敗因分析をして、リベンジ合格へ!
1 司法試験受験を決意した経緯、合格までの道のり
法律知識を用いて、依頼者や社会のために働くという弁護士の仕事に魅力を感じ、司法試験受験を決意しました。
1回目の受験では不合格となりましたが、悔しい気持ちをバネに努力をし、2回目の受験で合格することができました。
2 法科大学院受験前の学習状況
法科大学院の受験を決意したのは、大学2年生の冬頃でした。法律知識や答案の書き方が身についていなかったため、大学3年生の4月から他の司法試験予備校に通い、勉強を開始しました。法科大学院の受験に当たり、インプットは予備校のテキストを、アウトプットは旧司法試験の過去問と法科大学院入試の過去問を用いました。
3 法科大学院入学後の学習状況
日々の授業の予習復習に追われ、大部分の時間を予習復習に費やしていました。法律知識の定着が不十分なところもあり、基本書や判例集を読むこともしました。夏休みや春休みといった長期休暇や時間のある時には過去問を解きました。
4 受験対策として 辰已の講座について
(1) スタ論福田クラスを受講した経緯
私は、不合格となった後、自分の勉強方法に問題があることは分かっていたもののどのように改善すれば合格できるかという点について対策に自信がなく、また同じ失敗をしてしまうのではないかという不安がありました。そのような中で、過去に司法試験にリベンジ合格したことのある先輩から、辰已専任講師・弁護士の福田俊彦先生のスタ論の受講を勧められました。そこで、Webでスタ論福田クラスのガイダンスを拝見したところ、福田先生は司法試験の合格のために必要なことのみに限り、実践することができるように指導してくださることを知りました。私は、福田クラスを受講すれば、合格に適合した勉強ができるようになると考え、福田クラスを受講しました。
福田先生は、ガイダンスの中で司法試験に不合格となったことの意味は、①基本的知識が不足しているか、②法律実務家として不可欠なスキル(法的三段論法・法律文書の読み方及び読むスピード・法律文章の書き方及び各スピード)のいずれか、又はいずれもが足りないに過ぎないということをおっしゃっていました。司法試験に不合格となり、落ち込んでいた私は、福田先生のその言葉で不合格と向き合うことができ、足りない能力を補えば合格できるのだから前向きに頑張ろうという気持ちになれました。
(2) 福田クラスを受講して
福田先生は講義の中で、絶対にやるべきこと、余裕がある人はやってもよいこと、やってはいけないことを明確に区別して指導してくださいました。また、スタ論の模範答案を用いて、絶対に出来ければならない箇所、出来なくてもよい箇所を明確に区別して指摘してくださいました。このようなご指導により、勉強の範囲が無限定に広がることがなくなり、自分が何をすべきであるのかを冷静に判断することができました。そして、福田先生が絶対にやるように指導されたことは、必ず実行するようにしました。
また、福田先生は基本的知識を習得していることが司法試験にすべらないために重要であること、そのための勉強に当たっては、拡散型の勉強ではなく、集約型の勉強をすることが大切であることを示してくださいました。特に直前期などは、不安からいろいろな教材に手を出してしまいがちですが、集約型の勉強をすることは、正確な知識の習得につながったと感じています。
さらに、福田先生は条文を正確に引くこと、条文の条項文言を正確に引用すること、できない人こそ条文を大事にすべきであることを常に指摘してくださいました。法律の文章を作成する以上、条文の条項文言を正確に引用すべきですが、私はなかなかこれが徹底できていませんでした。福田先生は解説講義のなかで常に条文を正確に引くこと、条項文言を正確に引用することを強調してくださったため、自分の中でも、答案作成の際に強く意識することができるようになりました。これらができることにより、答案の印象が一気に良くなることに気が付きました。
そして、第2クールでは直近二年分の過去問の解説がありました。出題趣旨と採点実感は司法試験の合格に必要な情報が記載されている重要な文書です。しかし、中には合格レベルを超えた情報も記載されています。福田先生は、出題趣旨と採点実感の大事なところを指摘されたうえで、上位・中位・下位それぞれの答案を用いて、何が合否を分けるのかという点から解説をしてくださいました。これにより、合格レベルを意識せずやみくもに勉強するということがなくなり、どのような答案を書けば合格できるのかということを掴むことができました。
この他にも、福田先生は、形式面で読みやすい答案を書くこと、途中答案にならないようにペース配分を考えて答案を書くことを常々指摘してくださり、答案を書く上で大事な作法を身に着けることができました。
5 受験対策として
一度目の司法試験受験から発表までの間、ほとんど法律の勉強をしていませんでした。不合格の発表の後は、敗因分析をすることから始めました。そのうえで、克服に努めました。以下では、私の主な敗因とその克服策について簡単にお話します。
(1) 基本的知識の習得不足
私は敗因として基本的知識が不足していたということがあります。これを克服するために同じ問題集を何度も解き、百選の重要判例を何度も読むということをしました。これは、福田先生が、拡散型の勉強ではなく集約型の勉強をすることを強調されていたことを参考にした対策です。いろいろなことに手を広げすぎると、不正確な知識が増えるだけなので、このように範囲を絞って繰り返しやるという勉強法は知識の習得のために効果的あったと思います。
(2) 過去問の検討不足
合格ラインを意識せずにやみくもに過去問を解いていたということも敗因でした。これは福田クラスでの過去問・出題趣旨・採点実感・合格答案の検討を経て気付いたものです。敵を知るという意味でも、過去問の検討は不可欠だと思います。それと同様に、合格答案はどのようなものか、合格ラインはどこかを知ることも、合格答案を書けるようになるために重要だと思います。しかしながら、私は過去問を解くにあたり、合格答案はどのようなものか、また、合格ラインはどこなのかを意識せずに、やみくもに解いており合格に適合しない勉強をしていました。福田クラスでの過去問・出題趣旨・採点実感・合格答案の検討を経て合格答案とはどのようなものかを知ることができました。これにより、完璧を目指すことなく、時間内で合格答案を書けるようになることにつながったと思います。
(3) 合格答案の検討不足
上記(2)の敗因と少し重複しますが、私は合格答案と自分の答案を比べて改めるべき点を探すことをせず、自分が正しいと思う答案を書いていました。このような勉強をしていては、一般的な受験生が書く答案から遠ざかると気づきました。そこで、再受験の勉強においては、合格答案と自分の答案を比べ、あてはめの仕方や三段論法の使い方等をまねできる点をまねするようにしました。このような勉強は、合格答案を書けるようになることにつながったと思います。
(4) 答練の復習
最初の受験に当たっても、答案練習会を受講していましたが、受けてそのままということが多く、十分な復習をしていませんでした。そこでスタ論の受講後や答案の返却後は、何が出来なかったのか、どうすればあと5点取れたかを分析し、ノートに書きだすようにしていました。その反省をもとに、次回の答練の目標を立てるようにしました。このようなことが、弱点の克服にも繋がっていったと感じています。
6 受験対策として
(1) 基本書
何度も読んだ基本書は以下の通りです。
行政法 『基本行政法』中原茂樹
会社法 『会社法』高橋美加ら
刑法 『基本刑法』 大塚裕史ら
刑事訴訟法 『リーガルクエスト刑事訴訟法』宇藤崇ら
労働法 『労働法』水町勇一朗
(2) 辰已の書籍
・短答過去問パーフェクト
・『ぶんせき本』
・民法 『えんしゅう本』 旧司法試験の問題と予備試験の問題を何度も解きました。
・商法 『えんしゅう本』旧司法試験の問題と予備試験の問題を何度も解きました。
・刑法 『司法試験論文過去問 新professorシリーズLIVE解説講義本』 過去問を解いた後で、解説と模範解答を読みました。解説が丁寧で、理解が深まりました。
・刑事訴訟法 『司法試験論文過去問 新professorシリーズLIVE解説講義本』 過去問を解いた後で、解説と模範解答を読みました。実務の観点から丁寧に解説がなされており、理解が深まりました。
7 自己の体験記を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
私が、再受験に当たって一番心掛けたことは、敗因分析とその克服の努力です。不合格という敗因の分析をし、克服する努力をすることは自分の弱点と向き合うものでもあり、苦しくもありましたが、その苦しさに負けないことが、同じ失敗をすることを防ぎ司法試験の合格につながったと思っています。
また、福田クラスを受講し、勉強方法や合格答案の書き方を学ぶ中で自分の敗因や対策に気付くこともあり、福田クラスは敗因分析やその対策を立てるにあたっても役立ったと感じています。
そして、心身の健康の維持も、勉強を続ける上で大事だと思います。私はこもって勉強をしていると、気分がふさがりがちになりそうだったため、なるべく図書館に出かけていました。元気が出るような言葉をさがしたり、元気の出る歌をきいたりもしました。どうしてもやる気が起きない時は、無理して勉強せず、少し休むということもしました。自分に合った勉強スタイルは人それぞれだと思いますが、心身の健康を維持できるように工夫して過ごしてほしいと思います。
最後に、勉強を続けていると、思う通りにならないこともたくさんあると思います。私もスタ論で思う通りの成績が採れないときや採点者の厳しい指摘が記載されていたときに心が折れそうになることがありました。しかし、「今回間違えたからもう間違えないぞ」、「これが本番じゃなくてよかった」等と考え、無理にでも気持ちを切り替えるようにしました。気持ちを切り替えることは、限られた勉強時間を有効に使うことにつながりますので、日々の中でも気持ちの切り替えを大事にしてほしいと思います。本試験においても、途中で自分のミスに気が付くこともありましたが、ミスをひきずらずに気持ちを切り替え次に進むことが、合格に繋がったと思っています。
私の体験記が、皆様にとりまして少しでもお役に立つことができましたら、幸いです。
辰已法律研究所 受講歴
・スタンダード論文答練 福田クラス(第1・2クール)
・選択科目集中答練
・直前フォロー答練福田クラス
・司法試験 総択
・司法試験全国公開模試