(1) 授業への取り組みについて
もしも、「司法試験に合格出来た要因を一言で言うと?」と問われたら、迷わず「法科大学院の授業を大切にし、しっかり予習して、授業内容を十分消化出来るよう法科大学院教育を信じたこと」と確信を持って答えます。在学中は予備校は一切通わず、そもそも時間的にも精神的にも通う余裕はありませんでした。司法試験過去問の検討も十分だったとはいえません。しかし、合格出来ました。
法科大学院では定期試験で不可→留年の恐怖に怯え、何とか進級して卒業することを第一に考えて授業の予習に取り組んできたのですが、結果的に法科大学院の学修が司法試験合格にも直結していました。私の場合、司法試験合格は100%法科大学院のおかげと深く感謝しています。
法科大学院の授業は、予習課題が出され、質疑応答型授業が多いと思います。私は予習中心型で、出された課題は全部自分なりに答えを作って授業に臨んでいました。大規模校だと必ずしも毎回当てられることはないと思いますが、自分が当たらなかった時も心の中で答えを言ってみて、また、先生が回答希望者を募ったときは積極的に手を挙げて発言し、自分の答えに対するコメントをもらうと緊張感も維持出来て良いと思います。
(2) 受験に役に立った書籍等
私が使用した演習書類は次のとおりです。
【基礎力養成】
『えんしゅう本』(基本七法いずれも)(辰已法律研究所)
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本①~③』(辰已法律研究所)
『月刊 受験新報』連載「演習教室」(法学書院)・・・ただし、現在は休刊
『ハイローヤー』(辰已法律研究所)
【憲法】
『判例から考える憲法』(法学書院)
『事例研究 憲法(第2版)』(日本評論社)
【行政法】
『事例研究 行政法(第3版)』(日本評論社)
【民法】
『基本事例で考える民法演習1・2』(日本評論社)
『事例で学ぶ民法演習』(成文堂)
『事例から民法を考える』(有斐閣)
【刑法】
『ロースクール演習刑法(第2版)』(法学書院)
【商法】
『事例研究 会社法』(日本評論社)
『事例で考える会社法(第2版)』(有斐閣)
『Law Practice商法(第3版)』(商事法務)
【民事訴訟法】
『基礎演習 民事訴訟法(第2版)』(弘文堂)
『Law Practice 民事訴訟法(第3版)』(商事法務)
【刑事訴訟法】
『事例演習 刑事訴訟法(第2版)』(有斐閣)
『ロースクール演習 刑事訴訟法(第2版)』(法学書院)
順番が前後しますが、【基礎力養成】は前述の既習者コース受験対策に利用したものです。これらなしに合格はあり得ず、進学後の基礎力要請にもなったので、これらの出版社には足を向けて寝られません。『受験新報』は残念ながら休刊になりましたが、大きな図書館にバックナンバーがあるはずですから「演習教室」などをコピーして解いてみましょう。
(3) 定期試験対策について
法科大学院生の方は、定期試験対策は極めて重要で気になるところだと思います。私の出身校では、定期試験過去問が全部公開されていたので、印刷して全年度分解きました。公開されているのは問題だけなのですが、教科書・参考書・判例集・予備校本等を駆使して自分が書ける最高の答案を作り上げること自体が最良の期末試験対策になり、また、授業の復習にもなります。期末試験過去問を入手出来る方は、ぜひこの方法で試してみて下さい。
司法試験にも全く同じ事がいえますが、15年以上も出題実績があると、ほぼ出題のネタは出尽くして今後の出題はそこから少し切り口を変えてみたり、複合テーマにしてみたりと過去問のリメイク版が出題されることが多いです。「最高の試験対策法は過去問」と在学中に先生からも言われましたが、期末試験対策は司法試験合格と軌を一にしているので、どうか1点でも多く取れ、学内成績を上げるためにも全力で取り組んで下さい。
(4) 自主ゼミについて
法科大学院生の勉強というと仲間同士で勉強会を組む「自主ゼミ」について聞いたことがある方も多いと思います。自主ゼミについて実体験を基に申し上げれば「声をかけてもらう機会があればぜひ参加すると良いが、合格に必須とはいえない」というところです。私は入学後、とにかく期末試験への恐怖が強く、たまたまオンライン懇親会で声をかけてもらった未習者コース入学者(つまり1年先に入学した同学年の1年先輩)の誘いに応じて未習2名・既習2名の混成チームで期末試験過去問を解くゼミをオンラインでやっていました。ゼミは夏休みで自然解散となったのですが、メンバー4人は全員最短で卒業出来ています。
どんな人と組むのが良いかにつき諸説ありますが、縁あって声をかけてくれたならまず参加してみて、絶対欠席しない・全力で答案を作成して出す・資料係など裏方を進んで引き受けるといった努力でメンバーに認めてもらえるようせっかくの出会いを大切にしましょう。
なお、自主ゼミ自然解散後、期末試験も司法試験も一人で勉強していたのですが、それでも両方とも合格出来ました。答案回覧や答案批評は出来れば素晴らしいですが、合格のために必須とまではいえません。
(5) 選択科目や履修授業数等について
法科大学院では卒業要件単位+2~+4単位くらいの人が多いですが、せっかくの機会なので、興味ある科目は履修するのが良いと思います。私も比較的単位数が多い方で、同級生は履修可能上限近くまで多くの科目を取り、それでも成績優秀者で卒業しました。