努力が報われやすい労働法
1 労働法を選択した理由
労働法を選択した理由は、選択科目8科目の中で最も身近であり興味がわき好きな科目であると感じたからです。私の友人で、会社を解雇された知り合いがいます。大企業で、残業・長時間労働をして同年代でも過労死したり自殺したりするニュースもよく聞きます。労働法は、そのような問題に密接に関わっています。やはり、労働法は、働くうえで誰しもが切っても切れない法律だと思い、勉強してみたいと思いました。興味がわいて好きな科目であれば、勉強もサクサクはかどります。基本書を読むスピードも自然と早くなります。また、労働法は、実務に出てからも使用する機会が多いと思ったことから、勉強をしておきたいと考え、選択しました。
2 労働法のメリットとデメリット
労働法を選択するメリットは、1つ目は、実務に出ても労働法は使用する機会が多いということです。労働法は、弁護士になる場合、大手の企業法務系の事務所では使用者側の立場から、一般民事を主に扱う小規模の事務所では労働者側の立場から、すなわち、どのような法律事務所であっても労働法の知識を活かして活躍する場所は多いです。労働法は、たとえ、司法試験で選択しなくても将来勉強せざるを得ないと思います。その為、労働法を選択することは、試験勉強の為だけではなく将来の実務にも繋がるのでお得だと思います。メリットの2つ目は、司法試験の選択科目8科目の中で最も多くの人が選択しているということです。労働法は、毎年約30%もの人が選択していて、2位以下の科目に圧倒的差をつけて断トツな人気です。最も多くの人が選択しているということは、労働法を勉強する仲間・友達を見つけやすいです。また、労働法の再現答案も他の科目よりも多く出回り入手しやすいです。更に、労働法は、司法試験の為の基本書・演習書も豊富で充実しています。メリットの3つ目は、労働法は努力が報われやすい科目ということです。努力が報われやすいというのは、判例の事案に近いケースが試験問題で出されやすく、現場思考の問題は少ないです。時間をかけて理解して覚えたことが、そのまま試験に直結しやすい科目です。その為、時間をかけて頑張って覚えれば覚えるほど点数アップに繋がりやすいです。
労働法を選択するデメリットは、メリットの3つ目の裏表の関係になりますが、暗記する量が非常に多いということです。暗記量でいえば、選択科目8科目の中で最も多い量になると思います。労働法の暗記量は、憲法や行政法や商法や刑法や刑事訴訟法よりも明らかに多いです。民事訴訟法や民法並み、もしくはそれ以上だと思います。その為、予備試験を合格した受験生などで、合格してから初めて労働法を勉強するなど、司法試験本番まで半年を切っている状態で労働法に手をつけるのは、なかなか厳しいと思われます。
3 法科大学院での選択科目学習状況
法科大学院では、先生が指定した教科書や先生が作成したレジュメを用いて、労働法を最初から最後まで一通り講義を聞いて勉強しました。また、労働法のゼミがありまして、このゼミでは、先生が簡単なクエスチョンや試験に近い問題を作成してくださり、それを課題として自宅で解いてきて、解いてきた内容を授業でディスカッションするという内容でした。また、労働法の判例を勉強する機会もあり、先生が労働法の判例で注目するポイントなどを教えていただきました。
4 受験対策として私がやって成功した選択科目攻略法
労働法の攻略法は、まず、第1に、基本書を最初から最後まで読んで労働法の全体像をつかみました。第2に、労働法の演習書をざっと読んで、労働法ではどんな分野でどんな問題点(論点)が出てくるのかをチェックしました。第3に、辰已法律研究所の『1冊だけで労働法』を用いて、労働法の論証を1通り覚えます。第4に、労働法の過去問を解いたり労働法の演習書の問題を解いたりします。ここで解けなかった問題や間違った箇所をチェックして辰已法律研究所の『1冊だけで労働法』の本に自分が出来なかった箇所をまとめました。
5 受験対策として私が使用した本
基本書は、水町勇一郎先生の『労働法 第7版』を使用しました。この本は、初めて労働法を勉強する時に読み始めてから、試験直前まで使用していました。この本は、まず、約500ページ程度で分厚すぎず非常に読みやすいです。また、水町先生の労働法は、水町先生が書いた内容が非常にコンパクトにまとまっているので、そのまま論証として使用できる記述が多く、労働法の論証を自分で作成する際に非常に参考になりやすく、水町先生の記述をそのまま論証にもしていました。更に、水町先生は、2020年度の司法試験から試験委員になっており、2021年2月現在も司法試験の試験委員であり、その点からも非常に相性が良かったです。
演習書は、水町勇一郎先生・緒方桂子先生が著書の『事例演習労働法 第3版補訂版』を使用しました。この本は、上記の基本書と同じく、著書の1人が試験委員の水町先生です。また、この本は、網羅性も高く、労働法のすべての分野の問題をカバーしています。更に、この本は、問題と解説だけでなく、解答例も全ての問題に掲載されており、自分1人で労働法の問題を解く訓練を積むのに最適な1冊となりました。
労働法の過去問対策として、辰已法律研究所の『司法試験論文対策1冊だけで労働法 大幅改訂版』を使用しました。この本は、平成18年から平成28年までの過去問・出題趣旨・採点実感がまとめて掲載されており、労働法の過去問を解いた後にこの本を使用して、自分ができなかった所にチェックを入れておりました。また、各年度、上位で合格された方の再現答案が載っており、労働法で合格答案になるにはどこまで書けばいいのか、答案の書き方等で参考にさせていただきました。更に、この本のいい所は、過去問対策ができるだけではありません。労働法の趣旨・規範ハンドブック(労働法の論証)も付いているのです。そのため、この本をまとめ用の本にすることができました。基本書や演習書や過去問で学んだことをこの1冊に集約しました。1冊だけで労働法という本のタイトルの通り、試験直前は、この1冊を見返せばよいという本にカスタマイズして使用しました。
6 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
① 選択科目初学者へのアドバイス(初学者のうちに是非やっておきたいことなど)
初学者の皆様、まずは、一通り最初から最後まで基本書を読んで回すのが良いと思います。最初の内は、完璧を目指さないことが大切です。労働法は、身近な法律ですから、初学者の内は様々な判例を読んで労働法の興味を深めるのも良いと思います。
② 次回受験する方へのアドバイス(直前期の勉強方法など)
直前期は、とにかく論証を暗記しましょう。労働法は、試験本番で論証が書けなければ勝負になりません。理解はしているけども規範はなんとなくあやふやのままでは、論証をしっかり覚えている人に勝てません。労働法は、頑張れば頑張った分だけ報われる科目ですから、是非、得意科目にしていただければと思います。合格を祈願しています。