ROAD TO 司法試験 ~あきらめなければ夢は叶う~
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
小学生の頃に弁護士を扱ったドラマをみて、その主人公にあこがれて、なんとなく弁護士になりたいと思いました。具体的に弁護士になりたいと思ったのは中学生の時、祖父が亡くなった際、遺産相続問題が発生したときです。父は自力で解決するよう試行錯誤しましたが、4年以上経っても解決することができなかったため、弁護士に依頼して相談したところ、その弁護士の方が親身になって父の相談に乗ってくださったことで、無事相続問題を解決することができました。この出来事がきっかけで、私も私達家族を助けてくださった弁護士の方のように弁護士になって多くの人の問題解決の手助けをしたいと思うようになりました。
2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)
私は、炎の塔にある正法会研究室、多摩研究室に所属していました。多摩研究室に所属すると司法試験に合格した方が行うゼミを受講することができ、法律学習はゼミとその復習を中心にしていました。また、ゼミでは法科大学院の過去問は勿論、旧司法試験と予備試験も何周も解きました。予備試験に関しては全年度全科目答案を作成し、答案は毎回研究室の先輩や多摩研究室の専任指導員に添削してもらいました。問題の復習の際、辰已法律研究所が発行しているえんしゅう本、予備試験論文ぶんせき本を欠かさず読んでいました。
3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)
法科大学院入学後は、大学院の授業の予習復習に忙殺される日々が続きました。法科大学院の授業内容は、司法試験の受験に特化しているので、授業で出た論点は毎回自分で作成した論証集にメモしていました。また、どんなに忙しくても、友達と自主ゼミを組んで、定期的に新司法試験の過去問を時間内に解く練習をしていました。法科大学院の定期試験は、新司法試験と似たような問題形式と時間で行っていたため、緊張感の中試験を受けることができ、司法試験の良い予行練習になりました。
4 受験対策として、私がやって成功した方法
私は、受験対策として問題演習を中心に行いました。問題は新司法試験は勿論のこと、皆が使うような演習書、旧司法試験、予備試験の問題を解いていました。先述したとおり、旧司法試験と予備試験の復習時は必ず辰已法律研究所が発行している本を利用していました。そして、授業や問題演習で得た知識は、同研究所が発行している趣旨規範ハンドブックを裁断してファイリングした論証集に逐一書き加えていました。趣旨規範ハンドブックは、論証がコンパクトにまとまっているため、覚えやすかったです。また、余白が多いため、余白の部分に授業や問題演習で得た知識を必ず書き込むようにしていました。受験生の方は、必ずいわゆる“論証パターン”を覚えると思いますが、一言一句完璧に覚えることは不可能です。そこで、少しでも多くの論証パターンを覚えるために、自分にとって覚えやすい論証パターンを作成しなければいけないと考えました。そこで、私は趣旨規範ハンドブックの論証を自分の覚えやすいように、論証や知識を付け加えたり書き換えたりしていました。このように勉強したことで、世界に一つだけの論証集が出来上がり、試験直前の復習もこの論証集だけを見返し、知識のインプットをすることができました。
5 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果
私は、予備校に一切通わずに司法試験の受験対策をしていました。ただ、合格した先輩方が直前模試は必ず受けた方がよいと口を揃えて言っていたため、私は4月に行われた全国模試を受講しました。全国模試は、本番と同じ日程で他の受験生と同じ教室で行われるため、試験本番の緊張感や雰囲気を知ることができました。そして、問題の内容も、その年度で出題されると予想される論点が出されており、実際本番でも模試と同じ論点が出たので、本当に模試を受けてよかったと感じました。模試後の解説冊子について、解説や参考答案が非常に充実しており、解説を何度も復習することで、知識の穴埋め、深化を図ることができました。加えて、答案添削によって自分の答案を客観視することができ、他の受験生に書き負けない答案を研究する際に、大きく役立ちました。
私は、全国模試で総合A判定をとることができたので、これが大きな自信につながりました。試験本番中ミスをした時も、「私は模試でA判定とったから、大丈夫」と言い聞かせることにより精神を落ち着かせて、パニックにならずに問題を解くことができました。
6 受験対策として、私が使用した本
全科目共通:
趣旨規範ハンドブック(辰已) 先述したとおり、趣旨規範ハンドブックを論証集にしていました。
えんしゅう本(辰已) えんしゅう本は、旧司法試験の中でも実践的な問題を中心に扱っており、そして解説・解答も非常に丁寧なので、旧司法試験を解くためには最良の書籍です。
ぶんせき本(司法試験・予備試験)(辰已) ぶんせき本は、司法試験を受験するなら必要不可欠な本です。丁寧な解説・解答だけでなく、上位答案を読むことができ、司法試験に合格するためのエッセンスが詰まった本です。司法試験の過去問を解いたときは、毎回必ず参照していました。
憲法:
『読み解く合格思考 憲法』(辰已)
横大道聡『憲法判例の射程』(弘文堂)
小山剛ほか『判例から考える憲法』(法学書院)
大島義則『憲法ガール』(法律文化社)
行政法:
櫻井敬子・橋本博之『行政法[第5版]』(弘文堂)
橋本博之『行政判例ノート(第3版)』(弘文堂)
曽和俊文ほか編『事例研究行政法(第3版)』(日本評論社)
土田伸也『基礎演習行政法 第2版』(日本評論社)
民法:
『読み解く合格思考 民法』(辰已)
佐久間毅『民法の基礎1 総則〔第3版〕』(有斐閣)
道垣内弘人『担保物権法〔第3版〕』(有斐閣)
田高寛貴ほか『事例から民法を考える』(有斐閣)
中田裕康『債権総論[第3版』』(岩波書店)
会社法:
高橋美加・笠原武朗・久保大作・久保田安彦『会社法』(弘文堂)
伊藤靖史ほか『Legal Quest会社法(第2版)』(有斐閣)
伊藤靖史ほか『事例で考える会社法』(有斐閣)
民事訴訟法:
藤田広美『解析民事訴訟法(第2版)』(東京大学出版)
勅使川原和彦『読解民事訴訟法』(有斐閣)
刑法:
大塚裕史、十河太朗、塩谷毅、豊田兼彦『基本刑法Ⅰ・Ⅱ』(日本評論社)
井田良ほか『刑法事例演習教材(第2版)』(有斐閣)
刑事訴訟法:
宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『LEGALQUEST刑事訴訟法』(有斐閣)
古江賴隆『事例演習刑事訴訟法(法学教室ライブラリィ)』(有斐閣)
井田良ほか『事例研究刑事訴訟法 第2版』(日本評論社)
国際私法:
松岡博『国際関係私法入門』(有斐閣)
櫻田嘉章ほか『演習国際私法 CASE30』(有斐閣)
短答(全科目共通):
条文判例本(辰已)
肢別本(辰已)
短答パーフェクト(辰已)
短答試験は、実践を積めば積むほど点数が上がるコストパフォーマンスがいい試験です。肢別本と短答パーフェクトは、過去問を取り扱っており、そして詳しい解説もついているため、実践を積むためには最良の本です。条文判例本は、条文ごとに定義や判例が詳しく載っており、いわゆる“短答プロパー”を勉強するときは必ず使用していました。
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
(1) 司法試験自体は、年々倍率が下がってきており易化傾向にあるものの、問題の内容は傾向が変わる等、年々難化しています。司法試験の過去問を解くことはもちろん必要不可欠ですが、傾向が変化している以上、過去問だけでは対応することができません。そこで、不知・未知の問題にも対応できるようにするため、演習書、旧司法試験、そして予備試験を解き、たくさん実践を積むことが大事です。たくさん実践を積めば、その分知識も増え、現場思考力も身につくため、現行の司法試験に対応することができると思います。
司法試験は、日本で最難関の国家試験ですが、最後まであきらめずに努力すれば、必ず受かる試験です。私のこの合格体験記が、少しでも受験生の方の勉強方針定立に役に立てたなら、幸いです。
(2) LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)
在学中は、自主ゼミを組むことをお勧めします。なぜなら、自主ゼミの最大のメリットは、自分の答案を客観することができるからです。自主ゼミで自分の答案をゼミのメンバーに読んでもらうことで、法的三段論法が守れているか、分かりにくい文章になっていないか等、自分一人で確認することが難しいことを確認することができます。また、司法試験は相対評価であるため、他人の答案と自分の答案を比較することが重要となります。自主ゼミで他人の答案を読み、自分は書けなかったけど他人は書けた論点を徹底的に分析し、復習をしていました。
(3) 来年初めて受験する方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
受験生の方の中で、本番緊張しない方はほとんどいないと思うので、緊張しないようにする方法はないと思います。ただ、緊張を少しでも和らげる方法はあります。私の場合、試験直前は、勉強をひたすらするのではなく、好きなことをする時間を十分にとっていました。例えば、私は動画を見ることが好きだったため、動画の中でも、特に私を元気づけてくれるものを好んで視聴していました(ジョジョの奇妙な冒険5部、フルーツバスケット)。
試験会場に着くと、特に緊張すると思います。私は、緊張を緩和させるために、元気づけてくれる曲のプレイリストを作成し、そのプレイリストの曲をずっと聞いていました。つらいとき、緊張していたときに聞いていた応援ソングは、今では最高の思い出ソングとなりました。
辰已法律研究所 受講歴
【2019年対策】
・司法試験全国公開模試