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とにかく過去問の復習を大事に

中田 拓也さん
受験歴: 新試験1回
同志社大学法学部
同志社大学法科大学院 【既修】2019年入学・2021修了
一発合格

1 司法試験の受験を決意した経緯

 私は小学5年生の時に、「逆転裁判」というゲームをやったことがきっかけで、弁護士を目指そうと思い、大学の法学部及びロースクールに進学し、司法試験を受験しようと思いました。

2 法科大学院受験前の学習状況

 大学では期末試験の1か月前くらいから勉強をして、比較的良い成績を取っていました。卒業時の累積GPAは3.65です。また、法律を勉強するサークルで、模擬裁判や法律討論会などに参加していました。ただ、司法試験に向けた受験勉強は特にしていませんでした。法科大学院入試のための勉強は大学4年生の2月ごろから始めました。

3 法科大学院入学後の学習状況

 ロースクールでは毎回、予習課題が出るので、それを授業の直前にやって授業に参加し、復習するというサイクルをなるべく維持するように勉強しました。もっとも、私は復習に時間がかかる人間だったので、全科目手が回っていたわけではありませんでした。ただ、きちんと復習した科目については、期末試験で悪い点は取りませんでした。
 しかし、憲法については最初の成績が悪く、先生に答案を酷評されました。それで危機感を抱いた私は、既修2年生になってから授業で扱った事例問題の復習として答案を書いて先生に添削していただくということを複数回行いました。その結果、期末試験の成績が上がり、卒業間際の最後の期末試験では、Aを取れるようになりました。また、他の科目についても、期末試験の過去問の答案は積極的に先生に提出して添削を受けるようにしていました。
 もっとも、私が既修2年生の頃、緊急事態宣言の発令により、学校の自習室が閉鎖されたので、勉強のモチベーションを保つことができず、成績はガタ落ちしました。その後、10月ごろに自習室がようやく開いたので、そこからは毎日学校に行って頑張って勉強しました。

4 受験対策として私がやって成功した方法など

 司法試験の過去問の利用方法については成功したと考えています。私の通っていたロースクールには、先生方やロースクールのOB・OGが答案の添削や解説をしてくださる講座があるので、それを早めに利用していました。そこでかなり危機感を植え付けられた結果、過去問は早めに消化しておこうと意識することができたので、良かったと思います。
 また、過去問の利用については、答案の添削を先生に頼むのに加えて、友人と自主ゼミを組んで、お互いの答案を添削し、改善点を指摘しあうという方法を取りました。そこで出た疑問点をまとめて先生に聞くことで分からない点もわかるようになって良かったと思います。また、お互いの答案を添削するためには、出題趣旨と採点実感をしっかりと読み込まないといけないので、それが深い勉強につながって良かったと思います。
 また、過去問を解く際には、何も見ずに、まずは自分の力だけで初見で問題を解いていました。これは、司法試験が現場思考を問う試験であるから、初見で解かないと意味がないとOBの方に言われたからです。それまで出題趣旨と採点実感を読んでから答案を書いていた私は衝撃を受け、初見で解くようになりました。もちろん、最初は全く的外れな答案を書いてしまうのですが、そのことによって間違えた問題は印象に残りやすくなるので、かえって効率的に勉強できたと思います。
 自主ゼミ等により過去問の添削を受けた後は、過去問の復習をしました。私は、出題趣旨と採点実感を読んだうえで、暗記すべき部分はどこか、どのような判例を知っていることが求められるか、問題の所在をどうやって把握するかといったことを理解するように心がけました。一読して理解できていなかったと感じるところは、基本書や判例百選を使って基本事項から理解するようにしました。暗記すべき部分を覚えていなかった場合には、当該部分をひたすら暗唱し、書いて覚えているかどうか確かめる作業を繰り返すことによって、地道に暗記していきました。実際にどう書くか迷ったときは、再現答案を見て、書き方の参考にしました。
 一通りの復習が終わって、完全な答案を書けるくらいの自信がついたら、復習後すぐに答案を書き直していました。こうすることによって、覚えたことをアウトプットでき、また解答に至るまでの思考過程や論理を自分の頭の中で再現することができるので、強烈に頭に残りました。この時覚えたことは、時間が経ってもあまり忘れることがなかったので、成功だと思います。インプットとアウトプットを同時に行えたのが功を奏したのだと思います。
 また、この方法の良い部分は、最終的に完全な答案の形にするので、後で見返せるノートにもなるということです。答案にはその問題を解くために必要なことがすべて詰まっているので、無駄がない最高のノートでした。私は手書きで答案を書いていたので、自分の字であることによって頭に入りやすくなりました。
 以上のようなことを各科目やっていました。週2~3回ほど自主ゼミを組んでいたので、答案もその程度のペースで書いていました。
 したがって、過去問を徹底的に頭に入るまで復習することが、合格への最大の近道だと思います。この方法は1問につきものすごく時間がかかるのですが、その分パフォーマンスは良いので、おすすめします。
 また、短答については、1周目は全部解き、2周目からは間違えた問題やたまたま正解した問題だけを解くようにしました。2周目以降は、頭に残すために、前日に間違えた問題を解きなおすことから始めていました。こうすることでどんどん知識を覚えていくので、この方法も成功したと思います。

5 受験対策として私が使用した本

 基本書については、各科目の判例百選のほかは、以下の通りです。ほとんどが学校指定の参考書でした。

憲法:『基本憲法Ⅰ』
行政法:『基本行政法』『ケースブック行政法』
民法:『民法の基礎 1総則』『民法の基礎 2物権』『有斐閣ストゥデイア 民法4 債権総論』『基本講義 債権各論Ⅰ・Ⅱ』『リーガルクエスト 民法Ⅵ 親族・相続』
商法:『会社法』(田中亘)
民事訴訟法:『基礎からわかる民事訴訟法』
刑法:『基本刑法Ⅰ・Ⅱ』
刑事訴訟法:『事例演習刑事訴訟法』『リーガルクエスト 刑事訴訟法』

 辰巳法律研究所の書籍については、私は『短答過去問パーフェクト』の憲法・民法・刑法を利用していました。解説が理解できないときは、『法学セミナー』の 解説も参照しました。
 また、論文式試験の対策として、『司法試験論文過去問答案パーフェクトぶんせき本』を利用していました。超上位答案から不合格答案まで、様々なレベルの再現答案が掲載されているので、参考になりました。

6 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

① LS在学生へのアドバイス
 少なくとも必修科目が終わるまでは、とりあえず授業の復習を大切にして下さい。期末試験で良い点を取って、良い成績を取ることを目指しましょう。私のロースクールではそうでしたが、学内の順位が高いほど司法試験の順位も高い人が多かったので、学内の成績はやはり司法試験の順位に関係してくると思います。ちなみに私は修了時に、学年内でちょうど真ん中の順位でしたが、司法試験の成績も半分より少し上くらいでしたので、学内の順位通りの結果が出ているなあと思います。
 また、短答対策は早めに始めましょう。特に既修者の方は時間がないので、入学後すぐに始めても構わないと思います。民法については範囲が広いので、尚更早めにやっておきましょう。予備試験は7科目分の短答をやらないといけませんが、司法試験に必要なのは3科目なので、無理して予備試験対策をしなくても良いと思います。
 夏休みや春休みについては、期末試験の復習を真っ先にやるべきだと思います。私はこれを直前期までほったらかしていて、結局復習が終わらず後悔しました。成績を上げるためには復習するしかないので、大事なことです。また、短答も長期休暇の間にまとめてやっておくとよいと思います。
 論文の過去問については、既修2年生の直前の春休みあたりから始めるとよいと思います。また、選択科目についてもしっかりと過去問をやっておきましょう。
 はっきり言って、過去問以外の問題集や教材は解かなくて良いと思います。なぜなら、新司法試験の過去問だけで膨大な量があるからです。しかも過去問は毎年増えるので尚更です。また、きちんと取り組むと全科目の全年度の過去問を1周するだけで本番までの時間がなくなってしまうので、何周も論文の過去問を解こうという無謀なことはやめた方がいいです。

② 来年初めて受験する方へのアドバイス
 直前期には模試を受けると良いと思います。模試を受けることにより、本番と同じ日程を過ごすことができ、どの程度疲れるのか、どの程度の文章が2時間で書けるのかといったことが理解できるからです。また、模試で自分が全国の受験生のうちどの程度の順位にいるかどうかを知ることができるのも大きいです。全国の受験生と自分を比べる機会は貴重です。何より、模試は本番を予想して作られるので、本番でも同じ論点が出る可能性は十分あります。したがって、ありとあらゆる意味で模試を受けることにメリットがあると思いますので、ぜひ受験することをお勧めします。
 また、本番までに体調を整えて過ごしましょう。それから、試験期間中の食事をどうするかは考えておいた方が良いです。コンビニ弁当が苦手な方は特にです。私は、ホテルの近くに弁当屋さんがあるのを見つけたので、そこで昼ごはんや晩ごはんを調達していました。栄養バランスを極力崩さないようにしましょう。
 それから、初日に失敗したと思っても、落ち込みすぎてはいけません。切り替えて次の日に臨みましょう。実際、私は行政法を失敗したと思ったのですが、成績はAだったので、意外と主観はあてになりません。ですので、試験の感触は忘れて、受験しましょう。
 新型コロナウイルスがまだまだ収束せず大変ですが、頑張って下さい。応援しています。

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