司法試験

辰已は羅針盤です

木谷 晋輔さん
受験歴: 1回
早稲田大学第一文学部
一橋大学法科大学院【既修】2023年入学 2025年卒業予定
2023年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練福田クラス 全国公開模試 他
2024年度

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 私は2002年に大学卒業後、社会人としてシステムエンジニアをしていました。そこで、同僚が過労死する事件が起き、私自身も過労から退職を余儀なくされました。その後、自分の身の振り方を考えたときに、そうした経験を何らかの形で活かす仕事に就きたいと考え、弁護士として労働者の力になろうと決意しました。

 弁護士になろうと決意したといっても、大学は文学部、仕事はSEと、法学の素養は全くありません。年齢も当時40歳前後、今から勉強しても吸収できるのか不安でした。そこでまずは情報収集から始めましたが、非法学部・社会人の司法試験合格率は非現実的なものでした。ロースクールの選択肢はまずは除外し、独学で予備試験ルートを目指すことにしました。

 市販の予備校本を購入し、何も考えずにとりあえず出願して受験した1回目の予備試験の結果は散々で、短答で全く歯が立たずに落ちました。軽い気持ちでは受からない試験だと痛感させられました。心を入れなおして臨んだ2回目の予備試験では短答に合格できましたが、論文は憲法E、その他Fという箸にも棒にも掛からぬ結果でした。3回目も短答に合格はしたものの、論文は多少良くなった程度で合格には程遠い結果でした。

 ここまできて、独学の限界を感じました。何をどう勉強すれば合格に近づくのか全く分かりませんでした。そこで予備校の利用を検討し、辰已の講座を受講しました。そして迎えた4回目の予備試験受験。論文で不合格になったものの、あと10点たらずのところまで来ることができました。この時、「これなら次の年は合格できる!」との確信を抱きました。ちょうど始まったばかりの在学中受験制度も考えれば、保険で法科大学院に入っておこうと考え、急遽法科大学院の受験をし、一橋大学法科大学院の既修コースに入学しました。

 法科大学院入学1年目は授業を必死にこなしながらも、必ず予備試験に合格するとの気概で辰已の答練をこなしました。結果、無事予備試験の合格を果たすことができました。そして今年、司法試験にも無事合格することができました。

2 受験対策

(1) 辰已講座の利用方法とその成果

 私にとって特に大きかったのは、基礎講座と答練(模試等含む)、福田先生のアドバイスでした。

 原先生の基礎講座は話が面白く、かつ、わかりやすいもので、全体像を把握するのに非常に良かったです。あくまでも基礎講座ですので、細部には至りませんが、私のように法学部出身でなくロースクールにも通っていなかった者にとっては、全体像が見えるということがとにかく大きかったです。

 答練は、はじめは全く活用できていませんでした。短答に合格できてはいても、体系的理解が不足しており知識が有機的に結合していない状態だったことや、答案の書き方そのものが全く分かっていない状態で飛び込んだので、最初の答練では6点をたたき出すなどひどいものでした。何回か似たような状況が続き、この状態でリアルタイムで答練を受け続けても無駄だと考え、途中から答練の受け方を変えました。まずはまねるところから始めようと思い、先に模範答案や解説を読んで自分なりに理解することに努め、その後時間を空けて起案・提出し、採点を受けるという形に変更しました。最初のうちはそれでもぼろぼろの答案でしたが、だんだんと答案の書き方や、論点の抽出の仕方などがなんとなく見えてきました。その後徐々にリアルタイム受講の割合を増やしていきました。

 辰已で講座受講後初の予備試験の結果は、論文合格まであと10点という数字でした。落ちて悔しいという思いよりも、全く法学の体系的知識がなく、論文の書き方も全く分からない状態から、数か月で予備試験論文にあと一歩のところまでこれたという喜びの方が大きかったです。独学では見えなかった勉強の方向性を、辰已が羅針盤となって示してくれたおかげで、迷わずに勉強することができるようになりました。

 方向性が正しいことがわかれば、あとは突き詰めるだけです。ロースクールの入試も特別な対策はなにもせず、辰已で学んだことをそのまま出しただけで合格できました。そういった点でも、方向性が間違っていないことが裏付けられたと感じました。司法試験に向けても同じことを続けていけばいいだけだと安心できました。

 また、地味に役立っていたのは、スタンダード短答オープンです。短答の勉強はついついおろそかになりがちですが、定期的に短答に触れる機会があると感覚を維持できます。また、実際に受けて結果が出れば、自分が忘れている分野や弱い分野の確認になります。司法試験の時には足切りはどうやってもクリアできるだろうと自信をもって臨むことができました。

 司法試験のスタ論は福田クラスを受講させていただきました。福田先生のアドバイスは科目を超えて役に立ちます。福田先生はやるべきこと、やるべきでないことをはっきり示してくださいます。予備試験ではE,Dと芳しくなかった商法、民事訴訟法ですが、福田先生にご相談させていただき、そこでいただいたアドバイスを信じて対策をしました。その結果、両科目とも司法試験ではAをとることができました。

(2) 「私がやって成功した方法」「私のノート作成術」「私のスケジュール管理方法」等々

 司法試験は長期戦ですので、モチベーションを維持することを意識しました。髪の毛を派手な色にしてみたり、起案すること自体を楽しみにするために高価な万年筆を購入してみたりしました。また、夜10時からは自分の時間にして、毎日アニメを見たりゲームをする時間を作っていました。

 法科大学院に入ったこともモチベーション維持にとても役立ちました。研究室には朝8時でも夜10時でも必ずというくらい人がいました。全然自分より勉強してる・・・もっと頑張らないと、と刺激になりました。研究室のみなは黙々と勉強するというより、みんなで一緒に楽しく勉強するという雰囲気で、わからないことがあったらあーでもないこーでもないと相談しながらやっていました。夏休み期間中は朝7時30分にLINEでビデオ通話をし、その日にやることの宣言や、前日にやったことの報告などをするといったことをしました。その後はビデオ通話をつなぎっぱなしで、各自それぞれの勉強をするということをやっていました。一緒に勉強する仲間がいるということは、勉強を続けていくうえで強いモチベーションになりました。

 辰已の答練は提出期限が決まっているので、絶対に期限までに書くというルールは守っていました(書いたけど出し忘れたということはありますが)。そういった意味でいいペースメーカーになります。また、自主ゼミを組んでテーマを決めて、毎週末はそのテーマの問題を起案するなど行っていました。

 私はとかくさぼり癖があるので、このように周りの力を借りてペースメイキングとモチベーションの維持をしていきました。

(3) 私が使用した本(基本書か辰已書籍の中で役に立ったものに限る)

 短答対策は短答過去問パーフェクト一択です。すべての問題をやるのは効率が悪いので、個人的におすすめなのは、公法系・手続系は60%以上の正答率の問題、その他は70%以上の問題に加え、辰已セレクトの問題があるのでそれらをこなせば十分だと思います。公法系に関しては過去問の周回の効果が薄いので、よく問われる判例を百選などで確認するとよいと思います。

 基本書としては、基本刑法は通読すべきです。予備試験口述の直前はマーカーを引いて2,3時間で1冊読めるくらいの状態にしました。基本刑法は論文はもちろん短答対策にもなるので、それだけで刑法の短答が8割切ることはなくなります。

 司法試験の過去問については、えんしゅう本が役に立ちます。出題趣旨・採点実感の分析は非常に重要で、その際の助けになります。また、A答案はもちろん参考になりますが、特に着目すべきはC,D答案です。司法試験は相対評価ですので、いかにそのラインを超えるかが大事になります。

3 自己の体験を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)

 LSに在学しているなら、一人で黙々と勉強できるという人であれば良いですが、そうでない限りは気が合う仲間と自主ゼミを組むことをおすすめします。勉強自体は最終的には孤独なものですが、同じ目標に向かって一緒に勉強している仲間がすぐそばにいるというのは強いモチベーションになります。私は法科大学院に入ってから勉強量が倍増しました。それはそういう仲間から刺激を受けたからです。

(2) 来年初めて受験する方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)

 試験にはベストコンディションで挑めるように健康管理には十分注意しましょう。試験直前に無理をしても大幅に学力が伸びることはありません。それまで努力した結果を出し切ることができる状態を作ることに注力した方がいいです。また、試験は1日1日想像以上の疲労がたまります。自宅から試験場まで片道30分以上かかるようなら、試験場に近いホテルをとることをおすすめします。

 また、普段の勉強については、基本に立ち返ることを常に意識してもらいたいと思います。司法試験では必ず見たこともない論点が出されます。そういったとき、基本に立ち返って趣旨から考えれば、大外しはしないはずです。

(3) 来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)

 リベンジ合格を目指される方は、まず、自分自身の敗因分析をされることをおすすめします。敗因分析をし、それを修正する取り組みを行うことです。

 私は今年司法試験に無事合格できましたが、自分自身で思っていたほどの点数ではありませんでした。その分析を自分なりにしてみたところ、問題提起や規範定立に紙面を割きすぎ、その分あてはめが薄くなった点にあると考えています。あてはめに配点が大きいとはよく言われていることですが、その認識が正直甘かったと反省しています。そのように、自分自身を振り返って修正すべき点が必ずあるはずです。それまでの自分の考え方に固執せず、訂正すべき点はきちんと訂正して試験に臨んでください。

(4) 社会人受験生へのアドバイス(限られた可処分時間の有効な活用法)

 私は元社会人ですが、専業受験生の状態で受験をしていますので偉そうなことは言えません。ただ、隙間時間の利活用は意識して行っていました。私の場合は答練を受けた日はその帰りの移動中に答練のレジュメを読んで、帰るまでに反省点のチェックなどをしていました。普段出かける際も論証集を読むなどしていました。なにかしらの空き時間にはテーマを決めて、その時間中にテーマをこなす習慣をつけておくのがよいと思います。

 また、社会人だとなかなか一緒に勉強する仲間を作るのが難しいかと思います。そういう時は、自分がなぜ法曹を目指そうとしたのか、振り返ってみるといいと思います。私が初めて予備試験を受けたとき、2回目に短答に合格して論文に落ちたときは、正直絶望しました。こんな試験に合格なんてできるのかと。あの時諦めていたら今の結果は得られませんでした。自分自身が法曹を志した理由を振り返り、あきらめずに自分自身を鼓舞して一歩ずつ前に進み、歩みを止めなかったことが結果へと結びついたものと考えています。

辰已受講歴

●2024年
スタンダード論文答練 福田クラス(第2クール)
ファイナル予想答練
全国公開模試
スタンダード短答オープン
絶対にすべらない答案の書き方講座
理解が伝わる論証講義

●2023年
予備試験スタンダード論文答練(第1・2クール)
予備試験論文公開模試
予備論文予想答練

●2022年
基礎講座
短答完璧講座
答案スキルいっき習得講義
予備試験スタンダード論文答練(夏期・第1・2クール)
予備試験過去問直近5年答練
予備試験論文公開模試
予備論文予想答練
予備スタンダード短答オープン(第1・2クール)
選択科目集中答練
予備試験 総択
福田俊彦 商法強化講義

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