選択科目<経済法>合格体験記
1 予備試験の評価
私は、ロースクール既習一年目に予備試験に合格しました。その際、目標通り経済法はAを取ることができました。
2 選択理由
私が経済法を選択した理由は、先輩方に選択者が多く、お薦めしてくださる方が多かったからです。また、一橋ロースクールでは、経済法選択者が一番多いです。
その理由としては、先生が受験対策に有益な授業をしてくれるので一橋の人は多くが経済法を選択していました。
3 経済法のメリットとデメリット
経済法のメリットとしては、なんといっても覚える量が本当に少ないので、インプットが楽でコストパフォーマンスがかなりいいところです。
また、現実のビジネスに近い問題が多く、ビジネスの用語も結構出てくるため、刺激的に感じられます。判例でも大企業の行為が問題になる事件がほとんどであり、「あの企業も昔こんなことしてたんだな〜」と思うことが多く、シンプルに解いていて楽しいです。
また、私の志望している弁護士像が、企業法務を専門とした弁護士であったので、経済法が企業法務との親和性が高い点も魅力に感じていました。
また、経済法は、刑法と憲法に書き方、思考法等が比較的似ているといわれており、私は刑法と憲法が得意な方だったので、迷わず経済法を選択しました。
経済法のデメリットとしては、事案のイメージがしづらい問題もあったり、他の選択科目と比べて、当てはめ勝負なところや条文選択が肝心になることが多い点です。
つまり、インプットが容易なことの裏返しで、「知っている論点が出た! 勝ち!」みたいなことはほとんどありません。とはいえ、問題文の事実をいかに多く拾い、説得的に評価するかが重要なので、過去問でたくさん演習することで対策できます。
4 勉強方法とスケジュール
私は、大学四年生の10月ごろから経済法の勉強を始めました。
まずは、趣旨規範ハンドブック一冊だけでの経済法を購入しました。
そして、辰已の経済法のインプット講義(選択科目特訓講義)を受講しました。
経済法について、学部時代に独禁法の授業を履修していた程度で、ほとんど知識はない状態で受講しましたが、先生が具体的なイメージが湧くように図をしめしてくださったり、表にまとめてくださったりしていて、とてもわかりやすかったです。
なによりも、先生が論証集をアレンジして、最強の論証を教えてくださったので、とても良かったです。
答案の書き方や一つ一つの論点に関する知識を丁寧に教えてくださる講座で、受講できて本当によかったと思いました。
私はこの講義を暇な時間に流し聞きして、論証を頭に叩き込むようにしていました。隙間時間を活用できるのでおすすめです。
またこの講座では、司法試験の過去問を取り扱ってくださっていて、先生のわかりやすい模範答案もくださるので、勉強がとてもしやすかったです。
そして、一月くらいから論証を確認しながら過去問を実際に解き始めました。
ロースクール入学前に、事前に友達に自主ゼミを組まないか声かけをし、4人のメンバーで過去問を解き、答案を添削しあい、議論し合いました。
自主ゼミをするメリットとしては、予備校や使っている教材によってさまざまな論証のパターンがあるので、それを友達の答案を通して知ることができ、気に入ったものがあれば自分の論証集をアップデートできる点です。
また、お互いに他の予備校で経済法の基礎講座を受けていたりするので、違う視点で答案の指摘をし合えるので、とても有益でした。
私の受講した辰已のスタ論には、選択科目の答練も付属していました。この答練ではさまざまな問題を演習することができ、過去問では未出題な論点(例えば優越的地位の濫用)を書く練習ができてとてもよかったです。
私は、経済の答練等で多くの優秀答案に選ばれ、予備試験本番でもA評価を取ることができました。
これは、早めに経済法の勉強に着手し、過去問および答練で沢山アウトプットを重ねたのが良かったと思います。
これから選択科目を選ばれる方には経済法をおすすめします。
5 反省点
私は経済法でいつも答練や模試でも好成績で、予備試験もAだったことから、司法試験でも一位を取るぞ!という気持ちで勉強していました。
しかし、経済法の点数が、選択者の真ん中くらいの順位で、私にとって最悪の点数でした。
令和5年の問題はとてもむずかしかったのもありますが、司法試験では1日目の初めが選択科目ということもあり、緊張と多少のパニックでうまくかけなかった記憶があります。
いつもいい評価が取れていた科目でも、本番では成果を出せないこともあるので、気を引き締めて、難しい問題が出ても慎重に落ち着いて解けたらよかったと思いました。
6 アドバイス
選択科目選びに迷っている人へ
私は漠然と興味があったのは労働法でしたが、受験戦略として経済法を選んで正解だったと思います。興味のある選択科目を選ぶのももちろんいいですが、私のように受験的にコストパフォーマンスの良い経済法を選ぶことで、予備試験合格ができたと思っています。
また、私のように①自主ゼミを組んで過去問を解くこと②講義を流し聞きしまくる③司法試験過去問を出来るだけつぶすといいと思います。
また、予備試験、司法試験共に答案用紙が四枚しかありません。
経済法は問題文の事実を出来るだけ多く拾い、特殊性に応じて評価を加える必要がありますが、書くことがたくさんあるので、他の科目よりも、読める程度に小さい字で書くことを意識していました。みなさんも意識してみてください!
何年分も過去問を解くことで、繰り返し出題される問題も多いのが経済法なので、過去問検討に十分な時間を割くようにしましょう。
7 不要な勉強法
私は独禁法の基本書や百選を買っていましたが、いずれも不要だったと思います。
まずは百選を潰すといった方法も経済法においては、効率が良くないと思います。
論証集を用いて基本を理解し、過去問を解いて、答練で演習をするだけで十分です。
8 ロースクール生で予備試験受験するひとへ
ロースクールは、授業の予習復習でほんとうに忙しいです。短答の勉強を入学前にコツコツ始めておく必要があります。
論文についてもロースクールの授業やテストの範囲ではカバーできないので、自分で多くの勉強時間を確保する必要があります。
在学中受験もありますが、予備試験に合格することで就活が大幅に有利に働きます。
私は、在学中受験が始まった初めての代でしたが、予備試験を受験し合格できて本当によかったと思っています。