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フルタイムで働きながら
総合13位で一発合格!

Y . Tさん
受験歴: 1回
令和 5年度合格者
2023年度

はじめに

 私が司法書士試験の勉強を始めたきっかけはごく単純なものでした。社会人になり、ある程度落ち着いた段階で「何か勉強がしたい」と思ったことです。大学院への進学、簿記や USCPA などを取得する。様々な選択肢がある中で、社会人としての自身の付加価値を高めることができるものを考えた時に、どうせなら難関と呼ばれる国家資格にトライしようと思いました。大した下調べをせずに、難関国家資格である司法書士試験を選びました。非法学部出身であり、宅建や行政書士の資格も保有していないのにも関わらず、いきなり司法書士試験を受験するという大胆な決断ができたのは、この試験についてあまり知らなかったからだったと思います。2021 年10 月の末にリアリスティック受講生になり、私の受験生活が幕を開けました。

私の取った勉強法

 私はリアリスティック基礎講座の 20 ヶ月コース(現在のロングスタディコース)2023 年合格目標を受講しました。週に 2 回授業を受ける受講スタイルで、フルタイム兼業受験生の私にとっては1番合っていたと思います。授業1コマを試聴し、出された課題をこなすのに合計 7 時間要します。それを週に2 回行っていたので授業とその課題に当てる時間は週に 14 時間、それ以外の時間は追っかけ復習に費やしていました。週に平均で 30 時間から 40 時間程度勉強できていたかと思います。月の勉強時間は150 時間から 170 時間程度でした。仕事があり、1日 30 分しか勉強できない日もありましたが、必ず週のどこかで帳尻合わせをし、週の勉強時間に波を作らないような工夫を行っていました。

私のとった勉強方法(択一編)

 私の択一式の勉強方法は、テキストが中心でした。直前期までの期間は知識を取りこぼさないように時間をかけて、丁寧にアウトプットしながら、テキストを回していました。直前期に入るまでに全科目の8割は記憶し終えていることを目標としていました。
 また、テキストを 3 回程度回したタイミングで辰已の択一アプリも勉強に取り入れていました。択一アプリを活用した理由は 2 点あります。1つめに「問われる知識の角度の確認」2つめに「反射神経を養う」ことです。テキストに記載されている知識を言葉を変えて問われた場合でも、分かるように練習するためには最適のツールでした。また、問題のフレーズを見た時にすぐに答えを想起できる反射神経を養うことができたと思います。
 勉強用の iPad を持っていたので、アプリを移動中や仕事の休憩時間など隙間時間に活用していました。
 直前期に関しては、とにかくスピードを重視していました。司法書士試験はタイムアタックな試験なので、読むスピードや書くスピードは常に意識した方が良いと思います。直前期は主要4科目に関してはテキストを 15 回、マイナー科目に関しては 10 回程度回していました。過去問も主要4科目は 5 回、マイナー科目は 10 回ほど回しました。直前期にもなると、会社法・商業登記法のテキストは2冊を 9 時間で回せるようになっていました。
 また、通勤時間や支度をしている時間、食事の時間に関しては不動産登記法及び会社法・商業登記法の授業を2倍速で聞いていました。食事をしている時間や通勤時間などの細切れの時間は目を休め、音声学習を行うことで、身体への負担を考慮していました。

(記述編)

 択一は同じテキストをとにかく繰り返し、知識の精度を上げることが目的だと思いますが、記述は野球のバッターと同じで、どんな変化球が飛んできても対応できる力を身につけなければいけません。その為、私は同じ問題を繰り返し解くよりかは、より多くの記述の問題に触れることを戦略として打ち立てました。もちろん、リアリスティックの記述の授業で扱う問題は3周はしました。それ以外にも記述の過去問、答練、市販の問題集、模試などをかき集め、60パターン以上の問題に触れました。
 また記述試験における思考パターンや、問題のパターン、ミスしやすい箇所をエクセルにまとめてストックしていました。そのエクセルのシートは答練や模試の前に 20 分程度かけて見直していました。エクセルでまとめていたのは、アップデートしやすい為です。

模試や答練の活用

 模試は直前期に 3.5 回、答練は全て会場受験をしました。(1 回だけ午後のみ会場受験をしたので、それを 0.5 回とカウントしています)模試に関しては全予備校の模試を合計 8 回分申し込み、どれを受けるかは直前に決めようと思っていました。予備校ごとに模試は傾向があるので、偏りをなくしたかった為です。また、直前期になってみないと「演習不足」なのか「インプット不足」なのかが分からなかったので、リスクヘッジの為にも全て申し込みました。
 答練は辰已の答練を毎週会場受験していました。答練はペースメーカーになるための受講をお勧めします。
 模試や答練はフィジカル的にもきつく、受験生の勉強時間が相対的に下がる日だと思います。私は人が勉強していないタイミングで戦力を全投下させる戦略だった為、答練や模試の日こそ人より多く勉強しようと思っていました。答練・模試の日は朝 4時に起床し、7 時前には会場近くのカフェなどで苦手な科目のテキストを回していました。毎回模試や答練では A 判定を出そうと思い、全力で挑んでました。そのおかげか、全ての模試と答練で A 判定を出すことができていました。
 また、模試や答練ではありとあらゆるシチュエーションを想定し、本試験でどんなイレギュラーが起きても対応できる力を養うことを意識していました。

受験期の心境の変化

 受験期初期、私は見切り発車した自分自身に苛立っていました。働きながら月 150 時間以上の勉強時間を確保することの難しさ、プライベートでは小さな諦めを繰り返す毎日にうんざりでした。調べれば調べるほど、司法書士試験の難しさを突きつけられる情報が目につき、1 万時間勉強した、合格まで 10年かかった、人生を無駄にした。様々な声に、泣き出したくなるような焦燥感を感じ、その現実から逃げ出したいと何度も思いました。それでも、勉強を続ける事ができたのは、紛れもなく意地とプライドだったと思います。自身の誇りを絶対に失ってはいけないと、がむしゃらに勉強していました。
 受験期中盤、働きながら勉強することが私のライフスタイルとして確立していました。仕事で辛い思いをした日も、プライベートで気が滅入りそうな出来事があった夜も、1 日も欠かさず勉強するようにしていました。もはや、私にとって勉強は仕事の一つでした。義務的にただ淡々とこなすことが出来ていました。それでも、「疲れた」「眠りたい」その感情を押し殺して机に向かうのは、中々に大変でした。眠い日はキンキンに冷えた水を浴びて目を覚ましていました。目を覚ますために、コーヒーを1リットル飲んだ日もあります。この時期は本当に毎日が泥臭かったです。
 受験期終盤、20 ヶ月コースの直前期は 1 月 1 日から始まります。6 ヶ月もある長い長い直前期が2023 年の年明けと共に始まりました。私は 12 月 31日の夜は「禊」として 11 時間家から出ずに勉強をし、年越しは憲法の統治の条文とともに迎えました。
年越し蕎麦もコンビニで買ったものを 1 人で食べました。あえて自分を孤独に追い込み、「ここまでしたんだ、絶対に 6 ヶ月後の試験を射止めてやる」という強い気持ちを持ちました。
 直前期、強烈に意識していたことがあります。それは、「全国の受験生ランキングで自分の立ち位置を意識し、常に上位を狙い続ける」ことです。模試や答練の順位とはまた別です。毎晩、寝る前に今日の勉強内容や時間、効率性を振り返り、自分自身の全国順位を意識するようにしていました。勉強がうまく行った日は上位に食い込めますが、勉強時間が少なかったり、非効率的な勉強を行なった日には順位は急降下。順位が急降下した日の後には、順位を1位でも上にあげようと巻き返しを図っていました。少しでも休めば、100 人くらいに追い越されてしまう。この考え方は時には自分自身を追い詰めるかもしれません。それでも、意識することで毎日を「生き切る」ことができたと思います。
 直前期は毎日フルマラソンを全力ダッシュしている感覚に近かったです。

戦場を徹底的に分析

 試験本番、私は東京受験ではなく地方受験でした。2022 年のお試し受験は東京会場での受験でしたが、机の狭さと人の多さ、トイレの混み具合に驚きました。実力を最大限に発揮する為には環境的要因は無視できないので、地方受験を決めました。2022 年の受験地一覧リストを片手に、さまざまな会場を下調べし、ホテルが試験会場になっている東海地方を戦いの場に決めました。ホテルが試験会場であれば、そのホテルに宿泊し、昼休みは自室に戻る作戦です。私は、試験会場のホテルに事情を説明し、試験会場から1番すぐに戻れる部屋を5泊抑えました。もちろん、最後の追い込みの5日間を過ごす場所なので日当たりや勉強机の広さなども考慮し、部屋を取りました。そして春には会場に下調べをしに行き、会場を見てそこからトイレまでの近さや、トイレの数、自室に戻るときの動線も確認しました。本当は、本試験のリハーサルも行いたかったのですが、ホテルに問い合わせたところ会場の貸切には莫大な費用がかかる為、諦めました。

試験本番

 本試験当日は、すっきりとした朝を迎えることができました。会場入りした 5 日前から睡眠コントロールを行い、毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝るようにしていました。最後の 1 週間は細かいスケジューリングをしていました。前日は、苦手な記述の題材を3本、392 条2項の計算問題、遺留分の計算問題、会社法令和元年の改正部分を確認、申請例の雛形の確認、出題予想論点の冊子の確認、最後に全科目テキストを速読で読み返しました。前日は深夜23 時にはベッドに入り、朝 7 時に起床。朝は午前科目の最後のインプットを行い会場に向かいました。模試や答練の日の朝は必ず自分自身のアドレナリンが出る音楽を聞いていました。本試験当日も、いつも通り音楽を聴きテンションをあげて会場入りすることができました。
 午前の部は 2 時間あり、時間的余裕もあるので 3回見直しをしていつも通り終えることができました。
 午前の部の終了後、すぐに自室に戻りお風呂に入りました。お気に入りの入浴剤を買っていたので入浴剤を入れ、15 分程度疲れを癒していました。そして、昼ごはんを食べながら民事訴訟法のテキストを確認し、最後に蒸気でアイマスクをしながら 20 分程度の仮眠を取りました。午前の部の疲れをリセットできたこの昼休みルーティンは本当に最高の選択でした。午後の部、今年は記述が多かったため、商業登記法記述に入る段階で 50 分しか残されていませんでした。模試や答練でイメージトレーニングをしていたとはいえ、かなり焦っていました。択一の手応えも大してなかったので、試験中「不合格」の 3 文字が頭に浮かんでいました。それでも何とか諦めずに書き切ることができました。試験の終了後は満身創痍。机からしばらくの間立ち上がることができませんでした。

後進へのアドバイス

 この試験はネットの情報にあるような「魔物のように難しい試験」では決してありません。正しい勉強方法、そして正しい戦略を立てれば最短合格することができます。自身を正しく分析し、どの方法がこの試験を倒すための最適解かを導き出せば、あとは走るのみです。多くの方は一人で勉強されていることと思います。全国には皆さんと同じように泥水を啜りながらも、必死に走る戦友がいます。苦しい時に、グッと堪えて前に進む力こそが底力であり、受験生としての強さです。最後まで心を強く持ち、合格まで走り抜けてください。

最後に

 司法書士試験 20 ヶ月を振り返ると人生で1番燃えた期間だったと思います。兼業で受験生をやっていると、仕事で勉強時間が思うように確保できなかったり、様々な外的要因に揺さぶられることが多くあり、もどかしい気持ちに何度もなりました。それでも、私はもう一度受験をするなら兼業フルタイムでの受験を決断すると思います。なぜなら、司法書士資格以上のものを得られた期間だったからです。自己管理能力、忍耐力、なんとか形にする力。これらの経験は今後の自分の人生の軸となるような経験でした。また、司法書士試験を通じて、バックグラウンドの異なる素敵な仲間に出会えたことも人生の財産です。最後に、松本先生をはじめとする辰已法律研究所の皆様に感謝の気持ちを申し上げたいです。通信での受講ではありましたが、とても手厚いサポートをして頂きました。辰已を選んだこと、リアリスティックの受講生になったことは、私がこれまでの人生でした最高の決断でした。私を合格に導いてくださり、本当にありがとうございました。

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