租税法は、50点付近まで持っていくならコスパが良い科目
1 租税法を選択した理由
将来知的財産法分野の仕事をしたいと思っていたのですが、意外ととっつきが悪く、問題を解きにくいと感じました。またローの授業もそこまで評判が良くなかったので悩んでいたところ、租税法はローの授業がわかりやすく、所得の種類を問われるなどシンプルだと感じて自分に合っていると思い選択しました。
2 租税法のメリット、デメリット
暗記する量が少なくて済むのが最大のメリットだと思います。あと、前述の通り所得の種類を聞く問題がほとんどなので、過去問をいきなり解いてもとっつきやすいです。また、弁護士になったら税務の知識は多少なりとも役に立つと弁護士の先生方には言われました。
デメリットは、租税法をメインに扱う事務所は少ないので、就活の際に知的財産法、労働法、倒産法あたりに比べると、強みが減ることです。はっきりいって志望動機などでかさ増ししづらいです。そういった意味で他にローの授業や語学などで専門性につながるような強みを身につける必要があります。また、知的財産法あたりは企業法務の法律事務所に入るならば必ず扱うのでいずれ勉強しなくてはなりません。
3 法科大学院での選択科目学習状況
前述のように、ローの授業は結構評判が良かったです。選択科目は、好き嫌いやキャリア形成から選ぶという観点も大事ですが、大学やローの授業をきちんと活用できるかという観点も大事な気がします。
また、予備試験に選択科目が加わったことで、予備校の選択科目講座も充実していくことも考えられます。予備校の講座の先生との相性も大事になっていきそうだなと思います。
4 受験対策として「私がやって成功した選択科目攻略法」
租税法の一番の良問は過去問と模試だと思います。租税法に関しては問題集を解いたという人は周囲でほとんど聞いたことがありません。
他の科目にも言えることですが、授業を受けてさっと基本を理解したら、同時に過去問を解くようにしていました。過去問を解きながら、辰已の「一冊だけで租税法」を確認していきました。「一冊だけで租税法」は、前半に論証、後半に過去問があり、同時に見るのが結構大変なので、印刷して両方並べて使っていました。
答案で論証の後に( )で判例の事件名を書くと点数が上がるという噂が流れていましたが、個人的にはあまり意味がないかなと思います。無駄に暗記量が増えますし、不正確だった時のリスクが大きいので、判例の内容をきちんと理解した方が良いと思います。
5 使用した本
ローの授業で「ケースブック租税法」を使用していたので、とりあえず授業の予復習をしていました。判例が網羅的に掲載されているのに加えて、その後ろに問題もついているので良い教材だと思います。ただ、それに対する答えがついていないので、独学では厳しいかもしれません。
あとは、前述の通り、一冊本を使用して、いきなり過去問を解きながら、前半に載っている論証を確認しつつ覚えていきました。ただ、一冊本には最新の過去問は載っていないので、必ず別途入手して解いた方が良いです。特に、租税法は年々過去問が複雑になっていっている印象なので、直近の過去問は絶対に解いておくのをお勧めします。
また、近年の難化&増加傾向に対応するため、予備校の模試や答練を数年分、友人からもらったりメルカリで入手したりしてざっとみていました。ツテがなければ、辰已の選択科目の答練を受けるのも良いと思います。例えば、2019年度の辰已模試は、2020年度の司法試験に出ました。予備校はヤマをあてに来ているので実は重要度は昔の過去問よりも高いかもしれません。
それから、ヤマあてのために判例百選の内容から過去問で出たことがないものをピックアップして重点的に読んでいました。実際に、今年の司法試験では目をつけていた判例から出題されたと思うので、これはやっておいてよかったです。
6 辰已講座の利用方法とその成果
辰已の模試やスタ論の租税法は、貴重な司法試験形式の問題なので、重宝していました。模試の点数はあまり良くありませんでしたが、きちんと復習することで似た問題が出たら二度と間違えないようにしていました。辰已の模試や答練は結構ヤマが当たるのでおすすめです!
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
① 選択科目初学者へのアドバイス(初学者のうちに是非やっておきたいことなど)
租税法はやってもやっても高得点を取れるわけではなくキリがないので、効率よく50点くらいを取れるレベルまで達したら、民事系など他の科目を勉強したほうが良いです。
② 来年受験する方へのアドバイス(直前期の勉強方法など)
租税法は、今年の司法試験もそうですが、大問1つに小問が4〜6個と問題数が多いので、完璧を目指さず、細かいところで点数を取りにいくことを目指しました。計算問題だったら、きちんと日本語で式を立てて、答えにこだわりすぎないなど途中点を取ることを意識していました。
模試や答練をたくさん入手してしまったため、ざっと確認するにとどまった問題がたくさんあるのですが、一回きちんと答案を書いたほうがよかったなと思います。自分で答案を書くと記憶に残りやすいので。
辰已法律研究所 受講歴
【2021年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス(第2クール)
・スタンダード短答オープン(第1・2クール)
・司法試験全国公開模試