人生100年時代、64歳で予備試験、司法試験に合格!
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり
(1)司法試験の受験を決意した経緯について
それは定年退職まであと約1年となった2019年のクリスマスイブの夜でした。これから会社にしがみついても65歳からせいぜい70歳でお払い箱でしょう。100歳まで生きるとしたらあと40年、社会人としてのこれまでと同じ年数があります。
ならば、人生の2周目を現役で過ごして一度きりの人生を2倍楽しもうと思いました。
といっても、この歳から何かをするならば、組織人ではなく専門家になる必要があります。会社経験が役に立つ資格もよいですが、学生時代に中途半端で終わってしまった法律をもう一度勉強してみたいと思いました。
では、法律を勉強して資格を取るとしても、やりがいのある仕事に就きたいものです。裁判官や検察官は年齢的に無理であっても、弁護士であればいくつになっても続けられるので生涯現役も可能でしょう。また、弁護士は人助けになる社会的意義とやりがいのある仕事です。
こうしたことから、司法試験を受験する決心をしました。
(2)合格までの道のり
ア.入門段階と予備試験1回目受験
法律を勉強すると決めたものの、法学部出身といってももう40年近く昔のことです。その頃は、民法も刑法も文語体、憲法判例などほとんどなかった時代ですから、平成の判例を知らない「法律の浦島太郎」状態です。
さらに、刑法には、かつて「学説の迷路」にはまったトラウマがありました。
そこで、最新、かつ、きちんとした先生に教えを請うべきと考え、まだコロナ前でしたから通学できるLECの入門講座をとることにしました。
当時はまだ現役で仕事をしていたので法科大学院進学は考えずに予備試験にターゲットを定めました。
入門講座が終わって最初の受験では、短答式試験は辛うじて合格したものの論文式試験は不合格でした。まだ、答練すら受けていないのですから当然の結果でした。
イ.答練と予備試験2回目の受験
論文式試験の対策をしようとして考えたのが答練を受けることでした。某塾と辰已さんの答練を見比べて、より実戦的に感じたことを決め手に辰已さんを選択しました。
最初の頃は50点満点で10~20点台、なかなか伸び悩んでいましたが、回を重ねるうちに徐々に点数が上向いてきました。
2回目の予備試験では、短答式試験は20点以上点が伸び余裕で合格したものの、論文式試験で3点差で不合格となりました。
ウ.予備試験合格と司法試験合格
3回目の予備試験に向けては、西口先生の講座を受講しました。論文式試験の書き方が分かってくるとともに、配点表の使い方等西口先生の実戦的なご指導によりようやく論文式試験を突破することができました。そして、口述試験を経て2024年2月に予備試験に最終合格し、同じ年の11月、司法試験に合格することができました。
2 受験対策
(1)辰已講座の利用方法とその成果
辰已講座ではなんといってもスタンダード論文答練(スタ論)です。そのポイントは配点表にあります。
具体的には、近年の司法試験及び予備試験の論文式試験では、問題文の事実の摘示と法的評価が極めて重要です。その点、スタ論の配点表では、事実の摘示とそれに対する法的評価に配点されているので、問題文のどの事実に着目して、どの様な評価をするかを学習することができます。このため、「点の取れる答案の書き方」を身につけることができます。
さらに、スタ論では、西口クラス、福田クラスといった、辰已の名物講師の先生の採点・講評・解説がついた講座があります。私は予備試験では西口クラス、司法試験では福田クラスを受講しました。
実は、先ほどの配点表の使い方は西口先生の受け売りです。西口クラスを受講しなければ配点表の効果について気づくことができず、合格できなかったでしょう。したがって、スタ論西口クラス、福田クラスは合格に直結する効果があったといえます。
(2)「私の論文式試験対策」
論文式試験対策は司法試験でも予備試験でも最重要なポイント、主戦場です。その対策としては、まず、スタ論のような答練を受けることです。現場で時間内に合格レベルの答案を書く訓練は必須です。そして、解説講義や配点表をしっかり復習していくことで論文力が付いていきます。
これに加えて私がお勧めするのは、過去問を繰り返し解くことです。具体的には、各科目の過去問について答案構成のみならず実際に時間内に起案して、その答案を「ぶんせき本」などの合格者答案と比較して自己添削するのです。過去問は練りに練られた最高の学習材料です。そして繰り返し解くことによって、論点の抽出のコツや答案の書き方が自分の力になっていきます。
過去問を10回書いたら10回同じように書けるレベル、それが合格レベルです。
(3)私が使用した本
正確には本ではないですが、肢別本のアプリには入門段階から司法試験までお世話になりました。隙間時間に繰り返し解くことで基礎知識の定着を図ることができます。
3 これから受験する人へのアドバイス
(1)来年初めて受験する方へのアドバイス
司法試験も予備試験も、実は基本的事項の正確な理解が問われています。決して知識量を求めているのではないので、初回受験でも大いにチャンスがあります。
したがって、趣旨規範ハンドブックによって基本的事項を正確に理解することとスタ論の配点表で問題文の事実への感度を上げていくことを意識して合格してください。
(2)来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス
私も回り道をしたのでリベンジ受験生の皆さまのお気持ちはわかっているつもりです。そして、リベンジ受験生が陥りがちなのは、知識偏重です。不合格だったのは知識が足りなかったからと思ってしまいがちです。しかし、最近の論文式試験では知識としては基本的事項の正確な理解が求められています。それ以上の知識は合格に必要ではないのです。
これは西口先生の受け売りですが、昔の試験は覚えたことをいかに正確に吐き出すかが重要な「暗記型」試験でした。しかし、今の試験は、教育現場が思考力重視に変わってきたことに対応して、現場での思考を問うものになったのです。このような「思考型」の試験では論証パターンの暗記貼り付けは通用しません。問題文の事実を基本的な知識を使っていかに解決するか、その思考過程を文章化するのです。
したがって、リベンジ受験生の皆さまは、知識ではなく思考力を鍛錬してください。
(3)社会人受験生へのアドバイス
社会人受験生が一番苦労することは勉強に使える時間が限られていることです。それは私も1年間フルタイムで勤務しながら勉強していたから良く分かります。
しかし、「時間がない」と嘆く暇があれば、「時間はいくらでも作れる」と考えるべきです。明治の文豪森鷗外は、軍医をしながらの創作活動を続けました。やはり帰宅時はへとへとだからと早寝早起きで原稿を書いていたそうです。そうであれば、現代の私達でも朝はできるだけ早起きすれば勉強の時間を作ることができます。さらに、通勤の行き帰りはもちろんのこと、始業前、昼休み、ちょっとした空き時間など、フルタイムで働いていても何とかなります。そして、人より早く仕事を済ませれば帰宅後入浴中を含めて勉強できます。休日となれば論文を起案するチャンスです。時間を計って書き上げれば土日で1年分の過去問を解くことも可能です。
たしかに厳しい日々が続きます。しかし、別にこのような生活を一生続ける訳ではないのです。長い人生の中で、合格までのほんのわずかな期間でいいのですから、きっとできるはずです。皆さん、そのようにして道を切り開いて合格を手にしたのですから、あなたにもできます。自分を信じて続けましょう。
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辰已は羅針盤です
一橋大学法科大学院【既修】2023年入学 2025年卒業予定
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 他
