労働法は正確な処理手順と過去問検討で差がでる
1 労働法を選択した理由
私が労働法を選択した理由は3つあります。
1つ目は、将来的に労働事件を扱う仕事をしてみたいということでした。労働事件は、長時間労働問題や不当解雇の問題など、日頃からニュース等でみかけるためイメージしやすいだけでなく、将来的に友人を助けることができると感じたからです。
2つ目は、労働法を選択していると、仕事の幅が広くなり就職の際にも有利になると感じたからです。
3つ目は、選択科目を考えている時期に過去問をそれぞれ見て問題の内容が頭にすっと入ってくる科目が労働法だったからです。
2 労働法のメリットとデメリット
労働法は、憲法の学習で扱った判例がでてきたり日常生活で耳にする言葉があるなど初学者でも勉強を進めやすい科目だと思います。他方、他の選択科目よりも覚えることが多いと思います。労働法の書籍を見て頂ければわかるかと思いますがとにかく量が多いです。他の選択科目は、基本科目の1科目分よりも少ない内容が多いと思いますが、労働法は、公法系科目よりも覚える量が多い気がします。
3 法科大学院での選択科目学習状況
法科大学院では、労働法の授業をとり、同じ労働法選択者と勉強会をしていました。労働法の授業は、基礎のインプット講義とソクラティックメソッドの講義とがありましたので講義をペースメーカーにして学習していました。勉強会では主に過去問を解いて見せ合うなどをしていました。
4 受験対策として成功した選択科目攻略法
私は複数回受験生であり、初受験の時の選択科目の点数がとても低かったです。その敗因としては、過去問を解いたものの労働法の処理手順を抑えておらず、重要なキーワードも記憶していなかったことが考えられます。そのため、リベンジ合格するためには、過去問の優秀答案を研究して処理手順を学びなおしました。具体的には、現実的な答案よりも完全解に近い答案を勉強して処理手順や当てはめを学び、ある程度書けるようになったら現実的な答案を作成するなどしました。また、重要なキーワードは繰り返し論証を覚えるなどして記憶しました。
5 受験対策として使用した本
(1) リーガルクエスト労働法
薄いテキストとしてリーガルクエストを使用していました。同書は、他の労働法のテキストよりも薄めであるため全体を早く抑えることができるだけでなく、重要判例も長文で引用されており、試験に必要な重要判例を知ることもできました。
(2) 最新重要判例200[労働法]
判例百選に掲載されていない重要判例を抑えることができたこと、筆者1人による解説でしたので読み易かったです。
6 受験対策として辰已講座の利用方法とその成果
(1) 選択科目集中答練
初受験の時の選択科目の点数が低かったこと、法科大学院で過去問を一通りやったことから初見の問題をこなして慣れることが重要と考えて辰已の選択科目集中答練を受講しました。
選択科目集中答練は、全ての問題が辰已オリジナルの問題でしたので、初見問題の数をこなすにはとても良かったです。また、毎週答練があったので短期間選択科目に集中して勉強することができ、選択科目の勉強のペースメーカーにもなりました。
(2) スタ論選択科目
スタ論を受講していたので選択科目のスタ論も解くことができました。スタ論選択科目は、試験に近い時期に行われるため、直前期の確認としてよかったです。また、出題可能性の高い論点が出題されるためヤマ当てにもなりました。
(3) 全国模試
複数回受験生では、自己の現在位置を知ることがとても重要だと思います。そのため、全国模試という司法試験受験生の多くが受験する全国模試で選択科目の自己の位置を知ることができたのはよかったです。
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
(1) 選択科目初学者へのアドバイス
労働法は記憶することが多いです。そのため、選択科目を悩んでいる方で記憶が比較的得意な方には推奨できる科目だと思います。他方、記憶が苦手な方は他の選択科目と比べて苦労するかもしれないです。また、労働法は、勉強量が多いため、他の選択科目よりも負荷が大きい科目かもしれません。他方、他の選択科目で合格された方と話すと、これから労働法を勉強しなければならず労働法にすればよかったという話を聞くこともあり、将来性を考えると労働法は選択肢が広がる科目かもしれません。
労働法は、範囲が広く第1問と第2問で問われる内容が異なります。そのため、早いうちに1周して全体を知ることが必要だと思います。具体的には、薄めのテキストを使い全体を一通り抑えたあと、論証集などで細かい知識を記憶し、過去問にも早めに着手する勉強法が良いかと思います。また、過去問を検討する際には、自己流などの方法をしてしまうと変な癖を正すことに時間がかかってしまうため、予備校の講義や答練を受講することをお勧めします。
(2) 来年受験する方へのアドバイス
過去問を検討する場合には、私のように解いて友人と話すことよりも、解いた後に合格者の答案や完全解に近い答案を読んで処理手順を抑え、個々の論点の論証を抑えるのが良いと思います。
既に過去問を抑えている方は、自分の処理手順や論証に不備がないかを全国模試などで確認することが必要だと思います。
また、選択科目は、試験時間が3時間と時間的には余裕があるものの第1問4枚第2問4枚という答案用紙の制限があるため書きすぎてしまい頭でっかちの答案になってしまうことがあります。そのため、配点に沿ったバランスの良い答案作成を心掛けながら本番まで継続して勉強されることが良いと思います。
リベンジ受験生の方で特に選択科目の点数が低かった方は早いうちに選択科目をやり直してください。選択科目は本番で最初の科目ですので4日間のモチベーションに大きく影響するだけでなく、選択科目の点数が高いと合格に大きく近づくからです。
直前期は、論証をまとめたノートと完全解に近い答案を読んで処理手順をイメージする勉強をしていました。
(3) 選択科目は基本科目と異なり、勉強時間を確保することが難しいと思います。ただ、司法試験合格するには全科目合計で一定の点数を取る必要があり選択科目は他の基本科目と同じ扱いを受けます。そのため、選択科目で他の受験生と差をつけることができれば合格に大きく近づきます。また、労働法を使う仕事は多いようですので合格した後の選択肢も広がります。
辰已法律研究所 受講歴
【令和2年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス(第1・2クール)
・司法試験全国公開模試
【令和元年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス(第1・2クール)
・選択科目集中答練
・スタンダード短答オープン(第2クール)
・総択
・司法試験全国公開模試
【平成30年対策】
・スタンダード論文答練 柏谷クラス(第1・2クール)
・スタンダード短答オープン(第1・2クール)
・総択
・司法試験全国公開模試