合格体験記
1 司法試験の受験を決意した経緯 、合格までの道のり
私が弁護士という職業を初めて知ったのは中学1年生の時でした。当時はただ弁護士という職業が華々しく思え、文系のトップ・お金を稼げる・かっこいいといった漠然としたイメージしかありませんでした。しかし、母の友人が検事だったこともあり、検事を中心に法曹に関する色々な体験談を聞く機会があり、次第に法曹に具体的な興味を持つようになりました。また、世の中を規律する法律についてもっと深く知りたいという好奇心があったことも理由の一つだと思います。
その後、大学・ロースクール生活において色々な法分野の学習を進めていくなか、実務授業で実際に様々な依頼者から法律相談を受けた経験も通じて、法曹三者の中で最も幅広い業務を扱える弁護士を目指すことを決意しました。
合格までの道のりは決して順調ではなかったです。学部在籍時はアルバイトやサークル活動に明け暮れ、ロー入試の対策を本格的に始めたのは大学4年の3月くらいからでした。その後、早稲田のみ縁あって合格しましたが、その後もローの授業についていくのが精一杯でした。ロー3年次、このままでは落ちると危機感を持ち始め、勉強も少し落ち着いてきた3年次の後期に、外部の司法試験ゼミに入るなどして、何とか本番で戦える状況まで学力をぎりぎり持ち上げていったという感じでした。
2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)
大学4年の3月からは、申し込んでいた予備試験の短答式試験に向けて、辰已の短答過去問パーフェクトを各科目1日5問程度のペースで解いていました。そのほか、辰已の条文判例スタンダードなどを用いて、わからない原理原則や定義などをできる限り覚えようとしました。また、各種予備校がAランクに位置づける論証も、あまり深く理解することの無いまま暗記をしていました。
3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)
授業の予習・復習と課題ばかりに時間をとられていました。予習・復習には条文判例スタンダードが非常に役立ちました。条文ごとに体系づけて学習ができたので、ある程度の基礎知識を条文に引っ掛けて覚えることができました。
また、ほとんどのローの授業では判例ベースであったため、百選のみならず実際の判例集をリサーチする習慣もつき、判例知識の深い理解がここで得られたように思います。
4 受験対策(辰已講座の利用方法とその成果)
予備試験では総択・論文模試、司法試験では総択・全国模試を受講しました。
いずれも受験者数が非常に多いので、本番さながらの雰囲気で受講することができ、本番に向けた良い練習場となりました。特に全国模試では実際に司法試験の会場となる場で受験ができ、良い経験になったと感じています。
また、問題の質も良く、分からない分野を直前期に浮き彫りにして、最終的な復習をしていくには有効でした。
改善点としては、司法試験全国模試の民訴の添削者に間違った指摘をされたことくらいです。添削のダブルチェックを行うなどして、可能な限り添削内容の正確性担保を図るべきではないかと感じました。
5 受験対策(私がやって成功した方法)
とにかく答案を書きました。司法試験は限られた時間の中、手で書く試験です。自分の手で書いていく中で、実際の論文試験に活かせる知識とそうでない知識が整理されました。時間内で書いていく中で、実際の論文試験で読みやすく短時間で書ける文章表現も身につきました。
また、毎回の答練の際に、その答練で自分が克服したい課題や目標を実際に答案用紙に書きました。そうすることで、答練中にもその課題や目標が嫌でも目に入り、課題意識を常に持ちつつ演習に取り組むことができ、終了後の自己分析もスムーズにできたと感じています。
6 受験対策(私が使用した本)
前述の通り、短答過去問パーフェクト・条文判例スタンダードが基礎知識のインプットには非常に役立ちました。司法試験過去問対策としては、辰已のぶんせき本が非常に役立ちました。
短答過去問パーフェクトについては、2018年に予備試験の短答式に合格するまで利用しており、間違えた問題を復習する際に、非常に効果的でした。具体的には、解説部分が短すぎず長すぎず、コンパクトにまとめられており、短い時間で論文対策にも活かせる知識を復習できました。分野別に問題が配列されている点も、対策が行いやすかったと感じます。改善すべき点としては、本が厚くまた六法サイズなので持ち運びに向かない点でしょうか。A4サイズに拡大し、本の厚さを薄くすれば、より使い勝手が良いのになあと感じていました。
条文判例スタンダードについては、条文ごとに細かい解釈問題まで網羅的に押さえており、かゆいところに手が届く感じで非常に使いやすかったです。改善すべき点としては、パーフェクト同様、A4サイズに拡大し、本の厚さを薄くすれば、持ち運びやすくなるのではと感じていました。
ぶんせき本については、答案構成例が出題趣旨・採点実感を踏まえて非常にわかりやすい流れで書かれており、参考になりました。再現答案もA~Fまで様々なランクの答案がコメントと共に引用されており、受験生の相場観を養うのに役立ちました。改善点は特にありません。
基本書の中では、潮見先生の入門民法(全)が役立ちました。基本的な知識が司法試験に必要なレベルで広く網羅されているので、民法の短答や論文対策にはもってこいの基本書でした。
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
(1) LS在学生へのアドバイス
ロースクール生活に余裕が出てきたら実務系授業を履修することをお勧めします。3年生になると多くのロースクールでは実務系の授業を数多く履修することができます。自分の興味がある分野の科目を、実務家教員から直接教わることができるので、司法試験合格後の自身のキャリアプランを考えるうえでも非常に有益であると思います。私は企業法務に関心があったので、商事実務の授業を3つほど受講していました。
(2) 来年初めて受験する方へのアドバイス
とにかく、最後まで勉強し続けてください。現役生は最後の最後、選択科目の試験開始の直前まで、もっと言えば最終日の短答式の刑法が始まる直前まで伸びます。自分の限界を自分で設定してしまわず、あきらめないで頑張ってください。
(3) 最後に
まずは司法試験に合格しなければなりません。
ご自身が現在足りないと感じるもの・弱点と感じることは千差万別だと思います。皆さんそれぞれが、周りに流されすぎることなく、ご自身の弱点意識・目的意識を常にもって、対策に取り組むことが合格への鍵だと思っています。この作業は時には孤独でつらい気持ちにもなります。私自身、このまま試験に落ち続けるのではないかと何度も不安に苛まれました。
つらいときは、少し勉強から逃げてもいいですし、周りに愚痴を言ってもいいと思います。ですが、自分が最初に掲げた目標や法曹像からは、決して逃げないでください。諦めずに自己分析・弱点克服を地道にやれば、必ず合格できると信じています。
皆さんの合格を期待しています。頑張ってください!
辰已法律研究所 受講歴
・司法試験 総択
・司法試験全国公開模試
・予備試験 総択
・予備試験論文公開模試