早期卒で、ロー入学後の短答模試から独自計画により在学中合格!
小学校時代から、有資格者でバリバリ働く大人に憧れを抱いていました。大学進学後、周囲は法曹を目指す方が多く、先生方からお話をお聞きする中で、弁護士として、専門性を身につけて自分の強みを活かせると思うようになりました。そこで、司法試験を目指すに至りました。
私の大学では、法曹コースの早期卒業制度が始まり、5年目での在学中受験も魅力的であると感じていました。もっとも、学部G P Aや英語能力に自信がなかったことから、ローの書類選考は不安で、予備試験を学部で合格することを目標にしました。
学部1年次は、ちょうどコロナ禍で完全オンライン授業だったので、まずはオンライン予備校の講座をとることにしました。ここで、私の戦略は、学部G P Aは、とれる範囲で頑張り、残りは、予備試験の短答と論文に時間を充てるというものでした。論文対策は、ネットにある論証集や書店で気に入ったものを使っていました。そして、論文の型を身につけ、知識も広げていくというイメージです。
しかし、学部2年時の予備試験には短答で不合格となりました。この時、短答は合格点まで30点ほど足りず、法律科目での詰めの甘さを痛感いたしました。そこで、短答パーフェクトを7科目で購入し、基礎から復習することにしました。確かに短答プロパーという言葉もあるぐらいで、短答のみで論文の実力が身につくことは、あまり期待できないと思います。しかし、民法や商法では、短答の直しで条文を引くことで、その趣旨を考えたり、具体的事情に当てはめることを想定したりする中で、論文対策と兼ねることができます。また、刑法においても学説対立問題などは、短答で触れているかが、論文での立場が指定される設問において大きな鍵となります。
対策をして迎えた学部3年次の短答では、まさかの不合格となっていました。この時は、今までの中でも1番落ち込みましたし、想定外でした。商法と行政法で11点を取ってしまい、他の科目でカバーできませんでした。そこで、予備試験経由ではなく、学部の早期卒業で、ローに進学することにシフトチェンジしました。
ロー入試は、私立は夏から始まり、国立は秋ぐらいでした。もっとも、私は準備が遅く、出願が間に合わなかったため、9月入試の私立と11月の東大ローしか受験しませんでした。志望理由書の準備とロー入試の論文で、学部3年次の夏休みは忙しかったです。しかし、限られた時間の中で、どれを優先していくかなど、計画面や学習濃度のスキルを身につけたことは、後の司法試験本番に生きることとなりました。
9月に受験したローの入試は2日間行われ、予備論文を経験していない私にとっては、体力面でもメンタルの面でも、貴重な体験となりました。休み時間の過ごし方や、1日目が終えてもその日の科目のことは、忘れて2日目に備えるなど当たり前のことですが、緊張もあると意外と難しいです。
私立ローは無事に合格し、発表から3週間ほどで、東大ロー入試となりました。東大ローの受験は1日ですが、7科目(民事系・公法系・刑事系)であるため、3つそれぞれ時間が勝負となりました。対策としては、過去問を2年分解いたぐらいで、ひたすら予備論文の過去問を解いていました。それは、分野的に重複することがあると考えたことや、予備1科目が70分で分量的にちょうど良いと考えたからです。本番は何とか書き切り、合格しました。この時点で、司法試験の在学中受験のスタートが始まったわけですが、その自覚は薄く、12月中旬であったため学部の期末試験の対策をゆるく行うぐらいでした。
年明けは、期末試験や法律科目の成績条件を満たすことが早期卒業の要件になるので、焦りが生じ、ひたすら7科目の論文の対策をしました。ここで、司法試験の過去問に軽く目を通すぐらいですが、問題文ではどれぐらいの知識を問われるのか、知識がなくてもその場で趣旨から規範を導けるか、充実したあてはめのために拾う事実は何か、などを意識しました。
期末試験や法律科目の成績条件を満たし、ローに入学すると、予習復習に追われ、正直、余裕がなくなりました。というのも周囲のレベルが高く、ローのソクラテスに自信がなくなったこと、授業のみでは論文は書けるようにならないので、自分独自の司法対策をしなければならないなど、時間的にも精神的にも4〜6月はバタバタしていました。授業の予習は最低限に抑え、それ以外は司法試験の過去問に触れたり、短答3科目(憲法・民法・刑法)の勉強をしたりしました。特に週末はまとまった時間が取れるので、授業の復習と司法論文対策を兼ねることができました。そして、7月にはロー入学後初めての期末試験でした。思うような良い成績ではないですが、何とか単位をいただきました。8月は司法試験の約10ヶ月前かつ最後の夏休みということで、選択科目(経済法)の勉強も加えることにしました。経済法は、覚える事項が少なくテキストは薄いものの、論文ではあてはめが命で、過去問を使って事実の評価をする練習をしました。論証自体は非常に少なくて、時間がない私に取って助かりました。経済法は、本番までネットに公開されている論証と過去問のみで対策をしました。
ローで紹介があったこと、短答の苦手意識が強かったことから、9月に辰已主催の司法試験短答模試を受験しました。ここで、110点という結果で、さらに具体的な計画を立てる大きなきっかけとなります。憲法は守りの科目で、刑法は攻めの科目、民法は、家族法分野で満点をとるなど本番のイメージがすることができました。憲法特に人権は、百選を抑えてもカバーしきれない部分があり、統治で満点を目指して、大きく失点しないという意味で守りの科目と位置付けました。刑法は、得意な受験生が多く、学説対立の知識も聞かれることから、早く正確に解き、満点を目指すという意味で攻めの科目と位置付けました。
10月〜12月は、ローの授業がありましたが、自分の時間を見つけて、論文対策をしました。手書きで規範を確かめたり、あてはめをストックしたり、一般的な勉強でした。ただ私の場合、短答での知識の穴が怖かったので、週2、3回ほど、短答パーフェクトを分野別に解きました。知識を定着化させること、読み間違えをしないことを特に意識しました。ここで授業の民法や刑法で扱った分野を短答パーフェクトで取り組むことで、問われ方や条文の趣旨を確認できました。
年明け1月には、ローの期末があり、2月と3月は春休みとなりました。春休みには、短答3割、論文7割ぐらいでした。短答は午前中に行い、午後から論文というのが、1日のルーティーンでした。論文では、令和元年から5年までを一つのセットとして意識していました。それぞれの科目で、問題文の誘導への乗っかり方、現場思考の導き方や、形式など過去問から学べることは、多かったです。4月から6月は、短答4割、論文6割という割合になりました。改正部分を除き、平成25年ぐらいまで遡りました。この時期は、焦りが生じ、それまでのように起案をする機会が減り、答案構成を行い、解説をじっくり読むというやり方になりました。やることを絞らなければならない時期ということで、本当に全科目の準備が整うか、不安であったことを覚えています。7月は総まとめということで、短答パーフェクトの印や付箋の箇所を読み、問われ方や選択肢が異なっても、迷わないように意識しました。論文では、あてはめのストックや規範のチェックに集中しました。
本番は、とても緊張しましたが、迷ってもひたすら手を動かすことは意識しました。1日目は経済法と行政法がとても難しく感じ、両科目とも途中答案になってしまいました。1日の帰り道は、絶望し、ホテルで大泣きし、夜の散歩でも泣きながら見た東京タワーが忘れられません。2日目では、民法で設問1の小問で問題文の読み間違えという本番特有のミスをしました。残り時間が50分の段階で気づき、設問2にも入っていませんでしたので、パニック状態になしました。しかし、使えそうな条文が頭に浮かんだので、そのままあてはめをしました。設問1は、法的三段論法に従った書き方というより、条文の丁寧なあてはめで終わらせ、設問2は完全な途中答案になりました。実際は、民法でB評価だったので、やはり民法は条文ということを感じました。2日目の商法も設問1の条文探しで時間を使いすぎ、途中答案になりましたが、民訴は何とか書き切ることができました。2日目と3日目の間の休日は、気分的にかなり落ち込んでいました。すでに途中答案の科目が4つもあって、短答通過者のうち、上位40%に入れるのかという不安です。しかし、短答は知識の確認でまだ上がると自信が湧いたこと、刑事系にはそれほど抵抗がなかったことから、自分のペースで勉強しました。
3日目の刑法と刑訴は、知っていることを全て書き切るつもりで、完成させました。今振り返ると、3日目は慣れもあったのか、1番落ち着いて解けた気がします。そして、最終日の短答では憲法が難しかったものの、部分点を信じて時間内に終わらせました。民法も刑法も時間ギリギリでしたが、短答対策で身につけた知識を使えました。
司法試験において、諦めないという単純なことと、書き負けないことが大切であると思います。実際に試験期間中休まずに行き、複数の途中答案があっても、全科目に全力で挑んだことが大きかったです。もちろん、勉強方法は一つではないですし、受験生それぞれのやり方があると思いますが、私の体験が受験生の方の学習中や試験本番で不安や焦りに陥ったときの参考になれば幸いです。
精神面でもサポートしていつも応援をしてくれた家族や、友人、先生方に感謝し、世の中のあらゆる課題に向き合える弁護士になりたいです。
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辰已は羅針盤です
一橋大学法科大学院【既修】2023年入学 2025年卒業予定
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 他
