強いメンタルで逆転合格をつかんだ方法
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
大学4年生になる前の春休みに、大学院への入学と司法試験合格を決意し、勉強を始めました。
しかし、勉強を始めた時期が人より遅かったことに加え、運よく既修者コースで入学できたため、常に周囲の同級生よりも遅れを感じる日々が続きました。
大学院に入学してから1年間は、それなりのペースで勉強を進めていましたが、最終学年になる時期に転機が訪れました。予備試験に合格した同級生が懸命に勉強している姿を目の当たりにし、「こんなに優秀な人でもこれだけ努力しているのに、今のままでは自分は到底合格できない」と痛感しました。その瞬間、私の中でスイッチが入りました。
それ以降は、「合格する人なら今何をすべきか」を常に考えながら勉強に取り組むようにしました。この思考を軸に据えたことで、目標達成のために必要な行動を見極め、効率よく学び続けることができました。
2 受験対策
① 辰已講座の利用方法とその成果
私は令和6年度全国公開模試を利用しました。この模試は司法試験直前期に行われるため、勉強面だけでなく、試験当日の行動面においても最後の確認として非常に有用でした。
模試を受けることで、これまでの勉強法が正しかったのかを見直し、司法試験までに修正すべき点がないかを確認しました。また、模試は司法試験と同じスケジュール、同じ会場で実施されるため、試験本番の流れをルーティン化することができました。模試期間中は、タイムスケジュールや服装、持ち物、食事など、本番と同じ環境で過ごしながら、徹底的にシミュレーションを行いました。
模試を通じて気づいた反省点や注意点、良かった点については一つひとつメモを取り、そのメモを基に試験当日の準備を細部まで整えました。このような取り組みによって、試験本番では、内容の面だけでなく、精神的にも落ち着いて臨むことができました。
② 私の合格の秘訣は、問題を何度も周回したことと、メンタルを維持するための工夫にあると思います。
短答対策
短答については、過去問の問題集と逐条式のテキストを活用しました。短答の勉強を始めたのは司法試験の約1年前だったため、限られた時間で効率的に学習する必要がありました。
そのため、すべての過去問に取り組むのではなく、司法試験・予備試験の受験生が多く正解した問題を厳選した問題集を利用しました。
具体的な学習方法は次の通りです:
- 肢ごとに解き、不正解だった場合は翌日の日付を記入する。
- 正解した場合は、正解した日から数えて3日後、7日後、2週間後、1か月後の日付を記入する。
- 問題集で解いた問題の判例や条文をテキストにマークする。
- 上記のペースで、5回連続で正解するまで問題を解く。
また、問題集で何度も間違えた問題や模試で間違えた問題については、テキストに目立つようにマークをつけ、重点的に復習しました。
論文対策
論文については、過去問の演習を繰り返すことを重視しました。
具体的には:
- 予備校の過去問講座を視聴後、問題文と参考答案を照らし合わせ、参考答案を書けるようになるためにはどのように問題文を読めば良いのかを考えながら、問題文と参考答案にマークをつける(1月から4月)。
- 4月以降は毎日答案構成を繰り返し、参考答案と照らし合わせながら問題文の重要な事情を拾えているかを確認(4月から6月末)。
5月と6月は、1日4時間程度の時間を確保し、6つの過去問について答案構成と確認を進めるというペースで学習を進めました。
司法試験直前期には、「この問題はこの年度のものだ」とわかるほど周回を重ねました。
メンタルの維持
勉強や試験において、メンタルの維持は非常に重要です。私は特に「メンタルの無駄遣いをしない」ことを意識しました。
具体的には、
- 模試の結果が悪くても、「本番ではないから大丈夫」と切り替える
- 他人から「今年は厳しい」と言われても、「私は今年合格する。この人には分からないだけ」と根拠のない自信を持つ。
- 朝6時に起きようと思って10時に起きてしまったとしても、「眠れない人もいる中、これだけ休息できてラッキー」とポジティブに捉える
等です。
考えても仕方のないことを考えたり、マイナスな感情に引きずられるのは、時間とメンタルの無駄です。
自分がやるべきことを着実に進めているなら、それを信じて自信を持つべきだと思います。
最終的には「なんとかなる」と思える心の強さが大切です。
私が合格したことによって、やはり司法試験はメンタルの維持が重要で、強い気持ちを持って取り組むことが何よりも大事だと実感しました。
③ 私が使用した本
私の選択科目である経済法の対策では、『1冊だけで経済法』を主に使用していました。このテキストは、趣旨・規範ハンドブックの該当ページで要点を確認できるため、効率的な学習が可能でした。また、掲載されている司法試験全過去問(平成18年~令和3年)の合格者による再現答案には得点や順位、さらに講評が付されており、合格答案の書き方を学ぶ上で非常に参考になりました。
選択科目の対策においても、他の科目と同様に過去問の演習を重視しました。1日1年分、過去問の問題文を読んで答案構成を行い、『1冊だけで経済法』と出題趣旨・採点実感の照らし合わせ、自分の答案でできていない部分や不十分な箇所を洗い出す方法により、自分の弱点を効率よく把握し、重点的に補強することができました。また、何度も繰り返し演習を行うことで、出題傾向や答案作成のコツを体得し、自信を持って試験に臨むことができました。
3 自己の体験を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
①LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)
私自身、法律の勉強を始めるのが遅く、司法試験対策に本格的に取り組むのも遅かったため、在学生の方々には「時間は限られている」という意識を持つことを強くお勧めします。
法科大学院での時間は想像以上に短く、授業や課題に追われているうちにあっという間に過ぎてしまいます。特に意識してほしいのは、司法試験合格を最終目標として考えることです。講義の予習や復習に時間をかけすぎて過去問演習を後回しにするのは、試験対策としては効率的ではありません。過去問演習はできるだけ早い段階から始め、出題傾向や答案作成のポイントを掴むことが重要です。予習や講義は確かに大切ですが、そればかりに気を取られていると、肝心の試験対策に時間を割けなくなってしまいます。
在学中の限られた時間をどう使うかで、試験への準備の質が大きく変わります。後悔しないように、自分の目標をしっかり意識しながら勉強に取り組んでください。
②来年初めて受験する方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
来年初めて司法試験を受ける方々は、試験がどのようなものか分からず、不安に思うことも多いと思います。私も、先輩から「司法試験は今までやったことのない問題が出るよ」と聞いていましたが、その意味をよく理解できていませんでした。過去問や基本書で勉強してきたはずなのに、試験で出題される問題は今までの勉強ですべて対応することはできません。先輩から聞いてわかったつもりになっていましたが、司法試験を受けて初めてその本当の意味を理解しました。おそらく皆さんも同じ気持ちになると思います。それでも、試験を受ける前にそのことを聞いていたおかげで、試験当日の不安を少し和らげることができました。
司法試験は、今までやったことのない問題が出ます。でも、安心してください。それは全受験生が初めて見る問題で、他の受験生も同じ状況です。ここまで積み重ねてきた努力がある皆さんなら、きっと乗り越えられるはずです。
試験までの道のり、そして試験中には本当につらい瞬間が何度も訪れると思いますが、気持ちを強く持ち、信頼できる人のアドバイスに素直に耳を傾け、やるべきことを確実に積み重ねていけば、必ず合格への道は開けます。「絶対に合格する」という強い気持ちを持ち、自分を信じて、最後まで諦めずに頑張ってください。皆さんならきっと大丈夫です。
③来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
来年のリベンジ合格を目指している方々へ、まずはこれまでの努力を無駄にせず、信頼できる人の意見を素直に聞いていただきたいと思います。合格までの道のりには、試験に向けた戦略や、これまでの経験を踏まえた修正が不可欠です。まずは冷静に自分の弱点を洗い出し、それを強化するための計画を立てるといいと思います。過去の試験で何が足りなかったのか、何ができなかったのかを明確にすることで、次回の試験に向けた改善策が見えてきます。
試験までの時間は限られていますが、それをどれだけ効果的に使うかが重要です。無駄な時間を減らし、計画的に勉強を進めることを心掛けてください。
そして、リベンジ合格を目指す上でも大切なのは、メンタルの強さだと思います。焦りや不安は誰にでもあると思いますが、その気持ちを上手にコントロールすることが大切です。自分がやるべきことを確実にこなしていけば、必ず結果はついてきます。「次こそは絶対に合格する」という強い気持ちを持ち、ポジティブに取り組んでください。
試験本番では、前回の経験を活かして冷静に対応できるようになるはずです。自分のペースで、そして自信を持って、最後まで努力を続けてください。リベンジは決して不可能ではありません。皆さんならきっと乗り越えられます。
私と皆さんに大きな違いがあるとは思えません。諦めない気持ち、そして自分を信じる気持ちが大事です。それを忘れずに、強い気持ちを持ち続けてください。皆さんなら必ず合格できると信じています。
④社会人受験生へのアドバイス(限られた可処分時間の有効な活用法)
限られた可処分時間を有効に活用するためには、まず自分の優先順位をしっかりと決めることが大切です。私自身、運良く最小限の勉強で合格することができましたが、その際に意識したのは、全てを完璧にこなすのではなく、試験で求められる知識や科目を絞り込み、重点的に取り組むことでした。また、一つ一つの勉強にかける時間を短くし、何度も周回することで、効率よく実力をつけることを心掛けました。
通勤時間や隙間時間をうまく活用し、どんな形でも勉強に充てる時間を見つけ出してください。集中力を最大限に活用すれば、限られた時間でも効率的に成果を上げることができます。
皆さんの努力と粘り強さを信じています。合格を心から祈念しています。
関連記事

辰已は羅針盤です
一橋大学法科大学院【既修】2023年入学 2025年卒業予定
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 他
