平成23年まで、秋からその他過去問を検討しました。過去問対策については早ければ早いほどいいですが、ただ解くだけでは無意味だと思います。司法試験でしっかり点数を落とさないためには出題趣旨や採点実感を読み、司法試験委員が求めている答案がどのようなものか考え、再現答案を見て相場観をつかむということが大事ですが、それを自分ひとりでやるのはとても時間のかかる作業です。私含め法科大学院の大多数の生徒は辰已のぶんせき本を利用して効率化を図っていましたし、模範答案例もあってとても分かりやすいです。過去問検討はぶんせき本でまとめて行うことが効率が良いと思います。
 ただ、本を読むだけではもちろん足りず、それを使用したうえで自分の答案が司法試験委員の求める答案に達しているのか分析し、修正し、意識せずとも採点委員がチェックするポイントを抑えられているレベルまでもっていきました。また、形式面等について再現答案を参照してわかりやすい答案があれば、なぜわかりやすく感じるか考え、自分の答案に反映させる(どの条文のどの文言の問題か、何について検討しているのか具体的に書く等)というプロセスを繰り返し、例え字が汚くて読みにくくても、内容面で読みやすい答案を目指しました。読みにくい答案はそれだけで悪い印象ですが、それ以上に答案の流れが把握しにくく、読みにくい答案であるとできている部分でさえ評価されにくくなると考えたからです。

(2) 論文対策(知識の一元化)
 私は辰已の趣旨規範ハンドブックを知的財産、民事系で主に利用しました。趣旨規範ハンドブックには司法試験に出そうな程度のマイナー判例、知識が掲載されているので、とても重宝しました。基本的に各科目しっかり体系等項目が整理されているので、授業で出てきた知識で論文に使えそうなものをその都度趣旨規範ハンドブックにまとめて書き込んでいきました。司法試験直前期に繰り返し復習することで各科目効率的に一周復習できましたし、休憩時間も最後に見ておきたい部分等を見ることができたので、利用してよかったと思います。

(3) 公法系対策
 まず、憲法についてはとても苦手意識があったので、一番やってはいけない色んな基本書を読むということをしました。最終的に役に立ったなと思うのは、「憲法の地図」「憲法I」と過去問、授業くらいでした。憲法については問題文に「判例に言及しつつ」という言葉があるので、判例の研究に近い勉強に走っていましたが、結果的によくわからず、答案から離れてしまったのもあって、過去問に戻ろうと考えたためです。過去問に戻り、問題文中の事実を最大限拾って具体的に書く、説得的に書くという練習をすることで、判例の勉強もその限りですることができましたし、それからは他の教科に勉強時間を割くくらいには余裕ができました。試験の結果もよかったです。
 行政法については、大学院の期末試験の過去問、「基本行政法」を読んでまとめること、過去問を解くことしかしていません。行政法にも苦手意識がありましたが、「基本行政法」を読むことで行政法の体系的なところがわかり、訴訟の間の関係もわかったので、その後は過去問を用いて誘導に乗る練習や個別条文を読む練習をしました。最近は判例の知識も問われているので、事案の把握と結論を理解することは必要ですが、それ以上には必要ないのではないかと思います。
 両方に共通することとしては、判例を見ることから、問題文中の事実、条文に着目してそれを最大限に使って答案を書くという練習に切り替えてから答案が安定するようになったということです。本番も憲法は具体的な判例名や判旨に言及することはしませんでしたが、結果Aでした。なので、公法系対策を今後する方には、過去問から離れず、問題文の事実をどう使うべきか、最大限使っているか等の点に着目して勉強されることを推奨します。

(4) 短答試験対策
 短答試験対策には、辰已の短答パーフェクトと肢別アプリを使用しました。パーフェクトの1周目は肢毎に正誤とその理由を解説で確認していました。一問大体6分かかっていたので、10問解くのに1時間かかっていましたが、2周目、3周目となっていくうちに早く回せるようになりました。
 パーフェクトは一見分厚くてやる気をそがれる方もいるかもしれませんが、一つ一つ肢を検討するという点では肢一つ一つにしっかりと解説があり、問題を覚えるのではなく解くという点ではとても重宝しました。
 また、その日やった短答分を夜に肢別アプリで該当分野を復習する、ということをやっていましたが、この繰り返しで記憶と問題演習をバランスよくこなせたのだと思います。

4 受験対策(私が落ちなかった理由)

 私は、かなり過去問や答案を書くことよりも理解や基本書に走ってしまい、3年の秋ごろまでかなり迷走し、苦しみました。しかし3年秋ごろから過去問の答案添削を受け、過去問中心の勉強に切り替えた結果、合格したのだと思います。
 振り返ると、やはりゴールが司法試験の答案を書くことである以上、過去問から離れないことが第一の受験対策になりますし、採点実感をみて求められる答案を考えて、現場でその答案が書けるようにひたすら修正を繰り返すことが得点を取るという司法試験で必要な対策です。また、過去問をやれば未知の論点が出てくるので、それにどう対応するか、という関係で法律論の記憶だけでなく、理解も必要と分かります。
 過去問というアウトプットから離れず、インプットはアウトプットに必要な限度で行う、記憶もするが単なる暗記ではなく理解もする、というバランスが、私が落ちなかった理由だと思います。

5 受験対策として使用した本

 憲法は上述の通り、刑法は「基本刑法」

6 これから受験される方へのアドバイス

 司法試験は問題文中に事実が沢山あるので、その検討を無視して論証や理論の部分があっている、正解筋を取っているから大丈夫、と安心しないでほしいなと思います。司法試験は与えられたその事例についての検討を要求されているので、ただ今までやってきた短文事例演習等を思い出してその通りに書くのではなく、その事例特有の検討になっているか、事実を拾って評価し、当てはめを充実させる等してその問題に対する自分の回答を書くことが大事なのかと思います。また、相対評価である以上、正解筋を大幅に外すことは避けたいところですが、外したとしても、どっちにも転びそうな事実がある以上、その事実を使って自分なりに説得的に書けていれば問題はないのだと思います。
 また健康を壊してしまう方をたくさん見てきましたし、自分も毎日2か月机にしがみついて腰痛や重度の肩こり等勉強に支障が出る程度になりました。1日できないと勉強は3日後退するといわれますし、せっかく抱いた夢をかなえるためにも、疲れすぎたときには休む、という選択を必ずしてください。司法試験の勉強は長期間となるので、適度に休憩を取りつつ、毎日何時間か継続的に勉強をするということがとても大事です。

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