田端先生のテキストに過去問や模試の学習成果を集約。
実力をぐっと伸ばして見事合格。

はじめに
新卒で地方公務員として勤務を始めましたが、異動に振り回される未来が怖くなり、漠然と「いつかは独立したいな~」と思い始めました。「独立したい」という気持ちと、業務の中で登記に関わる仕事をしていることを知人に話したところ、司法書士という資格を教えてもらいました。それがきっかけで勉強を始め、2回目の受験後、出産を経て、育児休業取得中の3回目の受験で合格しました。
私のとった勉強法
不合格だった年は、勉強が最優先でなかったことと、「授業を受けて3回くらい過去問解けば受かるだろう」と甘く考えていたことが悪かったかなと思います。仕事のストレスにかまけて勉強にあまり身が入りませんでした。
2回目の試験である令和5年度の試験終了後、2週間で勉強を少しずつ再開していきました。今までの、「講義を受ければ何とかなるだろう」、という受身の勉強ではいけないと思い、時期を分けて勉強の目標を立てることにしました。具体的には、苦手な部分の洗い出し→苦手な部分の基礎を学びなおす→演習を繰り返し試験に向けた体力をつけるという3ステップで勉強しようと考えました。具体的な内容については下記のとおりです。
苦手分野の洗い出し及び苦手分野の学びなおしにつ いて 出産前
明らかな苦手分野の学習を始めました。具体的には、田端基礎講座の民法のテキストをもう一度精読したり、マイナー科目の講義を受けなおしたりしていました。ただ、一時間勉強するだけでものすごく眠くなってしまっていたので、あまり集中して勉強することはできなかったです。出産が不安で、妊娠出産をテーマにした漫画を読んでいる時間の方が長かったと思います。
産褥期(産後2か月くらいまで)
演習をすることで、主要科目の苦手分野を洗い出すことを目標としていました。
2週間に1回答案を提出する、辰已法律研究所の「記述パワーアップ答練」をペースメーカーに勉強していました。次の授乳までの時間に答練を解き、授乳したり、横になって休んだりしながら解説講義を聞いていました。「今はこれだけやればい」と思うことで、何をしたらいいのか悩んだり、もっと勉強しなくてはいけないのではないかと焦ったりすることはありませんでした。
助産師さん曰く、私はスーパー安産だったみたいですが、それでもこの時期の勉強は体が辛かったです。産後に勉強をする予定の方は、無理はしないで休養を優先してほしいです。
産後2か月以降~3月
一日2時間程度~その日の体調次第で勉強時間を増減していました。
子どもが寝ている時間に勉強をするようになりました。年明けくらいからは夜に寝てくれるようになったため、22 時~24 時の間にまとまって勉強できるようになりました。昼間の時間も併せて勉強することで、パーフェクトユニットテキストの精読やパーフェクトユニット肢別問題集での問題演習、田端の記述式必修問題集60、択一の演習講義の受講をこなすことができました。マイナー科目については、テキストを何回も精読する余裕がなかったので、過去問演習で知識を補おうと考えました。
テキストの精読と過去問演習については、知らないところをしらみつぶしにする意識をもって行っていました。そのような意識をもっていても人間は忘れる生き物ですので、定期的にテキストの精読と過去問演習を繰り返すことができるように、一か月単位で何回テキストの精読、過去問演習を行うか計画を立てていました。一か月単位にした理由は、勉強できない日が続いたとしても軌道修正がしやすかったからです。
苦手科目の克服のためにしたこと
民法
民法は、分量が多くて知識の混同をかなり起こしてしまっていました。そんな状態で問題を解いてもこんがらがる一方だったので、テキスト(田端先生のパーフェクトユニットテキスト、以下同じ)に戻ろうと思い、産前からテキストの精読を始めました。テキストをベースにしたことでかなり力はついたと思います。6月くらいからは模試でも過去問でも正解率が9割を超えることができるようになりました。
不動産登記法
不動産登記法は、苦手意識はなかったのですが、模試の成績はなかなか伸びませんでした。記述で書くことが一番知識の定着につながっていったので、記述の答練でだいぶ知識がついたと思います。模試の点数はなかなか伸びませんでしたが、特に苦も無くテキストの精読を淡々と進めていきました。6月くらいからは過去問でも模試でもあまり間違えることはなくなっていきました。
会社法・商業登記法
年明けくらいに範囲の膨大さ、知識の細かさに絶望し始めたことをよく覚えています。「どうすればいいんだろう・・・」半泣きでネットの情報をあさることにしました。辰已法律研究所の松本先生のYouTubeで、会社法・商業登記法の苦手克服の方法の一つとして紹介されていた択一の講義を受講することにしました。どうやら、この科目は過去問が少ないため、苦手とする受験生が多いようです。各科目35 問と気が滅入りそうになるボリュームの演習でしたが、間違えた問題はテキストに戻り、テキストの精読を進めていったところ、頭の中がだんだん整理されていくのが分かりました。各規定の中につながりも見えてきて、6月頃には模試や過去問で間違えることはほとんどなくなりました。
マイナー科目
テキストや過去問を丸暗記するには無理があると思い、語呂合わせに頼ることにしました。覚えられていない部分は自作の語呂を当てはめて覚えました。テキストだけ読んでも頭に入らなかったので、過去問をとく→解説を読んでもよくわからない→テキストに戻る、という流れで勉強していました。
マイナー科目の中でも勉強をする方法に悩んでいたのは刑法と憲法でした。テキストの条文だけを知っていても正解にたどり着けないな~、と思うことが多かったので、気が向いたときに判例を一気に流し読みしていました。憲法は本試験の前々日に判例をザーッと読んだのが役に立ちました。ただ、憲法の統治分野については、条文が問われるといわれているので、テキストの条文を音読したものを録音し、子どもと散歩するときに聞いていました。試験直前には、田端先生がYouTube に「憲法統治条文早まくり講義」をアップしてくださったので、家事をしながら聞いていました。
演習の繰り返しと復習の作業
直前期になると、子どもの生活のリズムが整ってきて、昼と夜合わせて3時間くらい勉強できる日もありました。試験本番に耐えうる体力をつけるため、5月からは、毎週日曜日に本試験と同じスケジュールで問題演習をしました。予備校の模試については、改正の論点がどのように問われるのか知りたかったため、2回受けました。6月の2週目からは、単年度版の過去問を利用することにしました。新しい問題の復習に時間を取られたくなかったからです。机に向かって勉強できる時間が限られていたため、問題演習の復習は、基本的にスキマ時間に行っていました。
復習のために毎日スキマ時間に行っていたこと(年明けから)
記述連想パターンブックで記述のトレーニング
田端基礎講座を受講した時に特典でもらったレジュメです。「この登記記録(聴取記録)が出てきたら、この論点が問われるかも!」という記述の連想パターンが記載されていて、記述を解くための思考回路を鍛えることができました。記述の演習で自分が間違えたポイントも追記しておいて、6月からは毎朝不動産登記法か商業登記法いずれかのパターンブックを一周していました。
登記申請例の聞き流し
テキスト記載の申請例を録音し、家事をしているときに聞いていました。
肢別問題集や模試で間違えた問題をまとめたノートで苦手な問題の復習
登録免許税、単独申請ができるもの、元本確定事由をまとめた表をトイレで確認
覚えられていない登記申請例を付箋に書いて冷蔵庫に貼り、適宜確認
離乳食を温めているときに確認していました。
模試・答練の復習について
模試、答練の復習については、間違った問題がテキストにあるか確認し、テキストにあれば間違えた日付、間違えた理由を書いた付箋を貼って3日くらい連続で確認する方法をとっていました。
本試験当日について
当日は朝ごはんをしっかり食べて、8時頃には会場にいました。
当初は会場でも勉強しようと思っていました。しかし、前日は緊張と子どもと初めて離れる寂しさで眠れなかったので、コンビニで買った温かいペットボトルを目にあてて寝ていました。正直弱気になっていましたが、今年の試験に向けた自分の頑張りと家族のサポートを思い出して、気力で乗り切りました。眠気と戦うことの方が緊張よりも勝っていたので、結果オーライだったかもしれません。
後進へのアドバイス
司法書士試験の勉強は量をこなすだけでも大変ですが、苦手から目をそらさずに頑張ってほしいです。
最後に
まず、あきらめずに勉強を進めていけば合格は可能です。私は昨年の10 月に出産し、自分に割ける時間が少なくなったことを実感しました。それまでふわふわと勉強していた自分を反省し、「合格するなら今頑張るしかない」と思って勉強に取り組みました。そこで初めて試験の膨大な範囲、勉強内容に対する理解の浅さに気づき始め、自分には合格することは無理なのではないかと思う時もありました。でも、そこでやっと自分の勉強すべきものが見え始めたので、そうした壁に当たった時が伸びる時期だったのかなと思います。
また、今勉強を思ったように頑張れていないという方もいると思います。頑張れる時期は気持ちや環境、人によって違うものだと思います。私の場合は産後が頑張り時だと思いましたが、家事を含め、子どものお世話以外のことをする時間を犠牲にする覚悟が必要でしたし、試験が終わるまでは時間の使い方にずっと悩んでいました。どんな立場の方であっても勉強を続けるのは大変なことだと思います。悩むことに時間をかけず、先生などにどんどん相談していってください。そして周囲の方は、頑張っている受験生にぜひ協力していただければと思います。






