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司法試験を不当に難しくしない

渡部 和人さん
受験歴: 新試験5回
日本大学法学部
日本大学法科大学院 【既修】2016年入学・2018年修了
【受講歴】2019年司法試験全国公開模試 他
既修者リベンジ合格

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 子どもの頃から弁護士という存在は知っていました。漠然とした憧れを抱いたまま、大学受験を迎え、法学部で学ぶことが司法試験につながると知り日本大学法学部に進学しました。当時、新司法試験に関するシンポジュームが盛んに行われており、司法試験が新しくなると知りました。その後、紆余曲折あり日本大学法科大学院に進学し、新司法試験を受験しましたが、3回受験し受験資格を失いました。
 受験資格を失った時のショックは大きく、本当に目の前が真っ暗になったのを覚えています。そして、自分はこれまで何をしてきたのかと後悔とも怒りとも言えない気持ちが募り、もう一度受験資格を得て司法試験に合格しようと決意しました。

2 法科大学院受験前の学習状況

 再びの入学までは予備試験対策として、短答式試験と論文式試験の過去問を解いていました。その際、辰已の短答式過去問パーフェクトとぶんせき本、A答案再現&ぶんせき本は頼りになる書籍でした。特に、ぶんせき本は多くの再現答案が掲載されていて、具体的な合格答案のイメージを持つことができました。

3 法科大学院入学後の学習状況

 入学後は、法科大学院の授業を中心に学習を進めました。予習と復習とでは復習を重点的に行い定期試験に備えました。同期には働きながら通学する優秀な方が多く、学内で成績を残すことが大変でした。しかし、そのような環境の中で試験対策をできたことが合格への土台になったと思います。

4 リベンジ合格

(1) 受験対策としての辰已講座の利用方法とその効果
 平成30年度の司法試験に向けて、スタンダード論文答練(以下、「スタ論」という)と全国公開模試(以下、「全国模試」という)を受講しました。スタ論は法科大学院の後期授業スケジュールとの兼ね合いで皆勤とはいきませんでした。今思えば、在学中は勉強時間に占める答案を書く時間が少なかったと思います。スタ論は、せっかくの書ける機会だったので休まずに書けばよかったと思っています。この書く機会の少なさが平成30年度の司法試験に落ちた原因の1つだと思います。そのため、在学中の皆さんは学校のことで大変だと思いますが、ぜひスタ論皆勤に挑戦してもらいたいと思います。きっと、それが一発合格につながると思います。
 全国模試は、各社で実施される模試の中でもダントツに受験者が多く、模試時点での自分の位置がわかるため受講しました。この年は判定が良かったので本試験に向かうにあたり良いお守りになりました。
 令和元年度の司法試験に向けて、スタ論福田クラス(以下、「福田クラス」という)を受講しました。きっかけは、平成30年度司法試験に合格された先輩に『受験生の相場感を修得することができる』と薦めていただいたことでした。とはいえ、福田クラスの受講料は私にとって安くはないものでした。そこで、辰已You Tubeチャンネルで公開されている福田俊彦先生の講義を聞きまくりました。個人的には、どんなに多くの人が素晴らしい授業だと言っていても、相性があると思います。そのため、申し込み前に福田クラスを予習しました。You Tubeでは福田クラスで行う内容を具体的に知ることができました。また、福田先生が受験生に対して『あなた』と語りかけていることが印象に残りました。受講後、成績が思うように伸びず気落ちしている時に、その語りかけが沁みました。
 福田クラスでは、年内に「上級者」を目指します。「上級者」とは、択一で合格者平均点を取れ、論文で上位3000番以内に入る「実質的意味の論文受験生」をいいます。そのための努力の方向性は講義内で具体的に福田先生が示してくれるので、受験生は突っ走るのみです。そして、講義では、E・Fを取らないために2時間の試験時間の中でどのように振舞うべきかを繰り返し示してくれます。私は、器用な方ではないのですが、10月から4月まで繰り返し訓練することで体得できたと思います。おかげで、令和元年度の司法試験でも最低限やってはいけない振舞いを避けることができたと思います。
 また、福田クラスでは、過去問の検討も行いました。受験生では読み解けない出題趣旨や採点実感の意味を学ぶことができ、自習で過去問を解く際にも大変役立ちました。
 私は、初めて福田クラスを受講したため「直前フォロー答練」や「最後の絶対にすべらない講義」の存在を知りませんでした。そのため、当初の予算外でしたが福田クラスで実力が付いてきたことを感じていたので受講することにしました。直前フォロー答練は、その名のとおり直前期の実施されるため、本番ギリギリまで書く感覚(時間感覚、書くスピード、腕の筋肉、振舞い方など)を忘れずに本試験に入れたと思います。また、最後の絶対にすべらない講義は、超直前期に東京本校で実施されました。通学部では、講義の後、オフレコで福田先生が受験生の質問や悩みに答えてくれました。超直前期であることから、籠って勉強している受験生や不安を抱えている受験生も多くいらっしゃると思います。外出の機会として、また、不安解消の機会として通学部での受講をおすすめします。もしかすると、超直前期に大切なことに気が付ける機会になるかもしれません。

(2) 受験対策としての私が使用した本
・基本書
 恥ずかしながら、平成30年度の司法試験で行政法の成績が悪かったので、中原茂樹先生の基本行政法に基本書を変えました。基本書を変えることは怖さが伴うものだと思います。しかし、一読して違和感がなければ(個人的には、本との相性もあると思います。)一歩踏み出すことをおすすめします。基本行政法は、司法試験における行政法を読み解くために大変役に立つと思います。ただ、手を広げることは合格に逆行する行為だと思うので慎重に判断して下さい。選択科目は国際私法でした。国際私法は書き方に特徴がありますが、書籍としては多くを使用する必要はないと思います。私は、松岡博先生の国際関係私法入門と百選を使用しました。近年、百選からの出題傾向が強いと感じられるので特に百選を用いた学習は必須だと思います。

・論文対策
 論文対策としては、過去問を中心に行いました。その際、辰已のぶんせき本を使いました。ぶんせき本は一冊に解説も含め全てが過不足なく入っているため過去問検討には必須の本だと思います。また、過去問以外の問題演習ではロープラクティスの民法と商法を使いました。理由は、網羅性があり、司法試験で問われる基本が多く含まれていると薦められたからです。ただ、過去問検討をしっかりやろうと思うと可処分時間との兼ね合いでロープラクティスのすべてを同じ密度でやることが難しかったのでメリハリをつけて使用しました。

・択一対策
 択一対策としては、辰已の短答式過去問パーフェクトと肢別本を使用しました。パーフェクトは、正答率のほかに肢別解答率が示されていることが最大の特徴だと思います。その肢別解答率にある上位30%の合格者が70%から80%正解している問題を繰り返し理由が答えられるまで解きました。また、肢別本は電車での移動時にスマホゲームをしたい気持ちを抑えて使用していました。よく『パーフェクトと肢別どちらを使うべきか』と耳にします。個人的には、2つの本はそれぞれ用途が異なるため、『両方使えばいいのに』と思っています。ただし、肢別本は移動時間に使うことを想定していたため、自分の必要な科目のみ使用しました。

5 失敗を踏まえて

 私は、いわゆる再ローで合格することができました。1度失敗しても終わりではなく、諦めない限り司法試験には合格することができると思います。ただ、この試験は1年でも早く終わらせるべき試験だと思うので、なぜ私が長い時間かかったかを書かせていただきます。
 主観ではその時々「一生懸命」勉強しているつもりでした。しかし、客観的には努力の方向性がズレていたのだと思います。自分ではズレに気がつくことは難しいので、成績が思うように伸びなければ早い段階で法科大学院や予備校の先生に相談することをおすすめします。そして、司法試験は、初見の問題を2時間で最大8枚の答案用紙を使って、それなりの答案を作成する試験です。当たり前すぎる話ですが、書面審査であり、その答案が全てです。普段の勉強で2時間答案を作成することは辛い作業かもしれません。しかし、書けないことには合格できない。そして、書けるようになるためには法的三段論法などの技術が必要になります。これを自分の体に覚えさせるには実際に書いて訓練するしか方法がないと思います。私は、この意識が弱かったために時間がかかったのだと思います。ぜひ受験生の皆さんには書く機会を増やしていただきたいと思います。

6 最後に

 私は、これまで司法試験に落ちたことしかなく、今年も合格する確信を持っていたわけではありません。そのため、私は、自分の中で司法試験を不当に難しくしていたと思います。もちろん、「司法試験」それ自体は難しい試験だと思います。しかし、令和2年度の司法試験もそうですが、試験を実施したからには合格ライン以上の受験生を合格させなければなりません。今後、合格者数が変動することがあるかもしれません。しかし、合格ライン以上の受験生を合格させなければならないことに変わりはありません。どんなに問題が難しくとも、ほとんどの受験生が解答できなければ合否に影響はないと思います。見るべきは「司法試験」の難しさではなく、まわりの受験生です。受験生の相場感を知ることが、1年でも早く司法試験を終わらせる方法だと思います。
 最後まで読んでいただきありがとうございました。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス
・直前フォロー答練 福田クラス
・最後の絶対にすべらない講義
・論文速まくり特訓講義
・司法試験全国公開模試

【2018年対策】
・スタンダード論文答練
・司法試験全国公開模試

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