過去問演習はとにかく早めに。司法試験は体力・メンタル勝負です!
1 司法試験の受験を決意した経緯・合格までの道のり
大学入学前までは、法曹の道は全く考えていませんでした。法曹を目指したのは、大学1年生の時、電通過労死事件を担当していた労働弁護士の先生のゼミをとったのがきっかけです。そのゼミでは、さまざまな社会問題の最前線でご活躍される法律家の方のお話を伺うという内容でした。そこで、法律家という職業の幅の広さ・大きな可能性に惹かれ、自身もこうなりたいと思い、目指すようになりました。
大学1年生から司法試験を目指し始め、予備試験を受け始めたものの、結果はあまり振るわず、年月が経ちました。何度も違う道に行こうかと諦めかけましたが、運が味方し、なんとか今年合格することができました。6年間の道のりは私にとって長いものでしたが、夢をつかめてよかったです。
2 法科大学院受験前の学習状況
受験前は予備試験を目指していました。大学2年、3年では短答で落ち、大学4年時に初めて論文を受けることができましたが、結果はふるいませんでした。学部の時は、基礎を定着させることに一生懸命になっており、論文対策まであまり手が回っていませんでした。ただ、今考えれば、基礎を定着するという段階は大切だったと思います。短答を一問一答形式でやっていたのが、定着に良かったと感じています。
法科大学院受験については、過去問を5年分ほど解き、自主ゼミを組んで意見交換するという勉強法をとっていました。
3 法科大学院入学後の学習状況
入学後は、授業の予習復習の合間に試験勉強に取り組んでいました。2年生の前期までは、予備試験の勉強をし、後期からは、司法試験の過去問を解いていました。2年生の10月から本格的に過去問演習を始め、直近10年分ほど起案し、それより前の年度は答案構成を行っていました。法科大学院の友達と自主ゼミを組み、互いの答案をチェックしていました。自分では気づかない欠点が見つかったり、自分が知らない論証がわかったりするので、やって良かったと思います。個人的には、他人に自分の答案を見てもらう機会はもった方が良いと思います。過去問は20年分ほどあるため、早めに取りかからないと、直前期に焦ります。自分の基礎や論証の暗記に自信がなくても、まず取りかかることが大切だと思います。
3年生前期は直前期なため、授業は5コマほどに限定してとっていました。直前期は、過去問演習と、論証暗記を行っていました。
4 辰已講座の利用方法と成果
辰已の模試は、捻りすぎた問題がなく、かなり本番に近い良問揃いだと思います。基本論点の確認になります。模試を受ける人数もかなり多いため、他の受験生と比較しての自分の位置を測るのにも役立ちます。模試はできれば会場で受けた方が良いと思います。本番と同じ環境でしか練習できないことがあるからです。本番の緊張感や、時間配分、休憩時間の過ごし方など、勉強になります。模試を会場で受けるのは、時間や労力がかかる、法科大学院の授業を休まなければならないから嫌だ、と思う方でも、問題だけは解くことをお勧めします。模試の問題が本番で出るかはともかく、他の受験生が網羅している問題を自分もやることで、自信が持てるからです。
また、模試を受けると、辰已の短答・論文予想が付録としてついてきます。これがとても役に立ちました。短答は、色々な問題を解けば解くほどいいと思っているので、ありがたかったです。論文についても、採点委員の論文も含めて綿密に調べられているので、自分では届かないところもチェックすることができてよかったです。実際に、本番で予想が当たった部分もありました。
5 成功した方法、スケジュール管理方法
私はとにかく過去問演習を重視していました。論証や自分の知識に自信がなくても、過去問演習に取り組むべきだと思います。一応時間は測っていましたが、最初は大幅に時間をオーバーしていましたし、論証部分については、論証集をチラチラ見ながら書いていました。しかし、何年も解くうちに、時間内に収まるようになりますし、論証も見ないで書けるようになります。そういった成長を楽しむのもモチベーションになります。
私は、過去問を解く際、答案構成に40分、起案に80分かけていました。何度も演習すると、実際にはもっと短く答案構成できるようになります。
過去問は解いた後が大切だと思います。私は、エクセルに、「解いた直後わからなかった点」「その解決策」「出題趣旨・採点実感を読んだ後自分の答案に足りなかった点」「他人に自分の答案を見てもらった時に指摘された点」をまとめていました。さらに、その改善点を趣旨規範ハンドブックに一元化していました。過去問を二周する時間はなかったので、一元化しておくと、ハンドブックを見るだけで復習になり、おすすめです。テストの休み時間に見るのにも役立ちます。
短答については、過去問を3周ほどしました。こちらも演習が大切だと思います。何回も間違える問題はチェックをつけておき、六法に一元化しました。論文にしろ、短答にしろ、自分がよく間違えるところ、わからなかったところをまとめて、一元化することは有効だと思います。効率よく復習できますし、本番の休憩時間に見返せて、お守りにすることができます。
スケジュール管理方法については、自主ゼミを組んだり、答案添削サービスを頼んだりすることで、自分の中で細かく締め切りを設定することが大切だと思います。漠然と頑張ろうと思っても、やることが膨大に思えて、最初の一歩が踏み出せないですよね。「この日には何年の何をやる」など、小さい目標を据えてやると、うまくできると思います。また、私は丸一日空いている日があっても、意外とダラダラしてしまい、後回しにしてあまり勉強できないことがありました。そういう時は、自主ゼミや授業、息抜きで運動などの予定をあえて入れておくと、「やらなきゃいけない」という気持ちになり、効率的にできるような気がしました。
6 自己の反省を踏まえたアドバイス、在学中にやっておくべきこと、試験当日までの過ごし方
短答を侮っていると、直前期に焦ります。短答は取れていれば取れているほど有利なので、前々から少しずつやっておくといいと思います。予備試験で短答を通過している人でも、司法試験の短答はまた別の難しさがあります。司法試験の方は、学説の内容に立ち入ったり、深堀されたりするのが特徴です。特に憲法は苦戦したので、要注意です。
在学生は法科大学院の授業の予習復習もあって大変だと思いますが、過去問演習はとにかく早めに始めたほうがいいと思います。私のロースクールは特に、試験対策をしない学校だったので、各自での勉強が大切かなと思います。授業は友達同士で協力して進めていくと、時間が取られなくていいと思います。法科大学院在学生の一番の強みは、法科大学院での人的資源だと考えています。情報が手に入りやすく、人と協力しやすい環境です。その環境を存分に生かして、頑張ってください!
直前期は、法科大学院の授業もなくなりますが、家でこもっていると気分が滅入ってしまいます。司法試験は体力・メンタル勝負なので、週一回でも大学に来て、人に会うといいと思います。思い悩んだときは、思い切って息抜きを。心を壊したら何にもならないので、まずは自分の健康を大切にしてくださいね。